初の全国流通盤『Might makes right』を発表した2013年頃から頭角を現し、「 RADIO CRAZY 2013」に出演。2014年は2nd「The DIE is cast」をリリースし、大型フェスにも多数出演する。2015年、My Chemical Romanceのヴォーカル、Gerard Way単独日本公演のサポートアクトを務める。同年9月、EP「FIRE」をリリースし、ツアーファイナル東名阪ワンマンをすべてソールドアウトさせる(大阪ワンマンは心斎橋JANUSにて500人を動員)。6カ月連続で自主企画も開催し、全公演ソールドアウト。ライブハウス規模のものはチケット発売日の午前中で完売する公演も。2016年1月、心斎橋BIGCATでの主催イベントもソールドアウトとなり、800人を動員する。6月1日には3rd「A Revolutionary」をリリースし、ツアーファイナルは東名阪CLUB QUATTROで締めくくる。
FABLED NUMBERの音楽はダンスロック、エモ、EDMが融合したものといえば伝わりやすいだろう。とはいえ、それはこの音楽とこの音楽を足してみようというものではなく、彼らの6人編成という点とバックグラウンドとしてある音楽の影響などを突き詰めていった結果、そうなったというだけなのだ。まずはFABLED NUMBER入門としてこちらMVをご覧いただきたい。
彼らはラウド枠に入れられることが多いように思う。たしかにライブでの音圧を考えるとラウドと捉えられることに違和感はないが決して彼らはそこに一辺倒な訳ではない(ちなみに使用しているギター、ベースをラウド系バンドのイメージから離れているものを使っている)。実際に彼らの楽曲を聴けばわかると思うがそこまでラウド的な要素が強いわけではない。彼らが作り出す音圧は轟音を鳴らすことにより得られるものというよりは、技術や緻密に積み上げた楽器に裏付けされた音圧だ。ビートの引っ張り方、同期やフレーズのループ感とそれに絡ませるメロディラインの妙から生まれてくる一体感なのだ。こういった迫力を出せるバンドは多くはない。
彼らの楽曲はただ踊れるだけではない。ダンス・ミュージックの楽しさを突き詰めたものだけでなくそこに歌モノであったりする音楽が持つ感動という強さもしっかりと共存している。
英詞の曲だけでなく日本語の楽曲も自在に操る。言葉がダイレクトに伝わる利点をフルに活用しそのメッセージ性を研ぎ澄まされた刃のようにオーディエンスに突きつける。このような楽曲をライブで体感すると踊りながら涙がこぼれてくるという体験ができるだろう。楽曲としての素晴らしさはもちろんあるが、この「世界は君に鳴り響く」はライブで踊り狂う中で生の実感をしつつ、そこに歌詞が流れ込んでくる過程までもが計算されているように思う。単純な楽曲の良さやライブでの盛り上がり方以上に緻密な計算がされているのだ。
冒頭でも述べた通り国産音楽か疑ってしまうほどのセンスに脱帽する。英詞ということもあるがそれ以上にサウンドの選び方やリズムの作り方、ある種の(計算された)雑っぽさを兼ね備えたメロディラインの突き詰め方が日本人離れしているのだ。日本でもEDM要素を取り入れたロックバンド(主にラウドロック、ハードコア、スクリーモ系。ピコリーモという言葉も発生したほどだ)の近年の活躍が目覚ましいが、その中でもFABLED NUMBERの音楽的クオリティは頭一つ抜きん出ていることがお分かりだろう。