日本が世界に誇るインストロックバンド、toe。
今年の7/22に3枚目のアルバムとなる”Hear You”がリリースされた。日本での高い人気はもちろんのこと、海外でも高い評価を得ており、海外ツアーではチケットがソールドアウトするほどの熱狂ぶりを見せるバンドなのだ。
今回はミュージシャンであれば、ぜひとも参考にしたい、そんなtoeの魅力を紹介します。
音楽性の変化と確固たるルーツ
toeというバンドが結成されたのは2000年のこと。幻想的かつ繊細なインストロックを奏でるバンドとして知られてるけど、
もともとメンバーがやっていたのはかなり激しいパンクロック。
メンバーそれぞれがReach、Damage、Pop Catcherといった、十分に名の通ったインディーバンドに所属していたのだ。そんなメンバーが集まっての結成。ミュージシャンとしての活動を続ける中で、自分たちの音楽的趣向が変化する中で、「それなら新しいバンドを作って自分たちのやりたい音楽をやろう」といった流れでのtoe結成だったのだろう。
そうやって、自分たちの表現したい音楽をやるために結成されたバンドということも魅力の一つなんやけど、
それにプラスして、しっかり元々やっていた音楽がルーツとして残っているというのが、これまた魅力。
たとえば、時に激しいドラムのビートはハードコアパンクから培われたものだろうし、自分たちの力で積極的に様々な企画イベントを打ち立てていくDIY精神は、パンクロックの精神そのもの。
音楽活動を続ける中で、自分たちの音楽的趣向が変わっていくことなんて、ミュージシャンにとっては日常茶飯事。そんなときに、ただ音楽性を変化させるのではなく、自分たちのルーツを大切にしながらその上に新しい音楽を築き上げていくようにする。
toeというバンドから見習いたいポイントです。
音源とライブのギャップ
toeというバンドの一番の魅力。それは、何と言っても音源とライブのギャップです。決して音源はいいけど、ライブはイマイチだなぁとかいうレベルの低いことを言ってるわけじゃない。それぞれが全く違う顔を持った素晴らしい音楽なのだ。
音源の魅力は、緻密に計算された繊細かつドラマティックなインストロック。
線の細いギターサウンドが複雑に絡み合って、結果としてものすごい気持ち良さを感じさせる音楽を作り出す。音源だけ聞くと、toeというバンドの魅力は繊細な音楽ということになると思う。
ただ、ライブパフォーマンスはかなりイメージが異なる。
もちろん、いい意味で音源通り繊細なハーモニーがライブでも楽しめる。
でも、それにものすごい熱量のエネルギーが伴ってくるのだ。ステージ上から、演奏に込めたメンバーの熱い思いがダイレクトに届けられる。メンバーのアクトそのものから視覚的に訴えられるものもあるけど、それ以上に音が熱を伴っている。
一度観たら忘れられないインパクトを持ったライブだし、音源とは違って同じ曲でも違った表情を見せてくれるから、何度でも観たくなる。
ライブで音源通り忠実に再現してお客さんを楽しませるというのもいいかもしれないけど、音源にはない価値や魅力をライブで伝えることができると、よりお客さんを喜ばせることができる。これもtoeというバンドから見習いたいポイントです。
積極的な海外進出
toeの繊細な音楽と爆発的なエネルギーを持ったライブパフォーマンスは、日本だけでなく海外でも人気。
今ではインターネットを使って音源を簡単に世界中に配信できる世の中になったけど、そんなことが簡単に出来るようになる前から、toeは積極的に海外進出を行ってた。
もともとやっていたバンドのコネクションを生かしつつ、自分たちの力でアメリカやヨーロッパツアーを行うと、そのツアーでどんどんとファンを獲得。海外でもなかなかいない独特な音楽性が受けて、瞬く間に熱烈な信者ともいえるファンをたくさん獲得することになった。
そして、2013年、今はサンディエゴに拠点を移したアメリカの有力インディーレーベル、Topshelf Recordsと契約。過去の音源も含む、全ディスコグラフィーをこのレーベルからリリースすることで、状況は一気に変わります。
今では毎年といったぐらいのペースで海外ツアーを行うバンドに。海外で活躍する日本のバンドということで、それまでtoeを知らなった日本の人が新たにファンになるという、逆輸入的な効果ももたらしています。
全てのミュージシャンがtoeのように海外進出も視野に入れた活動を行っているわけじゃないと思うけど、もし自分たちの音楽を多くの人に届けたいという気概があるなら、ぜひとも積極的に海外へのアピールもするべきやと思う。それこそ、YouTubeやFacebookなどインターネットを使えば、簡単にアピールできるからね。
以上、toeの魅力を紹介しました。唯一無二の存在であるtoeからミュージシャンが学べることはまだまだたくさんあると思います。
まずはぜひとも新作”Hear You”を聴いてみてください。