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グミーー聴き手の想像力を掻き立てるサウンド

グミーー聴き手の想像力を掻き立てるサウンド

muevo編集部にリクエストが寄せられた「気になるアーティスト」を紹介するmuevo pick up。今回は「グミ」のサウンドの魅力を現役音楽エンジニアのまたらんが分析します。


写真左より、ショーケン(D)、みちる(Vo, Gt)、さよならふるした。(28)、こたぽん(Ba)


現役音楽エンジニアであり、ギタリストのための音作りbot(@gt_sound_making)管理人である、またらんが話題のアーティストのサウンドやアレンジの効果等を解説させていただきます。今回は2013年に結成された札幌出身ギターロックバンドでSUMMER SONIC 2016にも出演したグミの楽曲を見ていきましょう。


今回解説するのは彼らの1stシングルとしてリリースされた「夢の続きをソングする」です。ストレートなギターロックで普遍性を持つ音楽性なため多くの人が参考にできる音楽だといえるでしょう。





まずは全体的な音作りから見ていきましょう。リードギターがミッドを強く出して抜けの良い音作りです。サイドギターはリードギターよりも歪みを抑えて高音部の煌びやかさを押し出した乾いた音になっています。このギター2本の合わせ方はギターロックの定番ともいえますね。ベースも自然にバンドに混ざりながらバンドの音を下支えする音作りです。まさにギターロックをやる人にとってはお手本になるようなサウンドといえるでしょう。

楽曲について見ていくと目立つような特殊なアレンジがあるわけではないですが、しっかりと楽曲の良さを引き立てるアレンジがなされているため非常に参考にしやすいと思います。

まず、この楽曲はサビ始まりなのですがサビに入る前にドラムの連打から入ります。これによって疾走感を持たせて曲に入ることが出来ます。その疾走感を殺さないようにバンドイン後もスネアロールは続いていて、一方弦楽器隊は白玉音符で弾くことでメロディを食わないように抑えられています。またこれはライブでのオーディエンスの動きが意識されたアレンジともいえます。疾走感があるのにビートにはノれないフラストレーションをここで溜めるわけです。


そしてキメの後のビートが強調されたセクションに移るとオーディエンスは一気に解放されてノリノリになるという上手い駆け引きが浮き上がってきました。このアレンジはライブに重きを置いているバンドにはかなり参考になるものだと思います。


Aメロは8ビート主体でベースも8分で刻みギターも控えめに鳴っているアレンジも定番ですが、定番ということはそれだけ安定感のある形だといえるわけです。たまに常に全力を出しているようなバンドがいますが、こういった引き算で落ち着かせるパートを作り、曲に起伏を持たせるのは非常に重要です。

そしてBメロでは追っかけコーラスが入ります。追っかけコーラスとは輪唱のことで、つまりはかえるのうたみたいなものの事です。これによって尺の長いメロディラインでも間延びせずに聴かせることもできますし、よりメロディを印象づけられます。ライブでのことを考えるとお客さんが一体になって歌うことが出来るパートでもありますね。

サビ前のブレイクでは歌だけが残ります。「この3分間だけ」というフレーズがはっきりとここで聴き手に伝わるわけです。3分間というと一般的に1曲あたりの時間としてだいたいで認識されている時間数です。こういった聴き手のバックグラウンドの知識を要する言葉を強調されるポイントに置くことで聴き手の想像力を活性化させる効果があります。


人間は中途半端に知ってしまったものをすべて知りたいと思うという心理学の論理があります。これによってこの「3分間」は1曲のことなのかという答え合わせを聴き手がしたくなるようになっているのです。答え合わせをする=自分たちの曲の歌詞をよく聴いてもらうということです。よくあるアレンジだとしてもこういった潜在的な効果があるわけなんですね。これはインターネット上で公開される音楽でやるとその効果は高いかもしれません。


曲の後半を見ていくとサビが2回繰り返されます。1回目では白玉コード(全音符によるコード弾き)~スネア連打と徐々にリズムを立ち上げていく過程が見てとれます。そしてラスサビ前にはまたブレイクが「歌いたい」という言葉ともに入ります。ここも先ほどの「3分間」と同じ効果があります。ただ、先に「3分間」が出てきているため「歌いたい」ということはやっぱり曲のことだな、でも本当にそうかな?全部歌詞をちゃんと見たい!と思わせることができるわけです。こういったアプローチをとることによって歌詞を聞き流されないようにすることが出来るということがわかったのではないでしょうか。

こういった点を取り立てていると音源を意識した曲のように思えるかもしれませんが、メロディラインの立て方やリズムの移り変わり方などはかなりライブでのオーディエンスがノりやすいように作られています。こういったタイプのバンドの場合その両方を意識した楽曲作りが求められるということがよくわかる例だったといえるでしょう。




文・またらん



グミ

2013年にバンド結成。札幌市内を拠点にライブ活動を始める。2014年、自主制作アルバム『藤沼アルコホリック』を制作(※現在は廃盤)。2015年7月22日に1st Single『夢の続きをソングする』をタワーレコード札幌ピヴォ店・渋谷店の2店舗限定リリースする。その後、現在のメンバー編成となり、ライブ活動を精力的に行っている。


グミ オフィシャルホームページ

http://gumi-sapporo.com/


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