ThreeQuestionsは日本の4人組アートロック・バンドである。即興音楽を奏でる前身バンドの流れを引き継ぎ、名称を「ThreeQuestions」として2009年秋に結成。ポエトリーディングを基軸に、突き抜けるようなサビと叙情的な音楽を特徴としている。ライブハウスでは非常に稀有な大きいキャンパスに短時間で変化を描きながらライブアートを行うなど、その独自の世界観を形成している。メンバーのK:soul:y a.k.a YANは、このライブアートを専門に担っているという。バンドとしては非常に珍しいスタイルだ。今年の2月に発売された1stフルアルバム『The World』から彼らの魅力に迫った。


■ThreeQuestions「POOL」 




『The World』のリードトラックとなるこの曲。オープニングと同時に4つ打ちで鳴らされ続けるバスドラムが、楽曲に進行感と緊張感を演出する。ギターリフは水面を彷彿させるような音色だ。このギターリフに絡まるように鳴らされるキーボード。次々と楽器の音が増えてゆく。曲が進行する間、刻々と描かれてゆく幻想的なアートワークが、楽曲の世界観を一層深める。 中盤、キーボードと歌のみになった後は、歪んだギターがブリッジミュートで奏でられ、ドラムはクラッシュシンバルを連打する。ポエトリーディングが淡々とした場面であっても、感情の昂ぶりが楽器で見事に表現されている。最後はぐちゃぐちゃになった背景に歪な時計が描かれて終わる。これが、POOLなのだろうか……? 音とアートの融合。何処か、聴き手を異世界、物語へと誘うような見事な作品に引き込まれた。


その他の楽曲はどうだろう。アルバムの1曲目を飾る「ペトリコール」は雨音のノイズから楽曲がスタートする。トーンを絞ったギターと、キーボード、囁くようなボーカル。自然と気怠い雨の情景が目に浮かぶ。終始、ギターとキーボードのフレーズは呼応するようだ。ドラマチックなその曲展開は、自然と涙腺を刺激してくる。 「2016」は終盤にポップスの王道である4536と呼ばれるコード進行が登場する、歌物要素の強い楽曲だ。ギターのトレモロピッキングの上で鳴らされるキーボードが何とも 美しく、儚げだ。アルバム最終曲「HELLO FUTURE」は、ギターとヴォーカルのみという弾き語りのようなスタイルから始まる。コードの響きが非常に美しく、1サビ終わりに弾かれるギターソロは涙を誘うよう。終盤では雑踏のノイズが混じり、バンド全体がin。壮大なスケールで楽曲が終わる。 


一貫して感じたことは、楽曲毎の世界観が確立していること。そして楽器のハーモニー、音色が美しく、叙情的。涙腺を刺激されるサウンドだ。このアルバムを聴けば「POOL」以外の楽曲も映像付きで観たくなるのでは無いだろうか。是非今後のライブに足を運び、生音と映像の美、ThreeQuestionsが創り出す世界に浸ってみてはいかがだろうか。


 ~メンバーの内藤重人から読者の皆様へ~ 

ThreeQuestionsというバンドで鍵盤と歌を担当してます、内藤重人です。 まだ自分達がいない場所に踏み出す最初の一歩は肝心だと思うし、脈絡のない文章になってしまうかもしれないけど、この言葉の切り出しが何かを生み出す始まりになるように願いを込めて書かせて頂きます。僕達は結成8年目の東京のバンドです。何系?と聞かれたら、よくわからないし。どんな感じのバンド?と聞かれても直ぐに答えるのはなかなか難しいです。でも、ちゃんと時間を掛ければ答える事が出来ると思うし、今日は少し向き合ってどんなバンドなのか書いてみようと思います。


バンドの名前が生まれて8年間が経ちました。僕達の音は踊れる音楽ではないし楽しい音楽かと言われたら、そう……でもないかな。と答えるべきだと思います。でも、誰よりも深くて静かなところにある感情の源を描く力があるバンドだって思います。誰かみたいになりたい。誰かみたいな音楽をやってみたいって思ったことは当然あるけれど。それをやってみようと思ったことは不思議なことに今まで余りないです。


初めて楽器で曲を作った時から導かれるように自分に凄く自然に馴染むようなコード感がありました。僕は最初の頃、メロディを歌うことが出来なかったから、ただしゃべり続けていました。記憶力も余り良くないし思いつく言葉、思い浮かぶ言葉、それを自分の好きなコード感に載せて叫んでいた。それが僕達のライブの始まりでした。時間を経て、音は進化していきました。訪れた街、音を鳴らしてきた場所、出会った人、語り合った言葉が僕に自分以外の所から生み出される言葉を教えてくれました。それは喪失感であったり、焦燥感であったり、喜びだったり、憤りだったりしました。僕達はそれに色を塗るように曲にしていきました。


そうして今年僕達は最初のアルバムを発表する事が出来ました。僕達の音を聴いてもらえる中で、もしも触れ合える感覚があったなら、僕達はきっと深く分かち合えると信じています。進む道を薄明りのような光で照らし続けていけるような音を鳴らしたいと思います。僕はThreeQuestionsはそんなバンドだと思います。いつかどこか音の鳴る場所で巡り合えることを祈っています。


1st Full Album『The World』 

01.ペトリコール 

02.2016 

03.Entrance to transparence 

04.N.G.I ELECTRO 

05.POOL 

06.開戦 

07.ハロー 

08.HELLO FUTURE 


ThreeQuestions 

即興を主とする前進バンドを引き継ぐ形で2009年秋結成。リーディングスタイルで言葉を紡ぎつつ、突き抜けるようなメロディを併せ持つ。幾度かのメンバーチェンジを経て2015年暮れに現体制となる。ライブハウスでは非常に稀有な大きいキャンパスに短時間で変化を描きながらのライブアー トと音楽を融合させ独自のライブを展開している。 


【MEMBER】

内藤重人(Vo, Key)

コダマカズト(Gt, Cho)

永井大輔(Dr, Pad, Cho)

K:soul:y a.k.a YAN(Live Art/Art Direction)


公式ホームページ http://3q-web.com