異形のクリエイター集団・豚乙女(ぶたおとめ)。

ランコ(Vo)、コンプ(Ba)、パプリカ(Key)、ランコの姉(Performance)の4名で活動している。
元々は飲み仲間だったというメンバーが『何か楽しいことやろう!』というコンセプトの元に、2009年結成。
同人サークル発祥の作品・東方Projectにまつわる楽曲の製作からスタートし、動画公開や東方Project関連のイベントへの積極的参加を続けている。また、音源制作後はコミックマーケットでの即売会を中心にリリースを重ねてきた。
その活動は着実に広がり、現在ではMINAMI WHEELやMITSUBACHI FESといった大型フェスに出演。その他ライブではロックバンド・そこに鳴るや、アイドルグループ・ゆるめるモ!との対バン経験もあり。東方Projectから始まった豚乙女は今や、1組のアーティストとして地位を確立しつつある。
現在はプライベートスタジオ『豚小屋スタジオ』で、曲作りから、アレンジ、レコーディング、 ミックス、マスタリングまでメンバー自身が担当して曲づくりを行っているという。
さらにアートワークやWebサイトやグッズのデザイン等は、すべてランコの姉が担当。バンド結成以来ずっと貫いてきたDIY精神は、今も健在だ。
メロディックなフレーズと、スピーディーな展開によるかっこいい楽曲が多い中、メンバーたち自身はとてもユニークというのもまた魅力的だ。
生身の姿をしているのはボーカルのランコのみ。他はシロクマ、ネコ、ウサギとそれぞれ変わった風貌をしている。もちろん演奏中も。
ユニークなキャラクターと楽曲。しかし、そのクオリティは本物。
そんな豚乙女の魅力についてご紹介したいと思う。


●豚乙女 / フルボッコ


こちらは2017年3月にリリースされたメジャーデビューアルバム『フルボッコ』のリードナンバー。
豚乙女の持ち味であるリズミカルなメロディとパワフルなランコのボーカルが最大限に生きた、豚乙女の魅力が詰まった一曲だ。
まずは奇怪なアンサンブルから。踊り回るベースラインはどこまでも自由に動くように見えて、曲の盛り上がりをつくり、同時に楽曲全体をしっかりと支えている。
そして、エネルギッシュな楽曲に繊細なエッセンスを差し込むピアノ。流れゆくピアノが織りなすきらめきが、楽曲が持つ鋭利な雰囲気を緩和させ、よりポップに、洗練された音楽へ導く。
打ち込みのドラムと合わせると、それぞれのパートが個性剥き出しで、自由すぎるくらい動き回っているように思えるのだが、不思議と絶妙に絡み合って、このアンサンブルがなんともクセになってしまうのだ。
そして、なんといってもランコのソウルフルな歌声だ。
ハスキーな低音から、艶やかなハイトーンまで引き上げる表現力の幅広さは脱帽モノ。自慢の高い歌唱力を駆使したパワフルな歌声は、個性あふれる楽曲を引き締め、さらに力強く押し出している。バンドをリードする存在でありながら、全体をしっかり支える核である。しかし、おしとやかではいられない。彼女の歌声も魂があるがままに、叫び踊り回るのだ。
全員が個性剥き出しのカオス・ワールドが自慢の豚乙女。この不可思議な世界観が、たまらなく気持ち良いのだ。


●ソリッド【東方ヴォーカルPV】豚乙女【今宵は飄逸なエゴイスト】full


同人ゲーム『東方憑依華 ~ Antinomy of Common Flowers.』に登場する最終ボスのテーマソングである「今宵は飄逸なエゴイスト(Live ver) ~Egoistic Flowers.」が原曲という。
東方Projectといえばシューティングゲームながらのスピーディーな楽曲が多いことで知られているが、そのスピード感を持ち前のパワフルなバンド・アンサンブルと歌声で、さらに加速させている。ソリッドなサウンドが驚く速さで駆け抜けていく気持ち良さに、中毒者が続出したという。
猛烈なスピードを叩き出すバンド・サウンドに、おしゃれな雰囲気をプラスするピアノが交わることで、疾走感溢れる楽曲であるとともに、ダンサブルな印象も見受けられる。
体が自然と踊り出してしまうほど、楽しい。
このハイクオリティな楽曲は、東方ファンのみならず、幅広い音楽リスナーの心を射抜くだろう。
コンプが作詞を担当したというシニカルな歌詞は独特な言葉選びで、とても印象強い。ぜひ歌詞にも注目して聴いてほしい。
また、MVに使用されたイラストも自作だそうだ。そちらも合わせてじっくりと堪能してほしい。

来年で活動開始から10周年を迎えるという豚乙女。
今後はメンバーが敬愛する東方Projectをより盛り上げつつも、アーティスト『豚乙女』として、さらなる飛躍を見せていくことだろう。
ライブや即売会などについては随時ホームページやツイッターで更新されるとのこと。

一度聴いたらやみつきになるカオス・ワールドを、ぜひ直に体験していただきたい。


【HP】http://www.butaotome.com/

【Twitter】https://twitter.com/butaotome