写真左から、ackee(Dr)、a:mon(Ba)、enju(Gt)、alisa(Vo)


acullhie(アクルヒエ)が活動を始めたのは、2016年7月5日。わずか半年たらず前、「明くる日へ」という言葉から生み出した造語を名に冠して誕生したこのバンドは、ロッキング・オンが主催するコンテスト、RO69JACKの2次選考を通過するなど、早くもその頭角を現し始めている。その活動の中心となるのは、ライヴハウスではなくYouTubeだ。メンバー自ら監督・脚本・レコーディングを行ったMVを公開していくのが、彼らのスタイルである。 

 





何曲か、彼らの楽曲を見てみよう。まず、7月5日に公開された「Utopia」は、透明感のある女性ヴォーカルと、その裏で細かに動く各楽器と電子音が楽しい1曲だ。〈明日は今日より素敵になる〉〈ただ愛されたいんだ〉と歌われる”願い”は、誰もの心の中に燻っている想いを丁寧に紐解く。自分の心の中を垣間見られたような気がして、ドキッとする。 

 





10月2日に公開した「liberalland」は、「Utopia」とは全く雰囲気が異なる。ベースの効いたサウンドは、深々と降り積もる雪を思わせる。モノクロームの世界を、淡々と歌いながらalisa(ヴォーカル)が歩いて行くMVも印象的である。 
 

どちらの曲も、要にあるのは“願い”。alisaは、そんなに声量があったり思い切り抑揚をつけたりするヴォーカルではない。その分、歌詞に余計な脚色は加わらずに聴き手に届く。 透明感のある歌声は、その奥に込められた願いそのものを表すように、儚げで、そしてまっすぐだ。






もう1曲、「turquoise」という曲を紹介したい。この曲は、キラキラとゆらめく電子音と歪んだベースのエフェクトが楽しい。前述のシンプルなボーカルが、サウンドの面白さをいっそう際立たせている。acullhieの音楽は曲によって大きく表情を変えるけれど、核になる煌めきは変わらない。近代的で、それでいて温かさを感じる音楽だ。
 

acullhieの歩みは始まったばかり。今後の目標としては「際限なく売れたい」という。大風呂敷を広げたばかりのacullhie、これからが非常に楽しみなバンドである。 


文・小島沙耶



acullhie

「明くる日へ」という言葉から生まれた造語、acullhie(アクルヒエ)。 2016年7月5日に活動を開始。 YouTubeを主な活動の場として位置付け、自らが監督・脚本・レコーディングやミックスなどを手掛けたDIYのミュージックビデオを月1〜2本のペースで公開している。「願う」ということについて様々な立ち位置から見つめた歌詞をキャッチーなメロディに乗せて歌う女性ヴォーカルと、ベースを弾きながら紡ぎ出されるラップやポエトリーリーディングのエッセンスを交えた男性ヴォーカルによる新しいツインヴォーカルの形が特徴的。 バンドとしての形態をとりながらも、エレクトロニカ、ドラムンベース、EDMやヒップホップなど、様々なジャンルを取り込んだ聴きどころ満載の楽曲も魅力である。

https://acullhieinfo.amebaownd.com/