全60公演の弾き語りイベントが終了目前。話題のシンガーソングライター、焚吐とは？

ニコニコ動画やアニメのタイアップで彼の名前を知っている人もいるかもしれない「シンガーソングライター」としても活動する今時の新世代アーティスト焚吐（たくと）。

作詞作曲を焚吐。編曲をボカロPのNeruが手がけたデビュー・シングル「オールカテゴライズ」。「ガラスの歌声」と表現される彼の中性的な爽やかな声とヘビーなディストーションギターが合ったキラーチューンだ。イントロのギターディレイ、歌詞のリズム、一つひとつの言葉が複雑に絡み合っているが、四つ打ちのサビやキャッチーなメロディが合わさり、頭に残りやすい印象的な曲に仕上がっている。

「子捨て山」ではボカロ色が強くなり、歌い手的な焚吐の一面が垣間見える。この曲は歌詞にも注目してもらいたい。

これが限界だよ潔く諦めるよ

あとはあなたに任せるよ

皮肉じみたものも痛々しいものも

丸みを帯びて似通っていく

乳離れを拒みすぎた子どもたち

平積みになって色褪せる頃

優しい人じゃなく易しい人に

成り下がる気分を味わう

ありありありがとうバイバイこんなにも僕は

泣く泣く砕ききって差し出すのに

廃り廃りつるつるの脳に弾かれて

自惚れることすらも許されないんだろう

アニメのタイアップでも使われた「ふたりの秒針」。今までご紹介した焚吐の楽曲とはまた違い、スローテンポの美しい曲となっている。彼のガラスの歌声がこの曲でさらに堪能できる。

タワーレコード池袋店限定でリリースしたCD「人生は名状し難い」の発売記念イベントとして、7月22日から8月31日の期間中20日間、全60公演の弾き語りライブを行っている焚吐。会場はP'PARCO池袋店 1Fのイベントスペース。アコースティック・ギターを手に持った弾き語りのライブは、彼の曲の良さをさらに引き出していた。ギターと歌というシンプルな編成だからこそ、彼の感情がよりダイレクトに伝わっていく。

MCや終演後の様子を見ていると、彼の人柄に触れることができた。社交的で明るい性格とは言えないが、その場に集まったオーディエンスを少しでも楽しませようとする姿勢が印象に残った。クラスの中で特に目立つ存在ではないかもしれないが、自分の殻を破ろうと、自分らしさを表現する方法の一つで音楽というツールを使っているのだろうーー。ライブを観ながら、そんなことを考えていた。

弾き語りのイベントは31日で終了するが、今後のライブ活動にも注目していきたい。

文・muevo

焚吐

たくと。1997年2月20日生まれ。東京都出身。某有名芸術学部在学中。小学4年生でギターに目覚め、1年後には自分で゙歌を作るようになりストックは既に100曲にのぼる。2012年、ビーイング主催「トレジャーハント～ビーイングオーディション2012～」において審査員特別賞を受賞。独自の世界感を持つ歌詞、そして繊細さと透明感を併せ持つガラスの歌声は聴く者を一瞬で引き込む魅力を持つ。

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