2007年にメジャー・デビューを果たしてから、一時も休むことなく走り続けてきたサカナクション。今では日本を代表する『巨大音楽装置』と化した彼らは、内面では迂用曲折しながらも、遂にひとつの神器というべき新曲、《さよならはエモーション》を手に入れました。
今回のレコーディングにおいては特に、リアリズムにこだわり、なんと1発録!
ワンコーラスが終わったころからスラップする緊張感。そして、クライマックスに向けてジブン達のやり方で、あくまでも見失うことなく、シャープに突き抜けていく、真夜中の奇跡。
まるで革命期のビートルズを彷彿とさせる、ひとつの時代の幕開けをこの1バンドに感じさせるという、まさにエモーショナルな瞬間を体感できるでしょう。
そんな彼らのベースは、いつだって泥臭いビンテージなファンク。
そもそも、ファンクという言葉だけが一人歩きしているような時代になってしまいましたが、本来は一体どういうジャンルなんでしょう。
今日は、その辺を一緒に探っていきたいと思います。
ファンクという言葉自体は、土俗的、つまり泥臭い、という意味の俗語(流行語のようなもの)です。
まずは、ファンクの神様と呼ばれる男のサウンドをご視聴ください。
ご存知、ジェームス・ブラウン(JB)です。
【James Brown/Living in America】
これぞファンク!!
いつ聴いても素晴らしいですね!
ファンクのグルーヴ感については実に多くの人が今でも研究を重ねています。
ちなみに、サカナクションの山口一郎氏は、『揺れ』だと言い、在日ファンクの浜野謙太氏は、『ぬめり感』だと言っています。
実に断片的で抽象的ですが、なんだか共通しているような気がしませんか?(笑)
さて、もともとはジャズが進化して生まれたものだと言われています。
古くから、ジャズは酒場でのダンスナンバーとして発展してきたものですからうなずけますね。
時には白人が優勢を取りながらも、アート・ブレイキー(dr)やホレス・シルバー(p)といった黒人ジャズマンを中心に、アーシーでブルージーなジャズをあえて、そのままファンキー・ジャズと呼んだのでした。
この機会ですから、是非ご視聴ください。
音はあまりよくありませんが、逆に新鮮かもしれません。
【Art Blakey/Moanin'】
有名な曲ですね。
しかし、ファンクと言われるとJBの後ではだいぶわかりづらいかもしれませんが、
どこかそんな香りがする…と思って聴いてみると、きっと感じることができると思います。
またファンクは、ブルースのルーツも含んでいると言われています。
ブルース自体は、黒人奴隷が厳しい迫害から忘れるように酒場で発展したという歴史をもっています。
その後、アメリカ情勢に沿って、たくましく進化していきました。
ファンクはその他にも、ソウルやゴスペルの影響も受けているとされていますが、ソウルやゴスペルはブルースやジャズがルーツになっています。
いずれにしても、黒人奴隷としてアメリカに上陸することになったアフロ・アメリカンが、世代をまたいで60年代から80年代にかけて旋風を巻き起こしたのが、一般的に言われているファンクであると言ってもいいでしょう。
「ファンクは70年代で終わった」などという人がいます。
その後、クロスオーバーやハードロック、ニューミュージックが優勢になった部分に注目したのでしょうか。
音楽への思いや考えはひとそれぞれ。
私は、そうは思いません。
R&Bやブルース・ロックの中、アフロ・アメリカンのスピリットにしっかりと根付きながら確かに存在し、進化していた…。
そして現代。アパレル業界では、リーディング・カンパニーがビンテージ・ファンクを積極的に鳴り響かせ、サカナクションをはじめとしたファンクベースのバンドが次々とデビューを飾っています。
こちらは、2013年にタワーレコード主催のコンテストでグランプリを飾ったバンドですが、良く聴いてみてください。
レゲエやロックに混ざりながら、しっかりファンクの息遣いも聴こえます。
【トレモノ/会いにいくよ】
もちろん、そのまま再現するのではなく、現代に作られる意味をもたせることは、音楽に敬意を払う意味でも重要なポイントであることは否めないでしょう。
真のアーティストにとって、音楽の進化はミッションのひとつ。
いずれにしても今、確実にファンクの波が世界に押し寄せていることは確かである、と筆者は感じています。
最後に、原産国アメリカで生まれ、2014年のサマー・ソニックに出演を果たした、「これぞ!現代ファンクの真骨頂!」というべきサウンドをご紹介して終わりたいと思います。
【Vintage Troble/Blues Hand Me Down】
(AMaster)
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