闇ポップという聞きなれないキャッチフレーズを掲げる弾き語りアーティストがいる。彼女の名前は”しずくだうみ”。聞きなれないとは言え、その言葉から彼女の音楽性のイメージはつくのではないだろうか? 闇ポップを掲げる彼女の闇の世界を覗いていきたいと思う。
しずくだうみは、1992年1月30日生まれのシンガー・ソングライター。だうみと呼ばれることが多い。鍵盤弾き語りを主に活動。バンドやユニットでも稀に活動。アイドルユニット「ニュートリノ温泉」プロデュースなどでも活動。闇ポップと銘打った彼女の楽曲に込められた皮肉さは彼女がどこか捻じれているところから生まれてきているのかもしれない。そのシニカルな感情を文学的ともいえる歌詞世界で彼女は紡ぐ。例えば「水色」は幸せだと暮らしている人に対する歌だ。
表面上で幸せそうに見えるものは決して本質を映すものではない。誰もが自身の抱える不安や劣等感を日常的に周囲に見えるようにしているわけではないが、それを理解しない人が多くいるのもまた事実だ。あくまで歌詞のストーリーはフィクションであり主人公はしずくだうみではないが、その楽曲で歌う本質はしずくだ本人が抱える闇の一端であることに違いはないだろう。また客に主人公をしずくだ自身に据えた楽曲が「あじさい」だ。
闇ポップとはいえ闇を超えた光彩を感じるこの楽曲では多くの人間が持つ過去の日々と今現在の自分とのギャップを歌う。記憶の美しさを歌い、どこか明るい雰囲気を醸し出す楽曲が逆にその闇をより濃く浮かび上がらせる。まさに光があるからこそ闇が生まれるのだ。そして3rd E.P.『透明コンプレックス』からの「さようなら」はよりその闇を露わにする。
先述のとおり光があったからこその闇がその濃淡を見せるというのはその通りであって、歌詞では語られてはいないが”さようなら”を決意するまでの道程のはじめには光に満ちた素晴らしい時間があったからこその曲の最後で歌うこの感情なのだ。この『透明コンプレックス』収録の楽曲のすべては”特定の個人への私信”としずくだ本人が語っていることもありより「さようなら」の負の感情が生々しく感じられる。
彼女の闇は理想とする自分と実際の自身の姿とのギャップというものから生まれているものが多いのではないだろうか。誰しもが持つ「こんなはずじゃなかった」や「どうしてこうなってくれないのか」という心の奥の声を彼女は代弁してくれている。闇を抱える人たちが彼女の楽曲を聴いて「自分だけじゃないな」と思えるような歌を彼女は歌っているのだ。今秋にはファースト・アルバムの発売が予定されている。
しずくだうみ オフィシャルホームページ
公式ツイッター
https://twitter.com/shizukuda__umi
ライブ情報
9月25日(日)
岩下の新生姜ミュージアム 2016秋のスペシャル・ライブ しずくだうみ presents Vol.1
@岩下の新生姜ミュージアム(栃木県栃木市) http://shinshoga-museum.com/about#access
開場 15:00 開演 15:30
入場無料ですが、席は予約優先になっています。予約の詳細はリンク先をご覧ください。
出演:
しずくだうみ
GOMESS
butaji