戦略的な音楽活動を行っていきたいと考えているミュージシャンにとって、他のミュージシャンとにはないオリジナリティー溢れる楽曲や音楽路線で活動していきたいと考えるのは、ある種自然なことかと思います。でも、新しい音楽性を自ら発明するのは、とってもとっても難しいことで、苦しんでいるミュージシャンも多いと思います。
一方で、発明という概念を広くとらえた時に、発明は組み合わせだということをよく言われます。そう、音楽においても、それは例外でないと思います。この記事では、
組み合わせによって独自の路線を築き上げたミュージシャンを紹介します。
◆メタル×アイドル、BABYMETAL◆
今や日本だけでなく世界的な規模での人気になり、日本の音楽シーンのアイコン的な存在になりつつあるアイドル、BABYMETAL。音楽に興味を持っている人で、その存在を知らない人はいないでしょう。
メタルが本当に好きな人の間では、BABYMETALに関してネガティブな思いを抱く人も多いみたいやけど、戦略的には本当にうまいなぁって思う。今じゃ「誰でも思いつきそうなことやん、早くやったもん勝ちっしょ」って思ってしまうかもしれないけど、最初に組み合わせやそのコンセプトを考えた人は本当にすごいと思う。最初は打ち込みの音に合わせて踊ってだけやったけど、ちゃんとした
メタルバンドをバックにしてアイドルが踊るようになってから、より人気が出たところからも、戦略のうまさが分かります。
◆ラップ×ロック、Rage Against The Machine◆
日本ではミクスチャーロックと呼ばれるジャンルで、代表格とされているアメリカのロックバンド、レイジことRage Against The Machine。ロックンロールに合わせてボーカルがラップを歌う事から、海外ではラップロックやラップメタルなどと呼ばれているジャンルです。
ロックンロールとラップの組み合わせというのは、他のバンドにも多く見られるアプローチで、このレイジが完全なるオリジネイターってわけでもないんやけど、単純にラップとロックを組み合わせただけでなく、さらに様々なバックボーンを組み合わせた結果、唯一無二の存在になっています。
まず、音楽的なバックボーンでいうと、ボーカルのザック・デ・ラ・ロッチャはもともとInside Outというハードコアバンドに所属していました。そのハードコアバンドで培った攻撃性やリズム感などをレイジでも遺憾なく発揮しています。
また、バンドのポリティカルな一面もレイジをレイジたらしてめている要因でしょう。大きなバンドとなってからも、大きな体制に対して中指を突き立てるような曲を作ったり、突然街中でゲリラライブを始めたりと、とにかくロックな姿勢を貫いています。
音楽的な組み合わせだけでなく、そういうバックボーンも組み合わせたレイジという発明品です。
◆パンクロック×エレクトロ、Crying◆
上記2バンドと比べると格段に知名度が劣るバンドですが、インディーシーンの中では注目度の高いバンドがニューヨークのパワーポップバンド、Cryingです。2014年にリリースしたフルアルバム、”Get Olde Second Wind”で頭角を現したバンド、最初に聞いたときは拒絶反応を起こすような煩さを感じるでしょう。いわゆるピコピコ音と呼ばれるエレクトロミュージック特有の音をパンクロックを奏でるバンドサウンドに乗っけたヤンチャなパワーポップ。エレクトロ、パンクロック、どちら側の人間にも最初はとっつきにくいと感じる音ながら、聴き込むうちにとりこになってしまうから不思議。とにかく中毒性がたまりません。8-bitミュージックブームもあって、こういったエレクトロミュージックで打ち込みを楽しむミュージシャンはたくさん出てきましたが、まさかバンドサウンドととり合わせるとは。恐るべしです。
以上、そのミュージシャンならではのオリジナリティー溢れる楽曲を組み合わせによって創り上げた人たちを紹介しました。自分たちならではの新しい音楽を作るときの参考にしてみてください。