現在の日本の音楽シーンにおいて、一際明るく異彩を放つバンド、それがゲスの極み乙女。だ。


2014年にメジャーデビューを果たすと、その人気は一気に加速。もともとサブカル好きのファンの間で熱烈な支持を受けていたバンドだったが、今ではCMに曲を提供するなど、その名をお茶の間に轟かせるほど。



この記事では、そんなゲスの極み乙女。のブレイクの理由を分析したいと思います。



 



 


奇をてらったバンド名といたって普通のメンバー



 



バンドが注目を集める理由の一つとして、奇をてらったバンド名が挙げられる。


なかなか一度聞いただけでは覚えられないような複雑な名前やけど、それが逆にいい。そして、文字にして並んでいるのを観たらなかなかのインパクトがあるバンド名。日本語としても成り立っていなければ、カッコよさからは程遠い「ゲス」というキーワードも含まれていて、


バンド名を初めて見た人なら誰もが「おやっ?」と思うような仕掛けになっている。



あと、バンド名の不思議さとは対照的なメンバーのまともさ、このギャップもバンドの認知度を上げている理由の一つだと思う。


バンド名から想像してしまうのは、たとえば被り物をかぶっていたり、顔面を白く塗っているような、かなり尖った見た目をしたメンバーの出でたち。でも、ゲスの極み乙女。のメンバーは、誰もが普通の見た目をしているんよね。


バンド名を観て「ぎょっ?」となったリスナーも、メンバーの普通の見た目を観て安心感を覚えて、「どれどれ話題になってるみたいやし聴いてみるか」っていう流れになるんやと思う。



 



 


男性2+女性2の男女混成バンド



 



ゲスの極み乙女。が売れた理由の大きな一つに、男性と女性が入り混じった混成バンドということが挙げられます。


これまでのバンドの多くは、たとえば男性だけで編成されていたり、逆に女性だけで編成されていることが多かったけど、ゲスの極み乙女。は完全ハーフ&ハーフの混成バンド。



混成バンドの利点としては、いろんな層のファンを取り込めるということがある。


アーティストに興味を持つ人の中には、その見た目に惹かれて、という人も多く、男性と女性の両方が所属するバンドは、その見た目から男女両方のファンにアピールすることができるからね。実際、キーボートとドラムを担当する女性メンバー2人は、ともに美人ということで男女両方のファンから人気があるし、中性的な魅力を持ったボーカル担当の川谷絵音は、女性からの圧倒的人気を誇ってます。



また、見た目的な利点だけではなく、楽曲の幅も広がるという音楽面での利点もある。


男性と女性のコーラスが入り混じる楽曲は混成バンドならではの魅力やし、男性と女性では芸術的な感性も異なるため、両方の良さが合わさった楽曲を仕上げられるという意味で、他のバンドには出せない音楽性を表現できるんよね。



 



 


独特な歌詞表現による世界観と楽曲の親和性



 



音楽的な魅力としては、


独特な言い回しによって不思議な世界観を生み出す歌詞と楽曲との見事な親和性が挙げられる。



歌詞は抽象的な内容を歌っていて、一度聞いただけでは、どんなことについて歌っているのかが分からない曲も多い。


ただ、そんな歌詞をじっくり噛みしめることで、難解な小説を読んだときに得られるような面白さが得られるということで、多くのファンに支持されるようになったのだ。



そして、そんな抽象的な歌詞と親和性バッチリの楽曲。


サビなんかはとてもキャッチーで耳に残りやすいメロディーや演奏ながら、ところどころで音楽の常識をぶっ壊す変態性を伴った楽曲は、不思議な世界観を持った歌詞を見事にマッチする。


単純な構造の楽曲が多いJ-Popの中において、かなりの異端さを誇るから、その目新しさもリスナーを虜にしている理由だったりすると思う。



いずれにせよ、独特な楽曲に独特な歌詞を載せているといった感じではなく、あくまでも歌詞と楽曲をセットで独特な世界観を作り出しているということ。そういう戦略を持った曲作りというのが、音楽的な魅力につながっているんやと思う。



 



 



以上、ゲスの極み乙女。がブレイクしている理由を考察してみた。


バンド名やメンバー編成については確実にバンド結成時に決められたものだし、おそらく楽曲の世界観についてもバンド結成時の段階である程度決めていたのだろう。


なので、まとめると、ゲスの極み乙女。は結成時点でブレイクのための戦略を完全に練り切っていたということになる。


もちろん知名度や人気は活動を続ける中で徐々に高まっていくものやけど、途中で活動方針がブレることはなく、ひたすらに自分たちの目指す音楽を続けてきている。様々なタイプのミュージシャンが彼らから学ぶべき一番の戦略は、軸をブレさせずに活動を続けるひたむきさなのかもしれない。