2011年の東日本大震災と原発関連の風評被害によって、大きなダメージを受けてきた福島県。観光客の激減もその被害のひとつで、県内の観光業は大きな苦境に立たされてきた。
そんな中でも、その状況を打破しようと、復興に向けて様々な試みがなされている。そのひとつが、福島市の温泉街である飯坂町の音楽イベント「おと酔いウォーク」だ。
2013年の初開催以降、毎年春ごろに開催されてきたこのイベント。その内容は王道の音楽フェスでありながら、「おと酔いウォーク」ならではのオリジナリティも持っている。
●「温泉街」が舞台の音楽フェス
「おと酔いウォーク」の最大の特徴は、なんといってもその舞台が「温泉街」だという点だ。
複数の会場を巡るサーキットフェス型のイベントとなっているが、その会場は通常のライブステージではなく、温泉宿の宴会場や地元の寺「常泉寺」の本堂、歴史ある旧家「旧堀切邸」の蔵など、飯坂町ならではの場所となっている。普通のステージとは違う、一風変わった背景の中でくり広げられる演奏や歌は、ここでしか見られない魅力を持っている。
さらに、各ステージを巡り歩く中で、温泉街の独特の雰囲気を楽しめるのもポイントだ。どこかゆったりとした時間が流れ、まるで温泉旅行に来たかのような癒しも体感できる。
●個性豊かな出演アーティスト
地元の青年部を中心とした実行委員会がチョイスする、バラエティ豊かな出演アーティストにも注目だ。
温泉街が似合いそうな人も、あえて温泉とのギャップがある人も、毎年豪華キャストが集まる「おと酔いウォーク」。これまでの出演者には、THE イナズマ戦隊や竹原ピストル、ヒグチアイ、鶴といった独特の味わいを持つアーティストから、音速ラインなど東北に拠点を置く人気アーティスト、fox capture planのようなジャズバンド、さらには日本エレキテル連合といったお笑いコンビまで、ジャンルレスな顔ぶれが並んできた。
福島の温泉街という、一見大規模な音楽イベントとは離れた場所でこのような豪華フェスを楽しめるのも、「おと酔いウォーク」が持つ魅力だ。
イベント後にはスタッフと出演者で旅館での打ち上げ宴会が開かれているそうで、出演者自身も楽しんでいる、街の特色を活かしたアットホームな雰囲気のイベントとしても知られている。
●「福島」の魅力を体感しながら家族で楽しめる
音楽フェスの楽しみのひとつといえば、「フード」だろう。福島の復興を後押しするのも目標のひとつとなっている「おと酔いウォーク」では、地元の食べ物(温泉たまごや名物円盤餃子など)や金水晶という地酒といった名物を、音楽と併せて楽しめる。
ライブを見て街を練り歩き、福島のグルメを楽しむことで、「福島」の魅力を全身で体感できるのも、このイベントの大きな特徴だ。
さらに、宿泊場所、休憩場所が整っているのも「おと酔いウォーク」のポイントとなっている。
家族皆で旅行がてらイベントに訪れ、宿をとり、フェスを回って疲れたらゆっくり休む。そんなスタイルで音楽フェスを楽しめるのは、温泉街の飯坂町だからこそだ。
家族で気軽に来れてのんびり楽しめるこのイベントは、なんとリピーター8割という大好評を博してきた。福島県外からの参加者が全体の半分近くにもなり、イベントの最後に次の年の宿まで予約して帰る人もいるなど、音楽フェスを超えた「家族旅行」の一環として楽しまれているのは、「おと酔いウォーク」ならではの光景ではないだろうか。
音楽を全力で楽しめる一方で、イベント後の疲れがきつかったり、家族では参加しづらいという点もある音楽フェス。
そんな中で、「おと酔いウォーク」は福島の復興を後押しするだけでなく、「家族でのんびり楽しめる音楽フェス」という個性的な魅力をもって注目と支持を集めてきた。
2019年は4月6日に開催が予定されているというこのイベント。是非参加して、ほっこりと温かい音楽フェスの魅力を体感してみてほしい。
【第一弾出演アーティスト】
渡辺俊美&THE ZOOT16、海北大輔(LOST IN TIME)、ユタ州、ミドリのマル、狐火、ルルルルズ、にゃんぞぬデシ、tiny yawn、ave、thing of gypsy lion、MANAMI、菅野恵、@なおポップ、DEFROCK、飯坂だ♨べしたーずwithもめんこ、飯坂太鼓保存会 …等
【開催概要】
開催日:2019年4月6日(土) 開場 10:00/開演 10:30/終了 20:30(予定)
料 金:前売 ¥4,500(税込)/当日 ¥5,000(税込) ※小学生以下無料
チケット取扱:一般発売日 12/15(土) 10:00~下記取り扱い
チケットぴあ/ローソンチケット/イープラス/U-ONE MUSIC(福島AXC3F)/飯坂温泉観光協会/BAR楽屋
特 典:飯坂温泉入浴券2枚付(~5月2日まで使用可能)※当日お渡し
会 場 :清流の宿 花乃湯/旧堀切邸(十間蔵)/旧堀切邸(下蔵)/BAR 楽屋/常泉寺 本堂/@home ※リストバンドにて全会場入場可能