歌を大切にするバンドは、いつの時代も、どんなジャンルであっても多くの人に愛されるものだ。福岡発のエモーショナルなロックバンド、Silhouette from the Skylit(シルエット フロム ザ スカイリット)もその一つ。2017年1月1日に新たなギタリストを迎え、新体制となったばかりの彼らの武器は、想いのこもった歌とサウンドだ。




Silhouetteの楽曲群には、メタルを思わせる重厚感と、ピアノやシンセサイザーを駆使した軽やかさが同居している。硬派なバンドサウンドの迫力もさることながら、真っ直ぐに突き刺さる歌詞も特徴的だ。エフェクトの掛かった歌から始まる「Growing Pains」には、〈タイムアップ〉〈LEVEL UP〉〈ゲームオーバー〉〈イージーモード〉と、ゲームを思わせる詞が並ぶ。加えて、前向きな旋律に乗るのは〈ててて…アレ?〉〈わかってんの?わかってんの?〉という、飾らない言葉たちだ。難しい語彙や綺麗な言葉を並べ立てるわけではなく、等身大の言葉で、勇気づけられるような詞を紡いでいく。だから、聴き手にすっと響いていく。


「Growing Pains」が収録されたアルバム『Heracles』は、Silhouette自ら「リードトラック? どれでもいいっすよ、全曲なんで」と宣言する自信作だ。2曲目「Emperor Time」は〈HOLD YOUR GLASS HIGH〉と威勢のよい掛け声から始まる。楽器の音と電子音がうまく絡み合うこの曲は、ライヴでこそ真髄を見られるであろう1曲。終盤、一瞬の静寂の後にSeshiroX(Vo)が〈理屈じゃなく、まずその杯を乾かせ〉と囁く。その言葉通り、考えるよりも先に身体が動いてしまう。




「Blue Echo」は、これまで紹介してきた曲とは少し異なった空気を纏う。ミドルテンポで、SeshiroXの声の美しさが際立つ1曲だ。透き通ったファルセットも、壮大かつ優しく響く。間奏のギターソロが、エモーショナルに歌い上げる。〈僕の期待以上に遠くまで響いたecho〉という歌詞も出てくるが、きっと彼らの音楽もこれから、さらに遠くまで届いていくのではないだろうか。そんな未来を予感させる名曲だ。

バンド名「Silhouette from the Skylit」を日本語に訳すと、”天窓からの光”となるだろうか。その名の示すとおり、差し込む光のように明るい音楽を掲げ、Silhouetteは進み続ける。今年はライヴの本数も増やしていきたいという彼ら、2月も全国各地でのライヴを予定している。ギターロック以外のジャンルのイベントにも勢力的に参加していくという彼らをの”これから”をお見逃しなく。


文・小島沙耶



Silhouette from the Skylit

シルエット フロム ザ スカイリット。SeshiroX (Vo)、Kiyo(Gt)、廣田哲朗(Ba, Cho)、K.O.U (Dr)。2007年、2年間の米国留学から帰国したSeshiroXが「様々なバンドのプレーヤーをサポートに迎える」形で前身となるプロジェクトバンドを立ち上げる。2008年、SILHOUETTE FROM THE SKYLITに改名。2010年、活動を本格化させる。2011年6月、活動の拠点を福岡から東京に移し、12月には1st EP「The Great and Desperate」を初の全国リリース。2016年1月、3nd Album 『Heracles』をリリース。5月、渋谷O-WESTにて、自身2回目のワンマン公演を行い500人を動員しSOLD OUTさせる。8月には「No Fear Festival 2016」(台湾)に出演。2017年1月に新メンバー、Kiyoの加入が発表される。


オフィシャルHP

http://silhouettefromtheskylit.com/home/