虚無感と情動をテーマにポップミュージックを作る廃墟系ポップユニット、cadode(カドデ)。

廃墟の持つ、時の流れの歪さ、寂寥感、美しさ、わびさびを、「虚無感と情動」として表現している。

2016年にkoshiとebaが友人の紹介で知り合ったことがはじまり。

 “廃墟散策”という趣味を通じての友人という間柄だったが、カラオケでkoshiの歌を聴いたebaがその歌声の魅力に気づく。

もともと職業作曲家として既に活動していたebaは、依頼で制作する音楽だけではなくかねてより自分の作りたい音楽のヴィジョンがあり、koshiを勧誘。
さらに「裏方が表に出てきてもいいんじゃないか」という発案で、作家でありマネージャーの谷原も正式メンバーとして加入。
そこから本格的に活動がスタート。メンバー全員、従来の仕事を辞めて音楽活動を始めることとなった。

ebaと谷原はアニメやゲーム、ヴァーチャルといった界隈で活動していたため、そのジャンルからの支持は多くあったが、現在ではその音楽性の幅広さとクオリティの高さから、老若男女問わずシーンを超えてファンを増やしている。


「時間は戻らず一生手に入らない。
それは分かっているけれど、諦めきれず燻っている自分がいる。

cadodeは、そんな僕らが⻘春をやり直そうとするユニットであり、
“誰かの生きづらさを熱量に変える”ためのユニット。

cadodeという名前は新しい音楽の門出、
誰かの新しい発見や体験の門出になって欲しいという思いから名付けられている」



・cadode - カモレの夏(Music Video)



2023年6月9日にリリースされた楽曲『カモレの夏』。


≪テーブルの上で歌う最後のうたを かき消しながら過ぎていく 夏風は遠くへ≫。そんな風に歌う同曲では、日本の夏特有ともいえる寂しさ(特に夏の終わりや、いつかの夏を振り返る際に生じる)や儚さ、虚無感のようなものと情緒を強く感じる。


涼し気で雰囲気のある歌声にはもちろんのこと、サウンドの広がりや抑揚などからもそれは感じられるだろう。メロディーラインはキャッチーでありながら、サウンドの描き方はすごくモダンでアートチックだというのもポイント。


感傷にも浸れるし、そのセンスの良さにテンションを上げることも出来る1曲だ。



・cadode - 回夏(Music Video)[TVアニメ『サマータイムレンダ』1stEDテーマ]



TVアニメ『サマータイムレンダ』のEDテーマとなった楽曲『回夏』。「『サマータイムレンダ』と曲がリンクしているので、その整合性を楽しんでもらいたい」と話すように、同作はアニメの雰囲気との高い親和性が大きな特徴だろう。


儚さや切なさに、青い炎のように燃ゆる想い。そこにどこかミステリアスな雰囲気が加わり、他の楽曲では味わうことが出来ない、唯一無二の雰囲気を創出。聴く者は、その雰囲気の中にどんどんと引き込まれていくのだ。


アンビエントのような静の美しさと動を兼ね備えつつ、歌心全開のメロディーラインを歌うなど、大衆性と洗練性を同時に発揮しているというのも、やはり魅力的。


・cadode - さかいめだらけ(Music Video)



Nintendo Switch™/PlayStation®4用ゲーム『サマータイムレンダ Another Horizon(アナザーホライズン)』のエンディングテーマ。こちらはアニメと同じタイトルでもゲーム用の楽曲で、「改めて歌詞をみながら聴いてもらえれば発見があると思う」と話すように、『回夏』とは視点を変えているのがポイントだ。


サウンド的にもよりアグレッシブなフレーズや展開が増えているように感じられる。かと思えばバックミュージックのない美しいコーラスだけで描くシーンもあるなど、一筋縄ではいかない、予想をつかせない展開で聴かせる。


何度聴いても飽きない楽曲だということは間違いないだろう。歌詞を味わいながら、音を堪能しながら、是非何度も聴いていただきたい1曲。




「緻密な音世界がグループの魅力で、ライブでもサウンドを忠実に再現しているが、いずれはライブでバンドセットのスタイルも取り入れて、ライブならではの新しい価値を提供していきたいとも考えている。定期的にワンマンをやりながら安定してリリースし、息の長い活動をしていきたい」。


これから先の活動について、そんな風に話す彼ら。長く追いかけていけばいくほど、楽しませてくれる存在であることは間違いない。


是非今、チェックしておいていただきたいグループの一つだ。



【リリース情報】



2023/6/9(金)リリース

「カモレの夏」



【ライブ情報】


cadode live “浮遊バグ"
6月17日(土) 東京キネマ倶楽部

OPEN 17:15 START 18:00