やはりライブをするからには観客に見てもらわなければ意味がない。
そのためには自分たちで呼ぶしかないのだ。

数組が出演するブッキングイベントであれば他のバンドが連れてきたお客さんがたまたま自分たちのライブを見て気に入ってくれたなんてことがあるかもしれない。
しかしそういうお客さんというのは常にいい音楽を探し求めていたりするような稀有な人たちである。
そういう人たちはおそらく全体の1%いるかいないかくらいだろう。
やはりほとんどのお客さんが出演するバンドが好きでそのバンドにしか興味がなかったり、ただそのメンバーと仲が良いというだけの友達であったりすることが多いのが現状である。
「他のバンドからお客さんをとってやるぜ!」というのは全体の1%にも満たないようなお客さんを取り合うということに等しく、100人の動員があって一人いるかいないか程度だと思っておいた方が良い。

かなり厳しめに書いておいたが、何せ集客に関して甘えは無用ということである。

では集客に関してどうすればよいのかを紹介する。
しかしもちろんこれを実行して100%の成果が出るということはない。
ライブの出来や、やっている音楽の流行などによって変動は起こるだろう。

しかしいつまでも「他のバンドからお客さんをとってやるぜ」理論でいくのはただただ危険であるし、ハナから動員努力をしようとしないバンドと共演したいとはとても思わない。
動員努力をしないということはそれだけ自分たちの活動の場を狭めていくことになるのだ。



①身内は必ず誘う


友人、家族、バンド仲間などは必ず声をかけよう。
「恥ずかしい」とか「嫌われたら嫌だ」みたいに、あまり身近な人には声をかけにくいという風潮が目立つことがある。
なんとなく気持ちもわからないでもないが、逆に言うと「身内こそ最高のファンになりうる」ということである。
よっぽどバンドをすることに反対されているのでなければおかんなんかは見に来ることもあるし、ライブハウスに行ったことのない友人もいざ呼んでみると楽しんでいたりする。
こちらから勝手に「あの人は興味ないだろうな」なんて勝手に決めつけてはいけない。

②TwitterやFacebookなどでメッセージを送る


よくTwitterでバンドの公式アカウントなんかでライブ予定を事務的に呟いているのを見る。
他にもFacebookで「○○さんがイベントに誘っています」みたいな通知がくる。
もしかしたらこれでみんなに呼びかけたつもりになっているのではないだろうか。

たしかにサクッとみんなに情報を共有できるというのがSNSの利点ではあるが、バンドがWEB上で告知をしたところで、Twitterの広告なんてさっさと読み飛ばす、まさにアレになっているのである。
ひどい場合はそんなアカウントはさっさとリムーヴされてしまうかもしれない。

少し時間はかかるかもしれないが、一人一人にメッセージを送っていくことだ。

『○月○日、●●でライブなんですが来てくれませんか』

こんな程度でいい。
よっぽど関係が悪い相手ではない限り返事をくれるだろう。
それでも返事がない場合もかなり多いが、まぁライブ告知なのでそんなもんだと割り切ろう。
『行く!』という人もいれば『チケット代はいくら?』と聞いてくる人もいるだろう。
後は普通に答えてあげればそれでよい。

ここで気をつけてほしいのが、『都合が悪く行けません』ときた場合、それに対しても必ず返事をするということだ。
『残念、またよろしくお願いします』という感じでもいい。
相手が行けない、とわかったらもう興味ないなんてスタンスでは関係が悪くなってしまう一方である。

③今までの取り置き表を保管しておく


ライブハウスで提出する「チケット取り置きリスト」は、ライブハウス側に言えばコピーしてくれるなりしてくれるので必ずもらおう。
それが後々の「顧客リスト」になるのである。
「顧客リスト」というとなんだか企業的で変な感じがするかもしれないが、「顧客リスト」というのはどこの企業でも命綱のようなものなのだ。
もちろんバンドも経済を動かす限りは会社であると考えておいたほうがよい。
そうなるとこの「顧客リスト」はバンドにとっても命綱なのだ。
そこに載っている人たちは最優先でライブのお誘いをしよう。

「じゃあメルマガでも作ればいいじゃない」と思う人もいるかもしれないが、さっきの②で述べたようにこちらからの一方的な情報は単なる広告として受け取られる。
実際にメルマガの成果というのは1,000分の1とも10,000分の1とも言われている。
ましてやSNSやLINEの時代、メール送られても…という感じである。

SNSの発達は便利になったが、あくまで発信がメインであるSNS上で成果を出そうと思うのであれば「双方向性」が求められる。
面倒かもしれないが一人一人のお客さんとやりとりをすることが大切である。

④自分たちの音楽に似ているアーティストをわかっておく


身内やSNSでのお誘いも所詮は友達のコミュニティである。
初めて自分たちをみてくれる所謂新規顧客をどこかで増やしていくことが必要である。

新規顧客開拓の方法は様々ある。
たとえばストリートライブをやるだとか、WEBで音源をアップしておいて聴いてもらうなどという方法があるが、大切なのはどんな客層に向けて発信するかである。
ストリートライブをするにしてもディズニーランド帰りの家族に向けて演奏しても何ら響くことはないだろうし、新橋のサラリーマンに向けて演奏しても素通りされるだけだ。

自分たちのターゲットとする層をしっかりと分かったうえでアプローチをする方向を決めていこう。

この新規開拓ばかりは裏ワザなどはない。
色んなところに出て行っていろんな人に会うしかないだろう。

機材をガッツリ揃えてストリートライブをするも良し。
凝っ たPVを作ってYouTubeで再生数を稼ぐも良し。
Twitterで趣味の近そうな人をやたらめったらフォローしまくるのも良し。

何せこればかりは「行動する」。
これに限る。


ある程度知名度が上がってきて、全国どこでもライブの動員に平均して20人は動員できるようになればここまでする必要はなくなるかもしれないが、昨今のインディーズバンドのほとんどがそこまでに至っていないのが現実である。
むしろそこまで達しているのであればメジャーレーベルも放っておかないだろう。

練習や作曲もバンドをやる上では大切なことだが、営業もまた大切なことだ。
恐らく音楽の才能を開花させるのは大変かもしれないが、動員なんていうのはある種誰でも出来ることなのだ。

記事:ftmftm

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