ノイ　鋭利でありながらも心に寄り添う音と言葉

2019年に初投稿『炭酸ラビッシュ』でデビューを果たしたボカロP、ノイ。

エレキギターが左右で絡み合うロックなサウンドを軸に、情熱的でありながらも憂いを感じさせる楽曲を多数制作。活動開始から１年、2020年４月には1stアルバム『余白』をリリース。同10月からはサブスクも解禁された。

またこの2020年は、歌手・田口淳之介と総勢14名のボカロPとのコラボレーションプロジェクト『Heart JUNction』の第一弾アルバム『ジュウゴノシンゾウ』にも参加。楽曲『フライアウト feat.ノイ』を作り上げ、より広い層へと自身の音楽を届けていった。

・ロンリーグレイ / ノイ feat. 初音ミク

2019年5月に投稿し、2020年10月現在でYouTube再生回数14万回を超える楽曲『ロンリーグレイ』。昨年4月に亡くなってしまった、ボカロPでもあり、バンド・ヒトリエのボーカル・ギターでもあったwowakaを想って作られているが、「追悼ソングというイメージではなく、自分の音と言葉で作った。自分の感情を100ぶつけて、自分の色が出た」という1曲だ。

左右で駆け抜けていく鋭利なギターフレーズ。感情をあらわにするようなバンドサウンド。歌詞の切なさと強さがそのままサウンドになったかのようなその音は、ガツンと感情を刺激する。

「大事な叫びなのであえてアルバムの終盤に入れた」と話すように、“失うことと生きること”をテーマにした1stアルバム『余白』の9曲目に収録されている。それがこの楽曲に込められた想いを象徴しているといえるだろう。

・ソーシャルディスコード / ノイ feat.flower

「これまでは前向きな言葉の多い曲を作ってきたけど、社会の歪みに触れたような、初めての毒っぽい曲。数あるニュースのメディア報道に対して必要以上に騒ぎ立てる風潮や報道する側の伝え方、受け手の読み取り方によって歪みが生じていくことに対してのアンチテーゼのようになっている。その歪みに気づいて欲しいという想いが込められている」という楽曲『ソーシャルディスコード』。

その言葉通り、≪批判することに慣れてしまった少年は盲目的正義を握り締めた≫≪匿名で浮かんで切り取る社会揚げ足取りなど要らない≫と、現代社会に対しての強いメッセージが飛んでくる歌詞。鋭利に暴れまわるギター。そしてこの楽曲から弾くようになったというベースのゴリゴリのスラップ感。歌詞もサウンドもまさにロックで、鋭い。端的に言い表すならば、とにかく突き抜けたカッコよさを持つ1曲だ。

・ロストアイボリー / ノイ feat.初音ミク