練習ができたらいよいよライブだ。
ライブをするとなるとたいてい
30分のリハーサルが設けられる。
セッティングや音のバランスなどを調整する大事な時間である。
ここで大切なことは「練習の時間ではない」ということである。
セッティングが終わっているのにいつまでもウォーミングアップみたいにピロピロと演奏していてはリハーサルも始められない。
たった30分のリハーサルのやり方次第でその日のライブの出来は良くも悪くもなるので、
限られた時間で何が出来て何をすべきかをしっかりわかっておこう。
①セッティング図を分かりやすく伝えよう
まずは音響さん、ステージスタッフさんのために
セッティング図を提出しよう。
メインボーカルの位置、コーラスマイクの位置、アンプの位置、ドラムの位置をまずは図で表しておく。
次に「持ち込み機材」も記入しておくとスタッフさんには楽である。
しかし持ち込み機材と言っても、ギターやベース本体はさすがにライブハウスで貸し出していないので、持ち込むことは当然すぎるのでもはや記入する必要はない。エフェクター類やカポタストなども特に必要はない。
要するに「本来ライブハウスで貸し出しているが、どうしても自前のものを使いたい場合」には記入しておいてねということだ。
「マイク」「DI」「アンプ」「キーボード」「キックペダル」「スネアドラム」「シンバルスタンド」あたりがそれにあたる。
それらを予め記入しておくとスタッフさんはそれらを抜いた状態で用意しておいてくれるのでセッティングが早くなる。
ちなみにエフェクターボードなどのセッティングや、シンバルスタンドの組み立てなどはリハーサルよりも前に済ませておこう。
セッティングが長引いて得することなど後にも先にも一切ない。
イベント進行の妨げにならないように、かつ限られた持ち時間を使って最大限のパフォーマンスが出来るように段取りをするのも大事な仕事である。
②レベルを取ってもらおう
そしたら次は音響さんに「ドラムさんのキック鳴らしてください」とか「ベースさんください」とか「声ください」とか言われるので、適当に音を鳴らしてあげよう。出来るだけ本番で鳴らすようなタッチで鳴らした方が良いので、演奏する曲のフレーズが良い。
ここで音響さんは
音の最大音量をチェックして、びっくりするような音が出ないことを確かめてくれる。
その後エフェクターを替えて他の音色でもびっくりするようなレベルにならないかをチェックしていくが、自分の中で一番大きい音と小さい音が分かっていればメインで使う音、一番大きな音、一番小さな音の3種類のレベルを取っておいてもらえればそれで十分だ。
③ステージを降りて音のバランスを聞く
様々なバンドのリハーサルを見ていてあまりこれをやるバンドがいないことに驚くことがある。
音響スタッフが自分たちの専属で、自分たちの楽曲をよく理解している人が担当しているならすべて任せても良いが、昨日今日会ったばかりのスタッフさんに音のバランスを一任するのはあまりに危険である。
自分たちでチェックをせずにそれを後で「今日はPAが悪かった」とか言い出すバンド・客がいたら音響さんがかわいそうである。
そのためにメンバーの誰か一人(ボーカルは歌わなければいけないのでボーカルかドラム以外)でいいので、代表して
ステージの下へ降りて全体のバランスを聞いておこう。
ここでちょっと長いシールドを使っていると便利である。
稀にステージが高過ぎて降りられないなんていうライブハウスもあるかもしれないが、頑張って飛び降りよう。
客席から聞いてみて、
・ボーカルは聞こえるか
・楽器はそれぞれ聞こえているか(大きすぎないか)
をチェックしておこう。
もしギターが少し大き過ぎるなと思ったら、アンプで音量を下げてみる。
しかしそれによってギタリスト本人が自分の音が聞こえないということが起きるのであれば、音響さんに下げてもらうこともできる。
音響さんに音量をいじってもらうと、アンプから聞こえる自分の音と実際にお客さんが聞こえている音量にギャップが生じるのであまりオススメはしないが、お客さんに聞こえてほしい音と自分がやりやすい音のバランスをとろう。
④やりやすい中音を作る
外音のバランスはこんな感じというのは音響さんに伝わったので、あとは
自分たちのやりやすい環境を作ろう。
ステージの上は楽器の並びがスタジオとは違うので、上手から下手のアンプの音はあまり聞こえないだろう。
また、ライブハウスはスタジオよりも桁違いに大音量なのでドラムの音やボーカルの声が聞こえなかったりするので自分が一番聞いておきたい楽器の音量を上げてもらおう。
あとで「自分の音が聞こえなかった」「ドラムの音が聞こえなかった」なんて言い訳しても誰も同情してくれないぞ!
⑤エフェクトをかけてほしい箇所・照明を合わせたい箇所などを打ち合わせする
「Cメロだけボーカルにディレイをかける」とか「ここでストロボ」とか、
こちらでは制御できない演出をスタッフさんにお願いすることが出来る。
ただしその場合、歌詞カードなどをあらかじめスタッフさんに渡しておこう。
1箇所2箇所程度ならその場で構わないが、かなり綿密な打ち合わせが必要な場合はせめて1週間前くらいには要望表としてライブハウスに提出しておくのが望ましい。
しかしイベントによってはスタッフさんは1日に何組も、曲数にすると20~30曲くらい聞くことになるのであまり要望が多いとスタッフさんにもミスが生じてしまう。
逆に言えばあまり要望してしまうと息が合わない箇所が出てきてしまい、お客さんの目にはマイナスにうつってしまうこともあるのでほどほどにしておこう。
完璧なPAと完璧な照明を望むなら、専属のスタッフを雇えるくらいビッグになってしまおう。