祈りにも似たような切実な声を出したかと思えば、誰かの傷に優しく寄り添うような優しい音色を奏でることもある。そんな印象的な声の持ち主が、千葉県出身のシンガーソングライター、ミヤだ。
1999年生まれの若干20歳。本格的に音楽活動を始めたのは高校3年生の春のこと。もともとコピーバンドで音楽を楽しんでいたが、それがなかなかうまくいかなくなり、シンガーソングライターとして活動してみることを決意。音楽が自分に向いているか向いていないかもわからない中、とにかくひたすらにライブ活動を行う。まずとにかく歌うということが先に立ち、ライブハウスでのパフォーマンスだけではなく、ストリートライブも多数経験してきた。
そんな経験が実を結び、2018年9月には下北沢MOSAiCにてバースデーワンマン「arekore」を開催し、大成功を収めている。翌2019年2月26日にはTSUTAYA O-Crestにてミヤプレゼンツ「夜が更ける」を開催。続く2019年11月13日には、下北沢Lagunaにて弾き語りワンマンライブ&トークを開催する。
年々注目を増している、シンガーソングライターだ。
・ミヤ – 消息
心の隙間に染み入るような繊細なアルペジオから、感情があふれ出すような歪んだギターが一気になだれ込んでくる。そしてまた繊細なアルペジオとともに、やわらかくも芯があるミヤの歌声が絡む。まるで感情の波を泳ぐような楽曲、それが「消息」だ。
この曲のテーマは「忘れる」という言葉。人の記憶には限界があり、多くの人はいろいろなことを忘れながら生きていく。どれだけ強く思っていた誰かのことも、時とともに忘れてしまうだろう。しかしすべてのことを完全に忘れてしまうということはなく、ふとしたことをきっかけに引き出しの中からある時の記憶を取り出すこともあるのだ。
「この曲が、そんなふうに忘れた情景を思い出すきっかけになればいい」そんな思いが込められた一曲。
・ミヤ – 夜【Live music video】
優しい音色のギターと、曲に寄り添うようなバランスが見事なリズム隊、そして楽曲をノスタルジーで彩るようなピアノの音。「夜」では、そんな絶妙なバランスのバッキングの上で、ミヤの声が感情豊かに踊る。
この楽曲は、ミヤが人生に3曲目に作った曲だという。「生きているうえで当たり前のことなんてない」という思いを軸に作られており、声にも切実さが込められる。
当たり前の日常・世界を失うのはいつだって突然だ。そんな突然の悲しみや絶望感を埋めてくれるような感情豊かなナンバーとなっている。
ミヤの音楽活動のベースとなっているのは、「暗い気持ちを消費する」こと。
明るいことは明るいこととして自分の中で消費されていくが、暗い気持ちは自分の中で消費されず、いつまでも残ってしまう。そんな消費されない暗い思いを音楽にすることで消費している。現代にはそんなふうに消費されない思いをいつまでも抱えて苦しみながら生きている人も多い。そんな人たちに「共感してもらえたら、いいなと思ってもらえたら良いな」と語っている。
音楽は自分を残していける職業。自分がこの世界からいなくなってしまっても、そこに自分が作ってきた音楽があることで、自分を残すことができる。そんな思いを抱きながら音楽活動をしているという彼女の楽曲に、まだ生まれてもいない誰かの、消費されない思いが共鳴し、消費されていく未来が浮かぶ。
【公式HP】https://miyayomogi.wixsite.com/miya-official
【Twitter】https://twitter.com/miya_yomogi
【プロフィール】
千葉県出身、1999年生まれ、都内中心に活動するシンガーソングライター。
2019年2月にはジャケットイラストに漫画家の永田カビ先生を迎え、通算3枚目となるシングル『消息』を発売。
現在は弾き語りに加えバンド編成などでも活動しており、声を特徴に独特な表現で支持を集めている。