第1回に引き続きQOOLANDからVo. & Gt. 平井拓郎さんをお迎えして、250%で達成したクラウドファンディングについてのロングインタビューをお届けします!


第2回の今回は、リターンを考えていく過程やそれを実行したときのエピソード、またバンドとしての成長など、さらに深い話までお伺いしています!



QOOLANDファンも音楽関係者も必見のインタビュー、どうぞご覧ください。


QOOLAND(クーランド)Profile


四人組ロックバンド。
2011年10月14日に結成を発表。同月23日に初ライブ。
2013年はライブ115本を行う。
RO69JACK 2013 グランプリ獲得。
2014年の1年間にアルバム4枚シングル1枚の計5タイトルをリリース。
"ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014" "COUNTDOWN JAPAN 14/15" に出演。


(引用: http://qooland.com/


ファンは何を考えているんだろうっていう、


その点でリアリスティックに考えるようになりました。





―――では、リターンのお話もお伺いしていこうかと思います。リターンで今回、支援してくれた人がコーラスに入りましたよね。どの曲に入ったんでしょうか



平井:『Shining Sherry』の「♪ナーナナナ」っていうところと、『セレクト』で「ヘイ!」っていうコーラスを入れてもらってます。あと『Come Together』のラストサビ前は、7月28日の新代田FEAVERでのオーディエンスの声を使っています。



―――コーラスに入るというリターンで参加された方の感想ってどんな感じでした?



平井:お客さんにとって、レコーディングスタジオっていう場所に来るということ自体がもうとてつもなくスペシャルな事なんです。そして僕らと一緒に歌えて。「あぁここでQOOLANDの音楽が作られているんだな」っていう事にびっくりされている様子を感じられました。



―――やっぱり、今までのファンがコアになってくれますよね。“自分の声が入った”という体験をしたアーティストはずっと好きでいると思います。



平井:そうですね。 ライトユーザーを掴んでいくっていうのもどこかのタイミングでは必要だと思いますが、まずは“最前のエンドユーザーをどこまで響かせられるか”ということと“どこまで嘘をつかずに活動できるか”っていうのは大切にしたいですね。



―――そうですね。練習スタジオ招待のリターンはどんな感じでしたか?



平井:練習スタジオへの招待は、直接かなりお話もできるので「ファンの方はこう思っているんだな」っていうのを聞けたのが嬉しかったですね。そんな事中々ないですよ。



あと僕らはやっぱり年間100本くらいライブをやっているのもあって、現場が自分たちの中心だと勝手に思っていたんです。


でもそのリターンでいらしたファンの方の中には「CDも全部持ってるしすごく好きなんですけど、ライブに行った事が1回しかない」とか、「ライブは別にそんなに興味がない」みたいな方もいて、確かにそういうファンもいるし、僕はむしろ音楽に対してそうだったなと思い返しましたね。



大好きなアメリカやイギリスのスター達には、会えるものでもないしCDをひたすら聴くしかないっていう音楽の接し方でした。「QOOLANDにもこういうファンもいたんだな」っていう事実を知れたのが大きかったですね。



―――リターンを考えていく過程も楽しかったですか?



平井:そうですね。ただ、前から僕は堀江貴文さん大好きなんですけど堀江さんが『ゼロ』を出版するときにクラウドファンディング(以下、CF)をやっていたのを見ていて「自分だったらこうするな」っていう事とかを以前からずっと考えていたんですよ。機会があればやりたいなと思っていて。


プランの一つにある「サシ飲みリターン」は堀江さんの『一緒に銀座に高級寿司を食べにいって10万円』っていう実際にあったリターンのオマージュですね。(笑)



でも、ファンがよろこんでくれるようなリターンを考えるのが大変でした。いかに、自分が好きなGreen DayとかELLEGARDENみたいなバンドだったらどうなんだろうっていう脳みそを持てるかが大変でしたね。


これをメンバー4人で話すと、「いやそりゃGreen Dayだったら確かに嬉しいけど、自分らがそんな…。」っていう会話になるんですよ。(笑)



―――確かに、ミスチルだったらわからなくもないけど。みたいな(笑)



平井:この思考回路になったらもうダメなんですよ。(笑)ファンの方からしたらQOOLANDもミスチルも一緒なんですよ。だって、QOOLANDには年間に何回もライブに来るファンの方がいるんですよ。その方はミスチルのライブ年間1本も行ってないですしね。ということはその人の中ではQOOLANDってミスチルに勝ってるんですよ。



―――確かにそうですね。



平井:いかにファンの気持ちを考えて自分の脳みそを持っていけるかどうかは大事ですね。



―――歌詞原稿のリターンとかも、確かファンの方から提案があったリターンでしたよね。最初は3千円の設定で。(笑)



平井:そうそう。いるか…?みたいな。(笑)



―――いや、でも手書きの歌詞原稿、欲しいですよ。サインよりも価値があるかもしれない。



平井:わからんなぁ~…。(笑)



―――ちなみになんですけど、川﨑さんの6ヶ月貸し切りっていう300万円のリターンは大丈夫だったんですか?(笑)



平井:これは申し訳ないけど、普通に来たら謝りに行っていましたね。すいません、嘘です!!って。(笑)



―――(笑)。ちょっとジョーク的なことも絡めるとメリットがあるかなっていう感じもしますよね。



平井:そうですね。ファニーにやらないといけないわけじゃないけど、必要だと僕は思いました。あんまり真面目に汗水たらたら流してる雰囲気っていうのはきっと良いCFにならないと思います。



―――やっぱりアーティストもファンも相互に楽しいっていうのがいいですね。



平井:そうですね。自分たちも成長しましたね。



(10/8 下北沢ERAにて行われたフリーライブ)


―――成長というと、どういったところで感じました?


平井:先ほどスタジオのリターンの話にもありましたけど、「ファンは何を考えているんだろう」っていう、その点でリアリスティックに考えるようになりましたね。


今まで、口では「ファンのために音楽をやっている」なんて言っていましたけど、「じゃあファンって何を求めてるのかな」っていうところまで、今回潜れたと思っています。



―――なるほど。CFをやった側の意見ってすごく興味深いです。



リターンって、正直なところ結構アーティスト側のサービス感が強いものになってしまうのではないかなとも思っていたのですが、そういう意味でのアーティスト側のご意見を伺いたいです。



平井:そうですね、でもアーティスト側の意識だとも思います。「何で俺がこんなことやらなあかんねん」という気持ちのメンバーがひとりでもいたら崩壊すると思いますし、これがCFのウィークポイントなのかはわからないですけど、4人の結束が弱いバンドだと、たぶん成功にもっていくのは無理でしょうね。


絶対に前向きな気持ちで明るく楽しく元気よく取り組まないと達成はしないと思います。ただでさえちょっとセンシティヴな問題も多いじゃないですか。


「お金ないんかい!」って足下見られかねないし、「貧乏な感じに映るんじゃないのかな」とか、もうマイナスなファクターあげたらキリがないですよね。だからいかに気合いと根性で乗り切れるか、ですね。成功したから言えますけど、失敗したら下手すりゃバンド解散しますね。



―――そこまで思いました?!



平井:たとえば、All or Nothingだったらなんですけど、200万円の目標額で198万円までいくとします。でも自分たちで残りの額を放り込もうとしても、お金を1円しか持ってません、とかだったら放り込めないですし、借金すらも難しい状況ならもう失敗してしまうじゃないですか。そうなると、そこまで投資して支援してくれたファンの気持ちがないがしろになるじゃないですか。お金は返ってくるけど、リターンはできず。


支援者をガッカリさせてしまうようなそのバンドが、果たして次になにを発信すれば良いのか?っていう。



―――確かにそれはあるかもしれないですね。



平井:圧倒的に説得力がなくなるんで、諸刃の剣ですよね・・・。でも確実に来年以降、CFを使うバンドは増えてくると思います。



―――まあ、海外と日本のCFに対する認知ってまた違ってきて、向こうだとわりと失敗しても「まあいっか」くらいの感じでやってしまうものもあるし、失敗したとしてもいろんな人が応援してくれたのがカタチに見えて良かったなっていう結構ポジティブな感じなんですよね。ただ、日本だとまだ「失敗したらどうしよう」っていう概念が強いのかなって感じはしますね。



平井:まあ、DNA的に切腹の文化もあるんですかね…。(笑)



―――そうかもしれないです。(笑)CFを達成したとき皆さんの感想ってどんな感じでした?



平井:「やったぞ」という気持ちはかなりありましたね。でもCFっていうもの自体も、もともとこれだけ絶対達成しないといけないっていうモチベーションというか、難しいじゃないですか。予算をかけているようなものではないから。だから比較的あとからじわじわ来た感じでしたね。



―――始まる前に、「80万集まるかわからない」って言ってましたもんね。



平井:CFはやっぱり、リターンでしょうね。リターンを制する者はCFを制しますね。(笑)



―――おっしゃるとおりです。(笑)



平井:あんまり、目的とかやる理由はリターンほどは重要じゃないかもしれないですね。目的や理由はなんでも良いと思います。べつに電光掲示板ジャックでも、アルバム作るでもいいし。それよりもリターンですね。リターンでいかに誠意が示せるか。



また、「この度こういう経緯にいたって…」っていうCFに向けての文章を書いていくじゃないですか。その文章で、そんなに辛気くさく誠実ぶらなくても良いかな、と思いました。そんなに深刻ぶっても誠実なわけじゃないっていうのがQOOLANDのモットーなんで。その反面リターンに関しては、今回めちゃめちゃ誠実だったと思います。



―――確かに、それも大事ですよね。




**つづきは第3週目になります。お楽しみに!**



QOOLAND 最新DISCOGRAPHY



2nd full ALBUM “COME TOGETHER” ¥2,376 tax in (11 songs includes)



1. Come Together
2. Shining Sherry
3. セレクト(うーっはーっ!)
4. ある事無い事
5. 一つの法則
6. ループは止まった
7. 言えない人が言えてたら
8. 叫んでよ新宿
9. ラストセンサー
10. ゆとり教育概論
11. Today Today Today & Yesterday