幼い頃、ゲームに熱狂した経験はあるだろうか? ゲーム特有の現実味のない物語に熱中し、自らも登場人物になりたいと考えた思い出は、多くの人たちが持っていることだろう。「魔法少女になり隊」は、RPGの持つそんなドキドキ・ワクワクをそのまま具現化したようなアーティストだ。


ヴォーカルの火寺バジルは魔女のおにぎりを勝手に食べたことで怒りをかい、呪いをかけられて喋ることができなくなった。その呪いを解くために魔法少女見習いとなり、”歌”という魔法を使って冒険をしているのだ。バジルは、妖精のgari(VJ/ヴォーカル)、女剣士の明治(ギター)、スナイパーのウイ・ビトン(ギター)を仲間に迎え、よわい心「ダークネス」を浄化し、「ハピネス」を集めて呪いを解くために旅を続けてゆく。



1月18日リリースの最新曲「革命のマスク」は、ゲームを思わせるピコピコとしたサウンドと、エフェクトのかかった歌声の楽しいダンス・チューン。そこに愛らしいバジルの声と、それとは対象的なgariのシャウトが乗せられる。〈この世が残酷でも きっと解り合えるはず/だからね わたしは革命起こすの/言葉を失くしても〉と、バジルは強い言葉をまっすぐな声で歌う。バジルが呪いをかけられたのは、自らの勝手な行動がきっかけだ。ある意味自業自得ともいえる構図ではあるが、彼女の歌はそんなマイナスの感情を溶かす力を持っている。どこか夢見心地でポップな音楽は、魔法少女を目指す彼女にお似合いだ。

彼らの魅力は音楽だけでない。VJを駆使した演出や、メンバー一人ひとりのキャラクターも、多くの支持を得ている理由の一つだ。だから、魔法少女になり隊のファン層はとても幅広い。ラウドロックを好むキッズ、バジルに憧れる若い少女たち、さらには楽曲提供を行った私立恵比寿中学のファンなど、様々な人たちが参加して、彼らのRPGを盛り立てている。

RPGは一般的に、やり込めばやり込むほど奥が深いものだ。魔法少女になり隊もまた然り。ファンタジーと現実が見事に融合する彼らのパフォーマンスに、どっぷり浸かってみては。


文・小島沙耶



魔法少女になり隊
魔女に話せない呪いをかけられてしまった魔法少女見習い・火寺バジル(Vo)の呪いを解くべく、“歌”という魔法を使いながら冒険を続けている“RPG系バンド”。メンバーは妖精のgari(VJ, Vo)、スナイパーのウイ・ビトン(G)、女剣士の明治(G)がいる。4人はバジルの呪いを解く鍵となる“ハピネス”を集めるため、ライブ活動や音源のリリースを行いながら冒険中。ロックリスナーだけでなく、私立恵比寿中学に楽曲「ちちんぷい」を提供したことをきっかけにアイドルファンからも注目を集めている。2016年9月にソニー・ミュージックレコーズより「KI-RA-RI」でメジャーデビューを果たす。2017年1月18日に最新シングル「革命のマスク」をリリースした。

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