名古屋出身の「エレクトロスウィング」シンガー、水崎うき。
エレクトロスウィングとは読んで字のごとく、ジャズとエレクトロミュージックを融合させた音楽だ。
水崎うきがその音楽のとりこになったのは、コピーバンドや同人音楽での活動を経て自分を模索していた2017年ごろだった。ある時ダンスの先生がかけた「DIMIE CAT」のCDに耳を奪われた。ジャズレコードのサンプリングと四つ打ちのエレクトロを掛け合わせたその音楽性は、「本心から愛せるものがない」と感じながら活動していた彼女の心を一気につかみ、その世界に引きずり込んだ。以降、「自分の人生を賭ける音楽」としてエレクトロスウィングに傾倒。
1st CD「BLUE×MOON×CAT」のために試みたクラウドファンディングでは、目標の100万円を大きく超える170万円を集めることに成功した。2018年には上京し、フランスはパリでのライブも決行。翌2019年にはエレクトロスウィングのコンピレーションアルバムに多くの海外アーティストともに参加。日本だけではなく、世界でも確かな評価を受けながら活動中だ。
・水崎うき – Land Jump
スウィングムード全開のサウンドにアップテンポな4つ打ちという、これぞエレクトロスウィングといったサウンドが印象的な一曲。
楽曲の主人公となっているのは、「人に嘲笑されながらも、夢に向かって頑張る絵描き」。古い時代のヨーロッパでありそうな、そんな情景に合わせてオールディー感溢れるジャズサウンドが響く。そこに現代的なエレクトロサウンドが入ることによって、軽やかなムードに仕上がり、その絵描きがそんな世界でも下を向かずに頑張ろうとしていることが伝わってくる。
そんな楽曲なので、同様の状況に置かれた聴く人の心も、同じように前向きにさせてくれることだろう。
・水崎うき – Swing Road (feat. DYES IWASAKI)
ジャジーなムードとダンサブルなムードの間を行き来するようなベースラインが印象的な楽曲だ。だからある時にはジャズ感が強く聞こえるが、ある時にダンスミュージック感が強くなったりもする。エレクトロススウィング自体が元々そういったムードを持つ音楽だが、この楽曲は特にそんな雰囲気が強い。
それには、日本語詞で歌われていないということも関係しているだろう。水崎うきは、エレクトロスウィングに日本語詞やJ-POP的なメロディーを乗せることが出来る稀有なアーティストだ。しかしこの楽曲ではそんな日本語詞は控えられている。というより意味のある歌詞自体があまりないような、スキャット的な楽曲だといえるだろう。そんな表現手法も出来るのだという、水崎の知見の広さを感じる1曲だ。
・水崎うき – Cinderella
ややゆったりとしたテンポで奏でられるこの曲。ジャズサウンドもどことなくおおらかな雰囲気で、歌のメロディーも歌謡ムードが強い。踊れるは踊れるのだが、フロアで踊り合うというよりは、身体を揺らしながらゆったりと音に乗るといったようなダンスにピッタリの曲だ。
またこの楽曲は、特にピアノの音色が印象的。全体を盛り上げる、弾ませるようなピアノサウンドではなく、たとえばキース・ジャレットのアドリブのような、美しく、流線的なピアノが聴ける。ピアノジャズが好きな人でも気持ちよく聴ける1曲だろう。
今は新作の制作中で、目標は海外フェスに出ることだという水崎うきは、日本のエレクトロスウィングのパイオニア的存在だといえるだろう。
ただエレクトロとジャズを組み合わせるだけではなく、そこに日本の音楽のエッセンスまでしっかりと加えられているなど、オリジナリティは高い。そしてそういった音楽を歌いこなすだけの歌唱力もある。そんな彼女がこれからもっと高い注目を集めていく可能性は、極めて高いだろう。
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【ライブ情報】
ElectroSwing Party Japan vol.6〜GUEST DJ Kiwistar From Paris!〜
(主催イベント)
2020/02/29(土)渋谷 R Lounge
2020/04/03(金) 川嶋志乃舞pre.ハイカラハーバー(名古屋)