「スクールカースト最下層に向けた楽曲を発信する」というあらたな層を狙ったガールズポップバンド、POLTAが現在注目を集めている。
どんなバンドか知らない方の為に先ずはどんな楽曲か代表曲を聴いて頂こう。
疾走感溢れる8ビートに小刻みで心地の良いギターのカッティング。
そして歌声が聴こえる頃には既にPOLTAの世界観に引きずりこまれているから不思議だ。
シンセの音色やリズムなどを聴いていると懐かしの90年代シティポップ感に溢れている。
また訴えかけるような中毒性のある尾苗愛(gt.vo)の歌声にギュッと心を掴まれてしまう。
20代は勿論、90年代に青春時代を過ごしてきた30代のロックファンにもオススメのサウンド、そして楽曲だ。
ロックだがバンドの放つ「いなたさ」が渋谷系と呼ばれたソフトロックを彷彿される。
POLTAの実態がなんとなく掴めてきてきたところでもう一曲「ロマンス」を聴いて頂こう。
まるでピチカート・ファイブの様な出会いの洒落たイントロ。
そのふわりとした心地良さに浸っているとサビの強烈な熱量で鼓膜に火傷しそうになる。
1曲目に紹介した「遠くへ行きたい」とはまた違う、バンドの音楽性の懐の深さを押し出した一曲である。
アレンジも完璧に構築されており、付け入る隙が無いのにポップに仕上げている為、聴き手は誰でも手を伸ばせる「身近さ」を感じる。
確信犯的で職人気質なバンドメンバーの人影がチラつく。
相対性理論のような実力を確実に潜めている、まだまだ底の知れないバンドだ。
この30という楽曲もロマンスと同じ手合いだが、歌詞に耳が引っ張られる。
誰もが人生おいて大きな節目を迎える「30歳」を手前にした複雑な心境を素直に歌い上げている。
長い人生を考えると「もう30」という感覚から「まだ30」というポジティブな思考の転換。
シンプルな切り替えだが、作詞を手がけたふくだ傑の頭の柔らかさに舌を巻いてしまう。
リアル世代の20代後半サラリーマン、OLにも共感を得られる曲だ。
こちらもアレンジはシンプルかつ大胆。
サウンドはやはり90年代の渋谷系…フリッパーズギターやピチカート、またサニーデイサービス、ハッピーズなどを彷彿させる雰囲気。
次回作にも大きな期待が寄せられている。
本格派のポップ職人、POLTAからしばらく目が離せなそうだ。