加藤・武久・木村・阿部・一里山・田中の6名からなるアカペラグループ、たむらまろ。

低音パートから高音パートまで隙のないハーモニーを聴かせるのが魅力で、全体の統一感が抜群。それでいてそれぞれのパートがそれぞれに存在感を発揮しているので、聴いていてハッとさせられることも多い。アカペラでは一つの武器になるといえるボイスパーカッションを用いないというのも一つの特徴だ。
結成は大学のサークル。「精緻なハーモニーをとことん追求したい、というモチベーションで集まった」という6名で、卒業後も活動を続けている。そんな結成当初のモチベーションは今も変わらず、現在も、一音ずつ時間をかけてハーモニーを確認する練習を欠かさないという。
たむらまろという一風変わった名前は「全員がメガネを掛けているグループが、横文字のかっこいい名前にはできない」という思いもあり、思い思いの単語を書いた紙を入れたくじを引いて決定した。


2015年に、日本最大級のアカペライベント「Japan Acappella Movement 2015」で優勝。さらにRAG FAIRやINSPiなど、のちにプロとなる人気グループを輩出したフジテレビ系の人気番組「全国ハモネプリーグ2019」においても優勝。

知名度の向上とともに、小学校での演奏や国外の大会への参加など、活動の幅が大きく広がったという。
今後さらに様々な場へ歌声を届けていくであろう、期待の6声グループだ。




・たむらまろ – 鉄腕アトム




日本人であればほとんどの人が聴いたことがあるであろう名曲「鉄腕アトム」。そんな鉄腕アトムのたむらまろ版トランスクリプション(編成の組み換え。この曲の場合は信長貴富氏の合唱編曲版をベースとしている)バージョンだ。


優しく穏やかな入りをするこのアレンジ。まずはその丁寧なハーモニーに耳を奪われる。そのままサビを1パート終えると、そこからは冒頭では入っていなかった2声が加わり6声に。ハイとローにぐっと厚みがまし、全体のハーモニーが一気に重厚になる。そしてサビ終わりからは原曲の元気な雰囲気を感じるような、勢いのあるアレンジになっていく。
ボイスパーカッションが入っているのではないかと勘違いしてしまうほどに高い疾走感を演出できているのは、跳ねるようなリズミックなハーモニーを奏でるパートがあり、かつそこがしっかりと存在感を発揮できているからだろう。
時折メインボーカルが変わるというのも、飽きずに最後まで気持ちよく聴ける理由の一つだ。




・たむらまろ – Circle of Life




ライオンキングの名曲「Circle of Life」のたむらまろアレンジバージョン。冒頭第一声から、圧倒的な声の厚みによって、音の渦に飲み込まれていく。ただ綺麗なだけではなく、どこか独特な響きをするハーモニーが印象的だ。


Circle of Lifeの特徴ともいえるリズミカル・トライバルなコーラスもしっかりと再現しているのに、たむらまろらしい重厚なハーモニーはしっかりと堪能することが出来るこのアレンジ。原曲の良さも、たむらまろの良さも、どちらも存分に発揮できている名アレンジだといえるだろう。

声質の違う二つのメインボーカルも、それぞれに高い存在感を発揮。だからやはり飽きずに最後まで聴くことが出来る。ハモネプリーグの予選動画ということもあって既定の秒数内に収められているこの演奏。むしろもっと長く聴きたいと思うはずだ。



今でも日本屈指のハーモニーを聴かせる彼らだが、技術・音楽性ともに更に上のレベルを目指したいという。そんな高い向上心も一つの武器だろう。

オリジナルの楽曲も作っていきたいかと尋ねてみると「是非挑戦してみたいです。いざやるとなったら、全員のハーモニーを存分に活かせる、とことんまで拘り抜いたものを作りたいです。」と、ハーモニーを大切にする彼ららしい回答が。いずれにしても今後も最高のハーモニーを届けてくれることは間違いないので、彼らを追いかけていれば、耳が寂しくなることはないだろう。




【読者に一言】

「YouTube等でも精力的に活動していきますが、欲を言えば、是非生の歌声を聴いてほしいです。ライブならではの臨場感や立体感のあるサウンドに、きっと驚いていただけると思います。」


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