バンドやグループなどの形態をとって数人で活動しているミュージシャンも多いと思います。そういったミュージシャンにとって、各個人が役割を意識するというのは大事なこと。



この記事では、その役割の一つである「にぎやかし」について紹介します。とはいっても、音楽活動で「にぎやかし」というパートがいるバンドやグループの紹介です。



 



  


◆FUNKY MONKEY BABYS◆


   ファンモンの愛称で多くの人から愛された男性ラップグループ、FUNKY MONKEY BABYS。ラップグループにありがちな、2MC+1DJという構成のグループだったが、1DJにあたるメンバーのDJケミカルはグループ内における役割はDJというよりも「にぎやかし」にあたる。



もちろん、楽曲制作においてはDJらしい役割は果たしてたみたいだが、ライブ中の役割といえば、後ろに立って手拍子をしたりダンスパフォーマンスを行ったり。それでお客さんを盛り上げる役割を担っていた。



そして、DJケミカルは単なる「にぎやかし」としてではなく、グループのアイコン的存在として花開くことになる。象徴的なのは、1枚目のアルバムである「ファンキーモンキーベイビーズ」のアルバムジャケットに顔写真がでかでかと使われたこと。これによって、ファンモンといえば、「あぁ、あの人ね」というイメージが世間の人の中で出来上がり、どんどんとグループが知名度とともに人気を獲得していくことになっていったのだ。



 



  



◆氣志團◆


 千葉県の木更津で結成された「ヤンキーロックバンド」こと氣志團。ボーカルの綾小路翔ばかりがクローズアップされるものの、正式なバンドで、皆がギターやベース、ドラムなどのパートを担っている。そんな中で「Dance & Scream」というパートを担う早乙女光というメンバーがいる。これがいわゆる「にぎやかし」パートである。



みんながきちんと演奏し、ボーカルの綾小路翔がきちんと歌う中、早乙女光はただただ踊る。いや、正しくはきちんと踊るのだ。他のパートにも負けない派手なパフォーマンスは見ているお客さんの目を引き、しっかりと盛り上げる。メンバーの人気投票を行った結果、綾小路翔に次ぐ第2位を早乙女光が獲得したこともあるほど。「にぎやかし」の存在、恐るべし。



楽器を演奏するバンドに「にぎやかし」という一見意味のないパートを加えた先駆者である氣志團は、様々な影響を世の中に与え、その後、ゴールデンボンバーというエアーバンドを生み出すことに。ボーカル以外が演奏しないゴールデンボンバーは言ってしまえば、「にぎやかし」が複数にいるバンドと言ってもいいだろう。そして、やはり話題を集めて今でも人気を博している。



 



  


◆Masked Intruder◆

 




  



海外に目を向けてみても、バンドに「にぎやかし」という要素を加えた人たちはたくさんいる。その一つが、最近来日公演も行ったポップパンクバンド、Masked Intruderだ。まず、このバンドはコンセプトから面白い。犯罪者が覆面マスクをかぶってバンドを行っている、というコンセプトなのだ。メンバーは演奏中に絶対に覆面を脱がないし、誰がメンバーなのか素性も明かさないのだ。



もともとマスクをかぶった4人のバンドだったが、途中から新しくメンバーとして加入したのがOfficer Bradford、この人がいわゆる「にぎやかし」パートである。名前の通り、保安官である彼はライブ中、ひたすらメンバーを監視する役目を担う。ステージに登場したと思ったら、怖い形相で腕組みしながら突っ立って、ただただメンバーを監視するだけ。



と思ったら、途中からものすごい勢いで暴れ出す。まず、このギャップで客席はドカンと盛り上がる。ムチのようなものを手にして演奏中のメンバーを叩きだしたと思ったら、今度はステージから客席を盛り上げ、「もっと盛り上がらないと怒るぞ!」といった形相で客席にダイブ。ひたすらに搔き回すパンクなパフォーマンスを行う、まさに「にぎやかし」の働きなのだ。



 



 



以上、音楽活動やパフォーマンス上で「にぎやかし」というパートを取り入れているグループやバンドを紹介しました。グループに何かエッセンスを追加したいときは、グループに「にぎやかし」というパートを新たに加入させるのも面白いのではないでしょうか