2019年10月13日(日)、上野公園水上野外音楽堂、この場所では三回目になるSundayカミデのピアノ弾き語りワンマン『PIANO KISS!!! SPECIAL』が行われた。
三連休の初日だった前日に、台風19号が関東・東海地方に上陸したため、開催が危ぶまれたが、台風が去った当日の朝8時、予定通り行うことがアナウンスされた。奇妙礼太郎がゲスト出演することもあり、多くのファンが集まった。
バックドロップの前にグランドピアノが置かれたステージに、開演予定時刻を15分ほどすぎたあたりで、白ワイシャツに黒パンツ姿(本人曰く「中学生みたいな格好で来ました)のSundayカミデ、スマホで自撮りしながらオンステージ。「エビバリスウィング」「ロックジェネレーション」と、おなじみの2曲でライブをスタートする。
3曲目「平和 to the people」では、サビでコール&レスポンス、続く「ダンスミュージック for me」と「firefly」ではみんな座ったままゆらゆらとダンス。戻らぬ日々を切々と歌う6曲目「琴平電鉄」では、心地いい感傷が客席に広がる。
そして、その「琴平電鉄」のアウトロで、この日最初の異変が。Sunday、ピアノを弾きながら、シークレットゲストの出演を告げる。「僕もこの人を生で観る日が来るとは思わなかった」という紹介で、アコースティック・ギターを抱えて登場したのは、なんとナンチャン、南原清隆。
オーディエンス一同、「キャー!」とはならなかった。「えっ? えっと……えええっ!?」みたいなリアクション。あまりにも意外であまりにも予想外だと、人ってこういう反応になるのか、ということがよくわかった。ナンチャン、7月と10月にトークライブを行った時、曲を作って歌いたいという希望を出したら、事務所がSundayカミデを紹介してくれて、今プロデュースしてもらっている、という事情を話す。
そして、「自分が嫌なものについて、なんで嫌なのかを歌にした」という曲「タイガー and ホース」(トラウマの意)と、「夏休みに家族とベルリンに行って、帰って来たらメロディと歌詞が下りてきた」という「おフランスの弁当」の2曲を、自身のアコギとSundayのピアノで歌う。「タイガー and ホース」で歌われたナンチャンのトラウマは、蟹とタピオカ。「Sundayさんの『タイガー and ホース』、聴かせてくれよ!」という呼びかけに、Sunday、「僕の場合それは高速バス」と答える。
「おフランスのお弁当」の後半では、「簡単なんでみなさん一緒に歌ってもらえれば!」という南原のアオリで、オーディエンス、「♪おフランスのお弁当~」と、大合唱になった。
ナンチャンが去り、Sunday、「母親に盗作疑惑をかけられている」という「知らん節」をアカペラで歌ったり、「東京の光」と「and Love」をじっくり聴かせたりしてから、後半のゲスト、奇妙礼太郎の時間へ。
「天王寺ガール」「ラブストーリー」「Joy to the world」という、このコンビの鉄板曲三連打で、Audienceを喜ばせる。「ラブストーリー」のサビでは、奇妙、リミッターを振り切るような絶唱を聴かせる。
アンコールは奇妙がピアノを弾き、Sundayカミデはハンドマイクで、この曲をやらなきゃ終われない名曲「君が誰かの彼女になりくさっても」。間奏でピアノを連弾したり、「Sundayさん、『PIANO KISS』てなんですか?」「Sundayさん、キスで大事なことてなんですか?」と奇妙のアドリブが次々とSundayに襲いかかったりと、いつもながらの自由な展開に。さらに奇妙、「♪イェー、みんな立っちゃうね、前に来ちゃうねー」とオーディエンスに歌いかけ、みんな立って前へ詰めかける。
その勢いにあおられてか、Sunday、この曲のモデルになった女の子の結婚式の司会をした、というエピソードを明かして驚きに包まれたりするなど、方向があっちこっちに飛び散りながら、楽しさのピークが続いていった。
18時40分、終了。曲を終え、握手とハグを交わして、最初に奇妙が、続いてSundayがステージを下りた……いや、Sunday、すぐまた出て来て、「撮っていいよ」タイム。無数のスマホが彼に向けられる。ポーズを決めたり、目線をあちこちに配ったりした末に、おなじみの三点倒立を決めるSundayなのだった。
text:兵庫慎司
photo:高梨はるの