Broken my toybox　完成された世界観が紡ぎだす切なくも優しい世界

ディストーションがかったギターロックサウンドにボーカル藤井のハイトーンボイスが重なり、切なさやノスタルジーを醸し出す。Broken my toyboxはそんなバンドだ。

2016年5月に結成後、一度聴いたら忘れないメロディーの楽曲を多く生み出しながら、東京を中心に精力的な活動を行っている。

メンバー構成はGt.Voの藤井樹、Gtの高田健太郎、Ba.Choの郷間直人、Drの加藤芳樹という4人組。

特筆すべきは楽曲制作のスタイルだ。彼らはまず楽曲のタイトルを決定し、その後にメロディーをつけていくという。まるで一つの小説を作るようなスタイルで楽曲を紡ぎあげていくので、メロディーと言葉、バンドサウンドとの親和性が高い。

楽曲制作の中心となるのはボーカル・ギターの藤井で、基本的には藤井が作詞作曲を行い、メンバーがそこに肉付けを施していく。経験則やその時々に思っていることを詩にしていくので、共感・感情移入できるような楽曲が多いのも特徴だ。

そんな彼らの楽曲制作におけるテーマは「綺麗事のない残酷の中に見える微かな灯火」。

・Broken my toybox – かけがえのないなどない

往年のシューゲイザーを思わせるような歪んだ音作りに、冬の空や空気に溶けていきそうな甘く切ないギターフレーズ。そこにボーカル藤井のセンチメンタルな歌声が絡み合う、実に感情を刺激される一曲だ。

そんな切ない世界感は当然歌詞にも反映されていて、自分を救ってくれるような存在に対して、「自分ではなく他の誰かを救ってほしい」と別れを告げている。

一人になりたいと思っていながらも、一人は一人でさみしくて居心地が悪い。そんな矛盾を抱えながら生きている人にそっと寄り添ってくれる楽曲だ。

・Broken my toybox – Hello Halo

荒々しさを感じる音作りのギターを、やはり荒々しくかき鳴らすようなHello Halo。乾いた音がよく響くドラムの音や、刻んでくるギターのバッキングと合わせてギターロックを強く感じるナンバーだ。

例によって文学的・物語的で切なさを感じるような歌詞だが、疾走感のあるバンドサウンドによって、聞いていて気分が上がる仕上がりとなっている。その疾走感を強く感じさせているのは間奏に入るギターソロや、イントロ・アウトロで入るギターのフレーズだろう。

印象的でメロディックなフレーズと小気味のいい和音のフレーズをうまく絡ませ、楽曲に盛り上がりをプラスしている。ギターロック好きにはたまらない一曲だ。

・Broken my toybox – おかえり劣等生

スキルの高さを感じさせる音数の多い激しいギターフレーズが印象的なナンバー。音数が多いのはギターだけではなく、Aメロのバッキングでは高速ドラミングを披露している。その音数の多さは全体的に継続され、サビ以外では基本的に手数が多い楽曲といえる。

とはいえ時折ぐっと音数が少なるシーンもあり、そこと音数の多いシーンとのギャップが、Broken my toyboxの特徴ともいえるセンチメンタル感をより強く醸し出す。

いつのまにかそっと隣に寄り添われているような気分になるBroken my toyboxの楽曲。感傷的でありながら、優しさも強く感じるその世界観は、希望と言い換えることも出来るだろう。

高いスキルを感じられる楽曲も多いので、今後さらに大きなステージでパフォーマンスを披露することになっても不安はない。そうなる日もそう遠くはないだろう。

【HP】https://brokenmytoybox.jimdo.com/

【Twitter】https://twitter.com/BrokenMyToyBox?s=20

【リリース情報】

2019.10.31 Release　CD

2nd single「かけがえのないなどない」

01. かけがえのないなどない

02. Morning glory

「01.かけがえのないなどない」のみ、以下各種ダウンロードサイトにて配信中

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【ライブ情報】