音楽を聴いたあと、ふと顔を上げれば世界が綺麗に見える―そんな小さな奇跡がいとも簡単に叶えられてしまう。それが、【箱庭の室内楽】だ。
シンプルだけど、情感豊かでクセになってしまう彼らの音楽世界について紹介したい。
【箱庭の室内楽】
2006年にbolbotsの中心メンバーで活動開始。
同年kimica records/perfect musicより1stアルバム「箱庭の室内楽」をリリース。
2007年NATSUMENのAxSxE録音によるミニアルバム「幾何学的カーニバル」を同レーベルよりリリース。
2012年1月術ノ穴コンピレーション「Hello vol.4」に参加(楽曲はecho)。
同年8月に2ndアルバム「birthday’s eve」を自身のhako discよりリリース。
2014年1月にはアイドルグループゆるめるモ!との合作ミニアルバム「箱めるモ!」
をT-Palette Recordsよりリリース。同年9月にはhako diskよりミニアルバム「Friends」をリリース。 多幸感あふれるサウンドにギミック満載のリズムが絡み合う独特のポップス解釈は多方面から賞賛され、2013、2014年りんご音楽祭にはメインステージ で出演するなど各種イベントに参加するほか、廃病院パーティーの主催も行っている。
幾度のメンバーチェンジを経て現在は以下の4名にサポートメンバーを入れた8人~11人で活動中。
ハシダカズマ(Vo&Guitar) / 本田琢也(Bass) / 松本暁雄(Drums) / 上野翔(Guitar)
(オフィシャルサイト biography より引用)
上述の、ゆるめるモ!との合作が大きなインパクトを残した彼ら。
自分たちの音を匂わせながらもアイドルに寄ったポップでキャッチーな楽曲が鮮烈であったが、バンドとしての音楽はアンニュイでゆるりとしたテイストのものが多い。
『five』
アルバム『Friends』に収録。こじんまりとしたクラシカルな楽曲ながら、音を止めたあとも頭から離れない。良い意味でか細くぼんやりとした声がチェンバロの音色と優しく絡み合い、聴き手をリリカルな世界へとトリップさせてくれる一曲。ちなみにこの曲はバンドとして初の試みとなる、打ち込みを用いて制作された中の一つだそう。
『Terra』
こちらは、昨年発売されたアルバム『empty words』に収録。先ほど紹介した『five』とは打って変わり、音数が多く弾むような曲調が印象的。そして中盤以降に曲の表情がガラリと変化し、今度は重みを帯びたサウンドがめまぐるしく聴き手を惹きつけてくる。まるで昼から夜に時間が移り変わるように一曲の中で2つの表情を見せてくれる。
箱庭の室内楽の楽曲について語られる時、良く用いられるのが《多幸感》というキーワードだ。先述の2曲からも伝わってくるように、とにかく耳に心地よく、聴いていると高揚感が煽られる楽曲が特徴的。そこかしこに散りばめられた音の仕掛けが、聴き手の《多幸感》のスイッチを押していくのだ。決して派手さがあるわけではなく、過剰なアピールがあるわけでもないシンプルな楽曲たち。だが、曲によって編成を変えるなどして、とにかくその音に一番ふさわしい形を作り上げる彼らのコダワリが、ストレートに楽曲に活きているのだろう。また、そこはかとなく漂う幻想的な雰囲気は、ボーカル・ハシダカズマの声の成せる技。シンプルで情感豊かな音と幻想的な声に誘われ、気付けば楽曲の世界に没頭してしまっているのだ。
【箱庭の室内楽】の優しい手触りの楽曲たちは、聴き手の心の線に触れ幸せな気持ちにさせてくれる。曲を聴き終えた時、ふと目にうつる世界がキラキラと弾みだすような、そんな密やかな魔法のような音楽だ。
【DISC INFO】
3rd album『empty words』 NOW ON SALE PCD-24418 / ¥2,592(tax in)
【収録曲】
千年
Fantastic Planet
Friends
Aphorisms, Op.13-7. dance of death
wally
Tesla
moonwalker
ghost
Terra
loveless