(左)STAR ISLAND総合プロデュース 小橋賢児 

(右)STAR ISLAND統括プロデュース 坂本茂義


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 ━━ 最近はフェスが多くて、大体の音楽フェスはアーティストの名前でお客さんを呼ぶと思うんですが、STAR ISLANDは主役が人じゃなくて。なので、小橋さんと坂本さんが顔になったから広まっていったように感じたんですね。いろんなインタビューも読ませていただいた印象でいうと、アーティストよりもアーティストっぽいなと感じたんですが。


坂本:僕はただのサラリーマンですよ。小橋さんは違うけど。

小橋:いやいや、そこで謙遜(笑)!?


 ━━ インタビューを読んでる感じは全然そんなことなかったですよ(笑)


小橋:これはすごくシンプルな話で、ものを成立させていくって、最後は情熱しかないと思うんです。

1人1人に熱を伝えてくということは大事で、僕らがこうやって取材を受けることも含めて、直接会えない人たちにも、その言葉によってエネルギーが伝わると思うんです。

いろんなところで僕らが想いを伝えてたことが繋がって奇跡が起きる、みたいな。

チケットの価格設定や、会場のキャパシティ、内容においても色々とチャレンジし過ぎた部分もあったので、本当に売り切れるのか?は正直不安でした(笑)


 ━━ 冷や汗出ますね。


坂本:冷や汗じゃないですよ。相当デトックスできたのかなと(笑)。

小橋:一週間前の天気予報、降水確率90%ですからね。

坂本:もう終わったと思ったもんね。

小橋:でもその時に「行動は誰にでもできる錬金術だ」っていって、とにかくやれることはなんでもやろうって、ビラ配りやりました。


━━ え!ビラ配りしたんですか?


小橋:学生かっていうくらい。

坂本:フライヤーをたくさん用意してみんなで手分けして。

 

━━ それをやってたら周りのチームの人もその熱には引っ張られますよね。


小橋:直前まで可能性は探りましたね。法律的にこれができないと言われたら代わりにこれをやろうとか。例えば、ドローン飛ばしたいけどダメだからヘリ出そうとか。

とにかく起きた状況をネガティブに受け取るんじゃなくて、違うやり方があるって変化させていけると結果、奇跡が起きるんじゃないかと思います。

そういうことってイベントに限らず、人生の中でもあるのかなって思うんですよね。


 ━━ 魅力的で楽しいイベントなんですが、私としては小橋さんと坂本さんの人間としての魅力に引っ張られてイベントに興味を持つ人もいるんじゃないかと思っているんですが。


坂本:今僕が置かれている状況って子供の頃想定していたものとは全く違うんですよ。大人になると経験値で先のことを描けるようになってくるじゃないですか。でも、今の私が描いてるものは、今までの経験から想定できるものじゃなく、発想の中から無限に広がっている感じがあって、暗中模索状態ですね。やりたいことがありすぎて、あれもこれもやりたいから、とりあえず進もうかという感じです。




 ━━ 僕からするとそういう状態でも打席に立ってフルスイングしなきゃっていうところまで追い込んでるところが魅力的ですね。ホームラン狙わなきゃっていう感じが。


坂本:いや、結構バント狙ってますよ(笑)。


小橋:バントの可能性も常に考えながら、絶対的に感動させるぞというのはありますね。


坂本:本質は人々に感動してもらうというのが前提で。クリエイターって自分たちがやりたいことにまっしぐらというイメージがあるじゃないですか。小橋さんも勘違いされがちなんだけど、案外そうじゃなくて、お客さんのことを常に考えているんですよ。

これはユーザー迎合型ではなくて、ギブアンドギブの発想と近くて。

僕らは、何をやりたいかではなく、常に「何を与えられるか」というのを考えています。

それがたまたま今のクリエイティブに繋がってるし、今の結果になっている。

反面、さっきのバントじゃないですけど、お金の面とか会社の面とかも考えてますよ。


小橋:そこの部分を考えていただけるから、僕は直球でいけるところもあるんです。やっぱり作り手って良くも悪くも自分たちがこれだけの時間を費やしてきたとか、これだけのものを考えたというのが自負になりやすくて。1番大事な「お客さんがどう思うか」という感覚を忘れちゃうんですよ。作りながらも引いた視点で、その感覚を意識しています。

最後の最後にお客さんの目線に立ち返って考えるとイベント当日でもひっくり返すことがあります。

いつしか組織図に「クリエイティブ・ディレクター」がいたずらで「クレーマー・ディレクター」って書かれたこともあります(笑)

お客さんはその日のためにお金を払って、時間を使ってくれるわけで、そこにはストーリーがあるじゃないですか。僕たちがそこを「自分たちはこれだけやってきたからこれでいいんだ」という押し付けではダメで。お客さんが何を感じるかを最大限想像して、やっぱりこっちの方が居心地いいよな、楽しいよな、というのに気付いたら、直前でも変えられる範囲で変えていくべきだなと思います。





 ━━ クリエイティブ・ディレクターというと全部自分がこうしたいということをやってるように見えがちですけど、お客さんと作り手の間にいるパイプ役みたいな立場なんですね。


小橋:チームにも自分がやりたいことを押し付けるわけではなく、みんなの意見を聞きながら、何が本質なのかを決めています。


 ━━ そういうやり方ができるから海外でもできるんでしょうね。


小橋:人間的な根幹の部分は国が変わっても一緒だと思うんです。言語とか人種関係なく、通じるものがあって、むしろそういうものがこれからの時代に本当に必要だなと。

今までは日本の中だけで成り立っていたエンターテインメントがあって、世界の人にはわかりにくいものがあった。でも、これだけインターネットで世界が繋がって、いろんなことができるなら、もっと根幹にある「人間が何を感じて何に感動できるのか」ということのデザインの方が大事な気がしているんです。


 ━━ 今回シンガポールですけど、他の国にもどんどん全世界行くんですか?


坂本:行きたいですね。いろいろとそういうアクションはさせていただいています。

むちゃくちゃ楽しみですね。


 ━━ シンガポールが成功例になったら他の国にもいけますね。


小橋:日本から世界へだけじゃなく、世界から日本へという考えも持っています。

日本のエンターテインメントがグローバルスタンダードを超え、世界から日本にめがけてくるような。そこにはSTAR ISLANDだけじゃなくて日本の観光も一緒に楽しもうという人が来るようになったらいいなと思ってます。

そのために世界を回って、「どこの国のSTAR ISLAND行こうかな」みたいになって。

でも「日本のSTAR ISLANDが、日本の文化も含めて、世界で1番楽しいよね」と言ってもらえるように頑張っていきます。



インタビュー=三浦隆一 

 撮影=祖父江孝人



イベント概要

【タイトル】「STAR ISLAND SINGAPORE COUNTDOWN EDITION
in conjunction with Marina Bay Singapore Countdown」 

【開催日程】2018年12月31日(月)23:00 ~ 25:00 (17:00開場)※シンガポール時間 

【開催場所】The Float @ Marina Bay(20 Raffles Ave, Singapore 039805) ※雨天決行 

【公式URL】シンガポール : https://star-island.sg 日本 : http://www.star-island.jp

【チケット】日本: http://w.pia.jp/t/starislandsingapore/

【公式SNS】instagram: @starisland_world twitter: @starislandworld facebook: @starislandworld
【主 催】Avex Asia
【後 援】Urban Redevelopment Authority(都市再開発庁)

Singapore Tourism Board(シンガポール政府観光局) 

【協 力】PICO PRO