写真左から竜之介(Dr)、楓(Vo)、DJmAsAyA(Ba)
「ねつ造エンターテイメント」というコンセプトを掲げ再始動した、元「音×AiR」の3人。果たしてこれはロックバンドか?新しいエンターテイメントを模索する彼らの魅力に迫った。
現実と虚構の中に見いだした新しいエンターテイメントの形、3.5次元エンタメを確立したい
楓 名前変えた時期からちょっと遡るんですけど、昨年(2016年)の8月にギターの大地という賢いやつが抜けて3人になって。頭脳が抜けた音×AiRはどうなってしまうんやろうと思いながら、サポートギターを入れて一応4人体制でライブハウスとかJOL原宿で活動してたんですね。そして今年(2017年)の2月に音×AiRの集大成ともいえる「ハートフルレボリューション」というアルバムをリリースして、その時期から3人で話し合うことが増えてきたんです。
元々4人やった時から「お客さんを笑顔にしたい」「面白いことしたい」っていうのは、バンドのモットーとしてあったんですけど、もっとそれを突き詰めたいという思いが出てきて。ライブの中でも、見ている人を笑かすためのことをやろうぜっていう、自分達が本当にやりたいことが明確なってきたんですよね。
そうなった時に、それやるバンドの名前が「音×AiR」はかっこよすぎひん?ってなってね(笑)。
竜之介 うん、そやな(笑)。
楓 もっとおもろい名前というか。おもろいことする奴らの名前が「音×AiR」ってかっこよすぎひんか?ってことで、もっとパンチある、聞いた人の頭に残るような名前にしようかって話になりましたね。
ちょうどマネージャーからもOK出たんで、このタイミングで改名を決めました。
−−なるほど。「音楽」と「お笑い」の融合ということで、この新しい方向性を決める時に影響を受けたアーティストはいましたか?
楓 そうですね。ザ・ドリフターズやクレイジーキャッツはかなり影響を受けました。僕ら世代じゃないんですけど、いろいろ調べていくうちに、僕らが今一番やりたいことをやってた人らがだいぶ前におったんやってなって。それやったら、今の時代のこういう人らになりたいなってことで、この2つのグループからは強く影響を受けていますね。
−−今の時代にあった、ザ・ドリフターズやクレイジーキャッツのような方向性とは具体的にどんな形だと思いますか?
楓 昔はテレビとか映画がエンタメの中心やったと思うんですけど、今はインターネットとかSNSとかが主流じゃないですか。劇場とかライブハウスからも配信できますし。大きなマスに向けていないコンテンツがすごい勢いをもったり、発信力を持っていると感じていて。自分達も定期公演という劇場発信と、YouTubeをつかったネット配信を組み合わせて、3.5次元エンタメというのを掲げていきたいと思ってるんです。
竜之介 それこそクレイジーキャッツの時代とかは、テレビが登場したてやったじゃないですか。テレビを持ってるご近所さんに皆が集まって見るという時代だったって聞いていて、当時はそれが最先端というかテレビを見ることが流行だったと思うんです。それが俺らの時代はスマホ、スマホ、の時代で、もう皆スマホばかり見てる時代じゃないですか。こんな時代だからこそ、ザ・ドリフターズやクレイジーキャッツがやってたような面白いこと、人を笑わせるようなことを、今の時代にあったやり方でやりたくて。スマホを通したネットの世界と、ライブというリアルな世界を交錯させて、自分達のエンタメを確立させたいんですよね。
−−今までもJOL原宿で定期イベントをやっていましたが、その時はどうでした?
楓 JOLのイベントでもお笑い芸人さんと一緒にやってたんですけど、その時は構成が、音楽ライブがあって、お笑いのネタコーナーがあって、また音楽ライブがあってという、セクションごとに分かれてたんですね。それはそれで楽しんでもらえてたと思うんですけど、自分たち自身が音楽を通してお客さんを笑わせたいと意識し始めてた時期やったんで、芸人さんとのコラボの仕方も考え直したいなとなったんです。そんな時ちょうど芸人の「響」さんにJOLのイベントに出ていただいたんですね。その時は僕たちの曲の中で一緒にネタをやったんですよ。僕たちのやりたいことってこれやなってのはすごい感じたんですけど、完全に響さんに持っていかれまして(笑)。一朝一夕でできるものではないなと、少しやり方を改めないとなと思ったんですね。芸人さんの土俵でおもろい事やろうという考えをやめて、ミュージシャンとしておもろい事やらなと思ったきっかけでしたね。
−−先程「3.5次元エンタメ」というワードが出てきましたが、どういったエンターテイメントでしょうか?
楓 今までやっていたJOL原宿での無料ライブを今年(2017年)の4月で一旦終了して、6月から新宿のハーモニックホールという場所で500円ですけど有料イベントをスタートしたんです。毎月毎月ワンマンライブをやるという感覚ですね。それを定期公演と呼んでるんですけど、その定期公演とYouTubeの発信を組み合わせたものを3.5次元エンタメとして確立させていこうと思っています。
竜之介 定期公演の前後にYouTubeでいろんな動画を発信して、それが定期公演への伏線になってるんです。この前やった6/10の定期公演1回目の伏線動画としては、6/1に音×AiRからズダッパに改名をして、勢い余って上京をしたんですけど、僕が上京する事に否定的だという事を動画にまとめています。それが定期公演の本編、当日のコンサート内のストーリー展開に重要な意味を与えて、いわば伏線を回収するという構造になっています。いまはYouTubeをみていなくても本公演の内容がわかるように作っていますけど、今後はYouTubeの伏線動画を見てから本公演を楽しんでいただくという内容に徐々にシフトしていきたいですね。
【YouTubeでの実際の伏線動画】
本格的なズダッパとしての活動のため大阪からの上京を決めたメンバー。ただし一人だけ浮かない顔をしている竜之介。
その理由は・・・「ママから離れたくない」。
【定期公演ではどのように回収されたのか・・・実際の公演模様はこちらをどうぞ!】
−−イベントのタイトルに入っている「虚構」、バンドのキャッチコピーには「ねつ造」というワードが入っていますよね。これは何か重要な意味があるのでしょうか?
※定期公演名:「ズダッパダッパseason1〜虚構のフォルテッシモ〜vol.XX」
※バンドキャッチコピー:「ねつ造エンターテイメント」
竜之介 「虚構」っていうのはズダッパのエンタメでかなり重要なポイントですね。
例えばなんですけどプロレスを例にすると、あんな大男が本気で殴ったり蹴ったり、投げ飛ばしたりしてたら絶対死んじゃうじゃないですか。本気で殴っているように見せる技術、本気で殴られたように痛がる技術があったり、リングの外でも罵ったり罵られたり、激昂したり、もしくは本気で怒ってる場合もあるかもしれないし、本気で怪我しちゃう時もあると思うんですけど、どこまで本気で、どこまでが演技なのか、そういう事を言うのって野暮じゃないですか。レスラーが成長する姿、勝ったり負けたり、虐げられたり、形勢逆転したり、信頼してる仲間から裏切られたり、リング上でも、囲み取材での発言も、全てに意味があって、リアルかもしれないし、全部虚構かもしれないし、でも全部面白いっていう構造になってると思うんです。
それからミュージカルにしてもそうですけど、普段生活してていきなりオーケストラバックで歌い出す事なんてないですし、シチュエーションコントで男性芸人が女性役やったりとか、全部嘘っちゃ嘘だし、本人の人柄を重ねたりもするから素の人間を見てるとも言える、人前に立って表現する、発信する行為においては、全てがリアルであり虚構だというのが、ズダッパがやろうとしてるエンタメなんですね。もちろん、普段嘘ばっかついているのかそうじゃないのかってのはまた別の問題で、エンタメを提供するスタンスの話です。
もちろんこれまで歌ってきた歌は全て本当にあった事だけを歌っていた訳じゃないし、作り上げた物語が歌になっていたりもするんですけど、これまで以上に、作り上げた世界観、物語性のあるものをお客さんに見てもらいたなと思ってます。非現実的であればあるほどいいとも思ってます。
例えばこの前の定期公演の内容やったら、僕すごいマザコンなんですよ。
−−え?マザコンですか?
楓 この前の定期公演の内容では竜之介はマザコンなんですけど、それが真実なのか設定なのかっていうところが重要なのではなくて、マザコンな竜之介が人を巻き込んで面白いストーリーを作っていって、それを見たお客さんが笑ってくれる、っていうのが重要だと思っていて。これがねつ造なのか違うのかも引っ括めて、見ている方に笑っていただきたい、っていうのが一番大切にしたいところですね。
−−定期公演のゲストにYouTuberの方を迎えているのが面白いなと感じました。なぜYouTuberを呼ぼうと思ったのでしょうか?
竜之介 人気のある方が沢山いて、皆さん企画力や行動力すごいんですよね。
楓 そうですね。自分たちだけの力で面白いものを作っていく、という事はもちろん目指していくんですけど、自分達のエンタメ番組を作るような感覚で、毎回ゲストもお迎えするという事をやってみたかったんですね。自分達の土俵に違うジャンルの方をお迎えして、新たな笑いに繋げていくっていうのもありますね。
それに、純粋にYouTuberを生で見られる機会ってそんなにないじゃないですか。だからズダッパの定期公演にいったらYouTuberを生で見られるっていうのも、分かり易い面白さですよね。YouTuberって、基本スマホ画面、PC画面の中の人たちって感覚やと思うんで、そんな人が目の前にいるって感覚はなかなか他では見られないかなと思うんです。
楓 この定期公演は一念発起してスタートしたんですよね。というのもめちゃくちゃ赤字なんですよ(笑)。
僕らを応援してくれているお客さんってJOLの時もそうだったんですけど、10代の若い子がほとんどなんですよね。なのでお小遣い貯めたり、バイトしたりして見にきてくれる事がいるんで、毎月毎月2000円3000円のチケット買ってもらうのは心苦しいなっていうのは正直あって。それで赤字覚悟で500円にしたんです。
竜之介 まず見てもらいたいっていうのがあったしな。500円やったら気軽に友達とかも連れてきてくれやすいでしょうし、多くの人にみてもらいやすい事を最優先して、お金はなんとかなるだろうと思ったんですね。
楓 せやね。でも、そのなんとかなるだろうという楽観的な考え方を自分たちでなんとかしなければいけないというのが22歳になる大人としての責任だという事に気づきまして(笑)。それでこの定期公演を運営面でも続けていけるように、クラウドファンディングでご支援いただきたいと思って始めてみました。
自分たちにとってはやった事ない挑戦になるわけなんですけど、お客さんと一緒に楽しみながら、僕たちの活動を応援してもらえたらと思っています。
−−なるほど。今回リターンの内容がとてもユニークで、メンバー皆さんの個人プランも特徴を捉えているなと感じます。リターンの内容はどういった点をポイントに考えましたか?
楓 応援してくれている皆は何が嬉しいんやろうなというのをポイントに、箇条書きで出していきましたね。めっちゃ変な内容もあったな(笑)。
竜之介 メンバー個人プランもそれぞれ考えてみたんですけど、マサヤ(DJmAsAyA)のは即完やったね(笑)。
楓 ほんまやで!皆さん俺と竜之介のプランもぜひ(笑)!
—————————ここからのくだりは、実はVo.楓をターゲットにしたドッキリ企画となっています—————————
−−(笑)。そういえば新しいリターンを入れる旨マネージャーさんから連絡きまして、このインタビュー記事が掲載される頃には発表されていると思うので、この新リターンについても一緒にお話を聞けますか?
「楓のセミヌード写真集プラン」ってことで、かなり思い切った内容かと思うのですが・・・続きはこちらから!
クラウドファンディングページはこちらをクリック!→https://www.muevo.jp/campaigns/1248
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−−インタビューに戻ります(笑)。最後に、「虚構」の概念を大事にされたいということですが、今日のインタビューではどこまで本心で語ってもらえてるんですか?(笑)
楓 それは読んだ人の想像に委ねたいと思います。
インタビュー・文 徳田菜摘(muevo)
ズダッパ
写真左からDJmAsAyA(Ba)、楓(Vo)、竜之介(Dr)
ストリートライブで出会ったその日から、YouTubeで出会ったその日から、Twitterで出会ったその日から、3.5次元のストーリーが始まっています。すべての発信、表現、演奏が伏線、布石であり、それらを本拠地の定期公演「ズダッパダッパ」で回収します。
日常と非日常が交錯し、音楽と笑いが交錯し、リアルとネットが交錯し、真実と虚構が交錯する、
これまでにない新しいエンタメ集団が「ズダッパ」であり、その真骨頂が定期公演「ズダッパダッパ」です。
ズダッパ オフィシャルホームページ
http://onxair.com/