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metro polica――日常と非日常の狭間

metro polica――日常と非日常の狭間

muevo編集部にリクエストが寄せられた「気になるアーティスト」を紹介するmuevo pick up。今回は「metro polica」のサウンドの魅力を現役音楽エンジニアのまたらんが分析します。



現役音楽エンジニアであり、ギタリストのための音作りbot(@gt_sound_making)管理人である、またらんが話題のアーティストのサウンドやアレンジの効果等を解説させていただきます。


今回は日常的であり非日常的な楽曲を歌うバンドmetro policaの楽曲を分析していきたいと思います。アニソンタイアップを目標に活動する彼女たちの曲のなかにはアニメを意識した楽曲もあり、リアルとフィクションにバイロケートしたmetro policaを聴くことでしか味わえない不思議な視点で世界を映します。


では早速彼らの曲を分析していきましょう。 まず1曲目は「消えない約束」という曲です。


 




まず楽曲全体でのサウンドを分析していきます


ギターは歪みサウンドでのリードギターと中音域を抑えたバッキングギターの2本がメインで入っています。リードギターで中音域を出してフレーズを前に出しつつもバッキングギターでベースとの間にできてしまう隙間を埋めているという感じですね。 ベースのサウンドはコシのあるファットなサウンドながらしっかりと引き締まった音で作られています。鍵盤の音もあるため無理に音域をひろげずに必要なところをしっかりと鳴らすというようなスタンスで作られた音になっています。 そして鍵盤はピアノのサウンドを中心に演奏されています。このピアノのサウンドはハイミッドを抑えていて、ボーカルの音域と被って邪魔しないようにしてあります。歌モノはボーカルが楽曲の中心になるのでそういったことも考えなくてはいけません。 


では楽曲へのアプローチを見ていきましょう。まずこの曲を聴いて思ったのはアニメのオープニングとして使われていそうだなという感想でした。歌い始めは引きの絵で風景が映って少しずつキャラクターにズームしていって間奏でタイトルが出て……というような具合でイメージできたのです。アニメのオープニングで使われる楽曲は(テレビサイズの話になってしまいますが)1分半のなかに起承転結を詰め込みキャッチーにそのアニメにあった雰囲気を表現しないといけません。その視点での楽曲精査はアニメのオープニングうんぬんを置いておいたところでも重要です。「消えない約束」ではそういった短い時間内での展開がはっきりしているため曲を飽きさせずに聴かせるように上手く作られていますのでその点について詳しく見ていきましょう。


まず歌い出しはブリッジミュートのギターとハイハットでタイトに刻むリズムと歌で成り立っていて、そこからバンドインしてリズムを立ち上げてブレイクで歌を残してイントロに入っていきます。イントロに入るまでにも2段階でリズムが切り替わっています。またAメロでも前半がピアノと歌だけで後半がバンドインして8ビート主体になります。Bメロもサビも同様に二段階でビートが移り変わる構成になっていて、曲の表情を素早く切り替えることで楽曲をキャッチーに聴かせています。また同じ効果を狙ったものとして長すぎるセクションがないということも挙げられます。たとえばイントロ(0:25〜)も1回し分だけですし、1サビを抜けた後のギターソロ(1:30〜)も短い尺でまとめられています。キャッチーでポップな楽曲のキモには曲をダラダラとさせないということが重要なのがおwかりになったでしょうか。


では続いて「nostalgia」という楽曲を分析していきましょう。






この楽曲は鍵盤の音とクリーンにギターが主体になっていて独自の雰囲気を持っている楽曲です。ギターもオブリフレーズが多く鍵盤のフレーズと絡んで面白い効果を出している部分も多くあります。そのためエレクトロ的な雰囲気とギターロックのような雰囲気が共存しつつ、どちらでもない無二の楽曲世界観が生まれています。「消えない約束」とは打って変わって鍵盤はピアノやミュージックボックスなど雑多な音を使って曲の表情を色づけています。まだギターがエフェクターを上手く使って電子的なサウンドを作っていることによってその傾向はより顕著です。たとえば2A(2:07〜)でのR側から聞こえる音はワーミーペダル(もしくはオクターバー)とディレイをつかってエレクトロな雰囲気の音を再現しています。


またこの曲で注目したいのはアウトスケールの音(キーがCの場合ドレミファソラシドから外れた音)をところどころ使っている点です。使いようを誤るとただ音を外しているように聞こえるのですが、この楽曲ではその違和感を入れることで曲に浮遊感を持たせています。間奏での転調(3:22〜)やその直前のふたつのキーが同時進行的に演奏されているのも同様の効果を狙ってのことでしょう。こういったアプローチは冒頭で述べたリアルとフィクションのバイロケーションに近い違和感を生んでいます。


ちなみにこの「nostalgia」はアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』を意識して作った曲だそうです。『あの花』を見た人からすれば歌詞がアニメとリンクして感じられるでしょうし、見ていなくても聴いた人が自分に重ねて解釈ができるようになっているといえます。そういった意味で彼女たちの楽曲は非日常的でありながらも日常的であるといえるのです。


文・またらん



metro polica

miki(Vo)、megu(Key)、kou(Gt)、chika(Gt)、koji(Ba)。2012年、バンド結成。2013年、1st シングル「storobo scope / Fuzzy light」をリリース。同年12月、1st アルバム『夢の始まり 世界の終わり』をリリース。同日、大阪の福島2ndLINEでリリース・イベントを開催。2014年、関西以外にも活動の範囲を広げ、同年12月に2nd シングル「continue」を発売。2015年10月、MINAMI WHEEL 2015にてコンピアルバム『TOKIKAKE MUSIC』を3000枚配布。同月福島2nd LINEにてフリーライブイベントを行う。同年11月、3rd シングル「nostalgia」をリリース。2016年7月、metro polica × スノーマン split CD「refrain」発売。タワーレコード各店にて取り扱い開始。2016年8月には心斎橋JANUSにてスノーマンと共に「refrain-夏の大三角-」を開催した。


metro polica オフィシャルホームページ

http://metropolica.web.fc2.com/

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