ゲネプロというのはそもそもドイツ語で「generalprobe(ゲネラルプローベ)」を日本では略してゲネプロと言われている。
意味は「総合練習」、つまり本番通りにやってみようということだ。
実際にライブでは練習通りに行かないことがほとんど。
「ここでMCをするつもりだったのが思いのほかノドが乾いて水を飲んでいる間にMCをするタイミングを失った」
「衣装チェンジするつもりだったが思いのほか着替えに手間取った」
「かっこいいMCをするつもりが思いのほかまとまらなくてそのまま面白い空気になってしまった」
こんなのは序の口だが、実際には弦が切れたりエフェクターの調子がおかしくなったり、ステージ上ではすべてのことが起こりうると心得ておいた方がよい。
そうならないように予めリスクを最小に減らすことができるのがゲネプロだ。
とはいえゲネプロに「こうしろ!」という正解はないので、今回は少なくともチェックしておいてほしい項目を紹介しよう。
①セットリストは決まっているか?
超大御所になったりすればその場のノリでセットリストを決めて演奏するなんてこともあるかもしれない。
それは音響も照明も、ローディーまで全スタッフがそのバンドを熟知しているから出来ることであって、大半のアーティストはそうはいかない。
ライブ当日になって曲順を決めてMCの内容を決めて…なんてあたふたしないでいいようにしておこう。
②曲と曲の繋ぎめの演出は決まっているか?
案外軽視されがちなのが曲と曲を繋ぐ演出である。
音楽番組などを見ていたら司会者が「次は○●○で、『◎◎◎』です。お聞きください」みたいに振ってくれるが、当然のことながらライブでは自分たちが音を鳴らしたり喋ったりしない限りは一切の無音である。
実は、無音で一切音が鳴っていない空間というのは見ているお客さんに想像を絶するほどの緊張を強いている。
あえて無音をうまく利用しステージへの注意をひきつけるという手法もあるが、毎度毎度それではかなり疲れてしまうのである。
ドラムが軽くリズムをとっていたり、次の曲のテーマとなるフレーズをアレンジするなど、曲間も含めてのライブなので、ゲネプロでしっかりと打ち合わせする必要がある。
③MCの内容は決まっているか?
「ぼく、MCとても苦手なんですけど…」から喋り始めるバンドを今まで何組見ただろうか。
おそらくラジオのDJや芸人でもない限り、たいていの人間は喋りが下手ということは分かり切っていることである。
しかしMCというのは幸いなことにフリートークではない。全てゲネプロで打ち合わせができるのだ。
よっぽど喋りが得意という人でもない限り、その場のノリで話そうとは思わない方が良いだろう。
④メンバーの動きは計算されているか?
振付というわけでもないが、ある程度メンバーの動きというのは把握しておくのが望ましい。
分かりやすいところでいうとギターソロで前に出るとか、盛り上がるところで全員が前に出るなど「お客さんはどこを見るべきなのか」を自分たちでコントロールするのだ。
せっかくのギターソロなのにギターと一緒にボーカルも前に出てしまったりなんてしてしまうと、目立てないギタリストがかわいそうというよりも、どこを見たらいいか混乱してしまうお客さんがかわいそうなのである。
息の合った動きでお客さんが見るべきところを案内してあげるということも一つの「一体感」を生み出す要素といえるだろう。
⑤録画はしているか?
一度ゲネプロをしたら通常で30分、ワンマンライブを控えていたら1時間や2時間は当たり前なので、そうなるとどこをどう間違えたとか、どこを見直すべきかというのはとても覚えているわけにもいかない。
最近はカメラなんかでも安く売っているし、容量を気をつければスマホでも30分くらいなら予約できる。
それをメンバーで共有して、きちんと見ておかなければゲネプロをした意味がなくなってしまうのだ。
また、普段ライブを客観的に見るということはなかなか出来ないと思うので、自分のかっこいい弾き方とかをどんどん吸収していこう。
しっかり作り込まれているライブはやはり体感時間が短いと感じることがある。
「あれ、もう終わっちゃったの?」というくらいのめりこんでしまう。
短いと感じるということは「もっと観たい」になり、やがてファンとしてついてきてくれるのだ。
そのためにも流れるような段取りと演出はあって然るべきものであるし、準備は多くても多すぎることはない。
ゲネプロの大事さをしっかりと理解しておこう!
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