写真左から、COLEMAN(Bass, Cho)、RINAMAME(Drums, Cho)、MARTIN(Violin, Vo)、BLACKO(Guitar, Cho)

ケルティックで、ジプシーチックで、ロックでパンク。
酒と人生と人類の、泣き笑いの歌

――まずは、自己紹介をお願いします。

MARTIN(Violin, Vo):色んな国のフォークミュージックをベースにして、新しいケルティック・ロック・パンク・フォーク・フュージョンを混ぜたようなバンド、JOHNSONS MOTORCARです。
RINAMAME(Drums, Cho):メンバーはオーストラリア、日本、アメリカ、アイルランドと、みんなそれぞれ出身の国が違うんです。

――その点が、すごく面白いなと思ったのですが、今まで、このメンバーでしかできないことや、このメンバーでよかったと思うことはありましたか?

MARTIN:ねえよ!(笑)。
一同:(爆笑)。
RINAMAME:あるある! いっぱいあります!



――このメンバーが集まったきっかけはありますか?

MARTIN:いや、ないよ。別に。このメンバーじゃなきゃ駄目だけど、別に最初からこのメンバーじゃなくてもよかったとは思うんだよね。たまたま、というか、運命、というか、別にこういうオッサン(COLEMAN)探したわけでもないし、こういうチビ(RINAMAME)を探したわけでもないし(笑)。別に、作ろうと思って作ってきたわけではないけど……。

――出会ってしまったと。

MARTIN:そうだね。(出身の)国はみんな違うけど、東京に来て出会って……。アイルランドにいたらこのバンドはできない。日本でしかできないバンドだね。みんな色んなルーツもあるしね。でも、アイリッシュっていうルーツは嫌いなんだよね?
BLACKO(Guitar, Cho):嫌いかなあ?(笑)。
MARTIN:嫌いっていうか、ベタな感じが、あれはお年寄りがよく聴いてる日本でいう演歌みたいな。それで、BLACKOは、U2とかが好きで。
BLACKO:ポップロックは好きでしたね。メタルはもう大好きで。アイリッシュ音楽の、伝統的なバンドはつまらなかったけど、メロディが素晴らしいと思ったんです。ずっと、このメロディをもうちょっと元気よくさせたら面白いのにな、と思っていました。
RINAMAME:出会いは路上だったんです。ちょうど私がバンドメンバーを探している時、道を歩いていたら路上で演奏している人がいて、すごく素敵な音楽が聴こえて来て。その時に、この音楽だ!と思って近づいたら、それがMARTINとBLACKO(笑)。
MARTIN:よく声かけてくれたよね。名刺を渡されて、「ドラム」とか「パーカッション」とか「アロマテラピー」とか肩書きが色々書いてあって(笑)。
BLACKO:マジシャンとかね(笑)。
RINAMAME:もう直感で、ビビッと来ちゃったんで、話しかけたんです。後日スタジオでセッションしてくれて、それでバンドになりました
MARTIN:日本にいて、日本人に話しかけられることってあんまりないんだよね。日本人って、緊張しちゃうとか、外人は怖いとか、変な文化があるじゃない。だから、話しかけられて、名刺を渡されて、しかも音楽と全く関係ないこと書いてあったりして(笑)、不思議感がすごくあって。なんだ? この人みたいな(笑)。それで、スタジオに入ってジャンベをちょっと叩いてもらったんだけど、あんまりピンと来なかったんだよね。だったら今まで通り2人だけでやっちゃおうみたいな。でも、ちょっとだけドラムを叩いてもらったら、2人で顔を合わせて「えぇ〜!?」みたいな(笑)。
BLACKO:そしたら、MARTINが……。
MARTIN:お前(RINAMAME)は、パーカッションじゃない。ドラムだ!って。それから、彼女とはずっと一緒だね。そのあと3人でずっと路上やアイリッシュパブとかで演奏していて。路上だと、RINAMAMEはカホンをスネアスタンドにして踊りながらやってくれて。ライブではドラムセット持って来てね。それで、RINAMAMEが一番すごいのは、曲のアレンジとか全く知らないのに、いきなりやってもできるのよ。
RINAMAME:いきなりライブで知らない曲をやらされるんですよ(笑)。
MARTIN:オーリオー!みたいに勝手なアレンジをして、本当にライブをしているなって感じだった。それが、すげえ楽しくて。なんかあるね、これは。みたいな。それから、路上でやるのが厳しくなってきたんだけど、警察とかがよく来るようになっちゃってね。それで、もう路上でできないなら、ライブハウスでやるしかないじゃん?って。




――そこから、初めてライブハウスで?

MARTIN:いや、初めてではないんだけど、ライブハウスがメインになったのは、路上でできなくなったのがきっかけだね。それで3人でライブハウスでやっていると、他のバンドはベースの低音があって、俺らにはベースはいなくて。やっぱりベースが必要だなと思って。でもちょっとベースの問題があってね(笑)。
BLACKO:4人くらい変わったね。
MARTIN:あんまり覚えてないけど、すごくたくさんの人がベースをやってくれたんだけど、リハに必ず2時間遅れてきたり、ライブに来なかったりする人がいてね。ベースに関しては色々問題があってなかなか決まらなくて。それで、ミニアルバムを作った時のベースが、元BEAT CRUSADERSのケイタイモさんで。アルバムを作って少しツアーをしていたんだけど、ケイタイモさんはWUJABINBINを組んだりして、時間があまり取れなくなってきてね。結局ケイタイモさんはWUJABINBINに集中しなよってことでお互い話し合って、またベースを探し始めたんだよね。ちょうど、その時のアルバイト先にCOLEMANがいたから、よかったら一緒にやらないかって声をかけてみたんだ。そしたら、「是非やりたい」って言ってくれてね。
RINAMAME:熱いものを秘めてんたんですよ
MARTIN:元パンクスだからね、COLEMANは。COLEMANは結婚してて子供もいて、日本にいるのは一番長いけど、一番日本語下手くそ。17年くらいいるっけ?
COLEMAN(Bass, Cho):いや?
MARTIN:いや、17年でしょ。年とってわかんなくなってるから(笑)。
一同:(爆笑)。
MARTIN:まあまあ、俺は、パンクスって気持ちが強い人だと思うんだよね。だから、何かをやりだすととことんやる。それとアンダーグラウンドな裏世界にも視野が広くて。だから、元パンクスだからちゃんとやってくれるだろうとかじゃないんだけど、俺らのロックな感じは、やりたいと思ってくれるんじゃないかなって思って。それで、一回、COLEMANと一緒にライブをしようってなったんだ。今までのことがあるから、俺らは、ベーシストはちゃんとしてないってイメージがあったんだけどCOLEMANは曲も全部バッチリ覚えてきてくれていて。ちょっと新鮮な感じだったね(笑)。それで、是非一緒にやろうと。




――なるほど。それで今の4人が揃ったんですね。

MARTIN:そこから4人でアルバムを作ろうと。
BLACKO:バンドのエボリューションのお話ですね!
MARTIN:うん。それで、『Hey Ho Johnny』を作って。そこから、アルバムを作ってきた中での繋がりで、いろんなところでライブをやらせてもらって。フジロックとか、フェスにも出るようになって、ライブハウスのイベントでもお客さんを呼べるようになって。そしたら、曲数が足りないかなーって思って。もう1つアルバムを作ろうという話になって、レコーディングまでしたんだけど、RINAMAMEが妊娠しててね(笑)。

――今回のアルバムのレコーディングですか?

MARTIN:そう。『ROCKSTAR CIRCUS』のレコーディングは去年したんですよ。それで、出産も間際だったから、急いで出す必要ないんじゃないかなって思って。みんなが揃った時に出そうという話になったんだよね。

――妊娠中にレコーディングをされたんですか?

RINAMAME:はい! 大きいお腹で頑張りました!

――それは、大変でしたね。

RINAMAME:みんな、すごく気を使ってくれたのでやりやすかったです。私自身も体調に気を付けて奏法なども工夫しながらレコーディングしました。今回のアルバムは2倍のエネルギーが込められているのでそのパワーを感じて欲しいですね。

――今回の「ROCKSTAR CIRCUS」の制作について一番こだわった点はありますか?

RINAMAME:このアルバムは、今までのJOHNSONS MOTORCARよりも、更にJOHNSONS MOTORCARらしさが出ていて。出身国が違うメンバーそれぞれの個性や文化がMIXできたかなと思います。JOHNSONS MOTORCARにしかできないようなちょっと面白いアレンジになっていたりして、そこを聴いて欲しいかな。

――実際完成後の感触はいかがですか?

RINAMAME:いいですね! 早く聴いて欲しいです。
MARTIN:1stアルバムよりステップアップしたと思う。曲もそうなんだけど、レコーディングでのマイクの位置や、バイオリンの録り方とか、すごくよくなってると思う。曲的にも音的にもレベルアップしていると……じゃないと、やめてるからね(笑)。久しぶりにこの間このアルバムを聴いたけど、レコーディングの時と同じように「これ、いいなあ」と思ったよ。レコーディングの時って、フレッシュで、「うちらが作ってきた新しい曲! わー、できた!」って気持ちはあるけど、1年近く経って改めて聴いてもレコーディングの時と同じワクワク感がまた沸いてきて。だから、このアルバムはいいアルバムだと思うよ。ギターもすごくよくなったしね。

――JOHNSONS MOTORCARのライブの楽しみ方ってありますか?

MARTIN:ないです! 一番前で押しつぶされながらもじーっと見ていてくれる人も、後ろで踊りまくってくれている人も、端っこでダイビングする人に怒っている人もいるけど、別にJOHNSONS MOTORCARのライブに来たら必ずこれやれや!みたいなのはないですね。俺らも、いろんな文化あるし、アッパーな曲しかやらないバンドでもないし、自分の好きなように見て欲しい。でも、周りの人も自分の好きなように見ているってこともわかって欲しい。
RINAMAME:私も、その人なりの楽しみ方をして欲しいです。でもやっぱり、こっちとしては、みんなに元気を与えたいという気持ちでやってるので、ストレス発散というか、自分を解放して楽しんで騒いでくれたらいいな、とは思いますね。
BLACKO:僕らのお客さんは、いろんな人がいるんですよ。パンクが好きな人、アイリッシュが好きな人、ロックバンドが好きな人……。
RINAMAME:ちびっこも沢山ぴょんぴょん踊ってくれる!
BLACKO:そう、子どもや、おじいちゃん、おばあちゃん。もうみんなの音楽みたいな感じですね。自然に自分の心をリリースする音楽です。




――最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。


RINAMAME:クスッと笑ってしまうような面白い曲も、心にグッと来るメッセージ性の強い曲も、泣ける曲もあり、幅の広いアルバムになっていると思うので、たくさん聴き込んで欲しいなと思います。
BLACKO:アイリッシュもある、ジプシー的な音楽もある、ハードロックもある、こんなアルバムは珍しいと思うので、是非聴いて欲しいですね。
MARTIN:ヒップホップみたいなのもあるね(笑)。いいもの作ったので、買ってね!!(笑)。

インタビュー・文:徳田菜摘(muevo)
写真:イトウユキ


JOHNSONS MOTORCAR
音楽一家で育ちスコットランドの血を引くアメリカ人MARTIN と陽気で生粋の酒好きな大声のアイルランド人BLACKO、静かな佇まいと裏腹にパンクスピリットを秘めるオーストラリア人 COLEMAN、小柄だけれど大男たちを束ねるパワフルな日本人女性 RINAMAME。そんな4つの超個性が交じり合った東京生まれの多国籍バンド「ジョンソンズ モーターカー」。彼らは、ケルティックで、 ジプシーチックで、多くのトラディショナルを織り交ぜた自由気ままなロックを轟かせながらステージを爆走する。女の子だってお爺さんだって、仕事中の バーテンダーに厨房のシェフだって、ジョンソンズ モーターカーの音楽を浴びれば、思わずシンガロングでダンシング!!
http://johnsonsmotorcar.com/


『ROCKSTAR CIRCUS』
tactics records
4月12日発売

前作より3年ぶりのリリースとなるセカンド・アルバムが遂に登場。ケルトやジプシー音楽が色濃く漂う、ロックでパンクな、エネルギーに満ち満ちたアルバムが完成した! カヴァーするケルト民謡も、思わずステップしてしまう必殺チューンのアレンジはもちろん、ジャンルを飛び越えヒップホップ調に大胆に解釈した楽曲など聴きどころが満載! 自由過ぎるこの音楽集は、笑って泣けるサーカス団のような一枚!! 

「ROCKSTAR CIRCUS」特設サイト
http://johnsonsmotorcar.com/cp_rockstarcircus/

<Live Schedule>
4月30日(日)大阪・アメリカ村 FANJ twice
5月7日(日) dues新宿 (diskunion購入者特典イベント)
5月20日(土)、21(日) 猪苗代野外音楽堂 音開き 2017 ※出演日後日発表