女性二人組ユニット、YOI*HARU。

2000年代頭にニトロプラス社ゲームの主題歌歌唱つながりで出会った「いとうかなこ」と「Hassy」という二人からなる。
ロック魂溢れるHassyと、どちらかといえばポップで温かいムードのいとうかなこという、少し毛色の違う二人の良いところが上手く絡み合っているユニットゆえに、一つの楽曲の中でいろいろな表情を楽しむことが出来るのが特徴だ。
そんな毛色の異なる二人が組んだのは、距離感・波長が合ったから。二人とも愛犬家で酒飲み。だから一緒に飲んでいてもすごく楽しかったし、2018年末に中国のイベントへ二人で歌いに行った際にもすごく楽しかったという。そんな経験を経て、2019年に結成。同年8月には5曲入りのミニアルバムも発売するなど、以降積極的に活動中。
二人が大切にしているのは歌詞。考え方などに共感してもらうような歌詞を書くのではなく、詩的な描写も意識しつつ「私たちはこういう風にしていきたい」という自分たちの思いを歌詞にする。そこには自分に対して言っている部分もある。そんな歌詞を、パワー溢れる歌声で歌いあげるのだ。
「仕事としてやっているユニットではない」「喜怒哀楽を楽しんでいただくために音楽をやっている」という二人が織りなす音楽は、まさしく必聴。




・YOI*HARU – Ready bird




「“Lady” bird」ではなく「”Ready” bird」というタイトルになっているこの曲。元々のスペルLadybirdにはテントウムシという意味がある。そしてテントウムシは、幸せの象徴だと言われている。そんなテントウムシのLadyをReadyにすることによって、「準備の出来た鳥」「幸せの象徴」という意味を持たせているのだ。そんなタイトルは、元々ユニット名にするという話もあったとのこと。

歌われているのは、「自分で自分を決めつけないで」という思い、「そばにいることが当たり前じゃない」という思いだ。当たり前のことに対するありがたさが表現されている。
その裏には「お互いにいつも感謝の気持ちを忘れないでいる」「お互いをリスペクトしている」という、二人の関係性の良さがあるのだ。
サウンド的にはロック色と爽やかでポップなムードをうまく織り交ぜた、まさに二人の良いところが出ていると感じられる音作りになっている。音にも歌詞にも、どっちにも注目して楽しみたい一曲。




・YOI*HARU – 春は来る




Aメロはいとうかなこが書き、それ以外のメロディーはHassyが書いたというこの曲。「季節が巡っていくように、辛いことがあった後には必ずいいことがある」という思いが込められている。

実際に自身も、辛いことがあったときにすごく落ち込んで、どん底まで落ち込んだら自然と上がってきたという経験があったそう。そんな経験を落とし込んだ歌詞は、1番がHassy、2番がいとうかなこという書き分けになっている。
書かれているテーマに寄り添うように、サウンドの世界観は暖かく優しい。心にすっと入り込むような、少ない音数のサウンドだ。メロディーも同様に言葉や音を詰め込むようなものではなく、一つ一つの音や言葉をしっかりと聴かせるような作りになっている。辛いことがあって心が疲れた時に聴きたい一曲だ。




・YOI*HARU – YOI*HARU




爽やかで温かいアコースティックギターのサウンドとハードに歪んだギターのコントラストが印象的なこの曲。タイトルはユニット名をそのままタイトルにしているが、そんな「YOI*HARU」というタイトル・ユニット名がこの曲のポイントだ。

YOI*HARUという名前は、「よいこ」と「はるこ」というHassyの愛犬、いとうかなこの愛犬・梅三郎(梅ちゃん)から採られている(梅ちゃんは真ん中の梅マーク)。つまりこの曲はそんな二人の愛犬について歌った曲だ。とはいえ受け取り方は自由で「大切な人に向けて歌っているという受け取り方でもいい」と、彼女たちは話す。
そういった背景の曲だけあって、メロディーや歌詞は極めて牧歌的で暖かい。だがそんな牧歌的なメロディーや歌詞が逆に涙を誘う。ペットを飼っている人は、特に泣けてくるだろう。
MVにもそんな彼女たちの愛犬の写真や動画を採用。ちなみにHassyの愛犬はチバワンという保護犬や保護猫を預かっているNPO団体から譲渡されてきた保護犬とのことだ。



これからは「YOI*HARU村を全国区で。」という目標をもって進んでいく。「ライブは人が集まらないと」「目指せ純烈」とも話しているように、しっかりと人を集めて自分たちの音楽を届けていく心構えだ。

歌唱力や表現力に疑いの余地はないYOI*HARU。直接その音楽に触れて損するということはまずないだろう。




【HP】https://yoiharu.amebaownd.com/