東京出身のシンガーソングライター、中嶋ユキノ。上戸彩や中森明菜への作詞提供、川嶋あいのバックコーラスなど、10年以上にわたるキャリアを持つアーティストだ。現在30代の彼女は、20代の頃から書き溜めてきた楽曲を集大成にしたデビュー・アルバム『N.Y.』を8月にリリースした。浜田省吾をプロデュースに迎えた今作には、”満を持して”という言葉が相応しい。






アルバムのリード曲「斜め45度」は、幻想的な音に、やわらかな声で始まる。どこか現実味のない、夢の中のような音楽が、サビに入った途端に明るく花開く。〈あなたはあなたのままがいい〉というメッセージが、聴く人の背中をそっと押す。最後の〈ほら 笑えたね〉で、聴く人を自然と笑顔にさせる楽曲だ。ソングライターとしてのキャリアが長いからこそ紡ぎ出せる言葉とメロディだと思う。


中嶋の現在のファン層は30〜40代の男性、20〜40代の女性が多い。一方で彼女は、自分と同年代の女性に響くような楽曲を書いていきたいという。楽しいことだけでなく、毎日つらいことがある中で、それでも上を向こうと歌う「斜め45度」は、きっと同世代も含めたすべての人に沁み渡るはずだ。同じく『N.Y.』に収録された「Starting Over」でも中嶋は〈新しい私 始まるよ〉と歌う。温かなメロディに乗せられた歌詞は、そっと、しかし確かに聴き手の心を勇気づける。

シンガーソングライターとして良質な音楽を届けつつ、バックコーラスなど他のアーティストとの仕事も受けていきたいという中嶋。シンガーとしては、リリース後のインストライヴや、定期的なワンマンライヴを行っている。次回ワンマンライヴは2017年1月9日、品川プリンスホテルクラブeXにて開催。優しく芯の強い歌声は、きっとこれからも多くの人の心に灯り続けることだろう。


文・小島沙耶



中嶋ユキノ

2003年よりシンガーソングライターを目指し活動を始め、川嶋あい、水樹奈々、ももいろクローバーZなどのライブのバックコーラスや華原朋美、ポルノグラフィティ、久保田利伸などのレコーディングコーラスなどコーラスワークを数多く手がける。またその一方、中森明菜、上戸彩、AAAなどへの作詞提供も行い、ライターとしての活動も並行して行う。2011年に「桜ひとひら」で配信デビューし、iTunes総合チャートで4位に入る。2012年には配信曲を集めた7曲入りのアルバム『Dear...』をリリース。2013年には初のセルフプロデュースのピアノの弾き語りアルバム『Starting Over』をリリース。2016年には待望のフルアルバム『N.Y.』をSME Recordsよりリリースした。次回のワンマンライブは2017年1月9日、品川プリンスホテルクラブeXにて開催。

http://nakajimayukino.com/



『N.Y.』

 SME Records

発売中