東京都内を中心に活動中のバンド、17歳とベルリンの壁。
Vocal/Guitar/Synthesizer『Yusei Tsuruta』、Vocal/Bass『Eriko Takano』、
Guitar『Takuji Yoshida』、Drum『Junichirou Miyazawa』という、
ツインボーカル・ツインギターの4名編成。
バンド名の由来は、Vo./Gt./Synth. Yusei Tsuruta自身がリスペクトする
Base Ball Bearのアルバム「十七歳」という作品と、その中の「17才」という曲から、
そのどちらとも違う「17歳」という表記をとった。
またNUMBER GIRLも17歳という言葉をよく使うということも由来の1つ。
「ベルリンの壁」の方は、教科書などでは知っているけど実際の姿を僕たちは見たことがない、
というような感覚的な部分で付けたという。
2013年に活動を開始すると、シューゲイザーやギターポップ、ドリームポップに影響を受け、
そのおぼろげで美しく、そして淡いながらも色彩豊かな音像で聴く者を覆い続けている。
ポップでありながらどこか低体温なメロディーも、その特徴の一つ。
2015年7月に1stミニアルバム『Aspect』をリリースすると、早耳リスナーの心を掴み、
ディストロ・WebショップのHOLIDAY! RECORDSにて同年の年間セールスランキング1位を記録。
以降3枚のミニアルバムと1枚の7inch作品をリリース。
さらにこの2021年2月には計24曲を収録するライブアルバム『Act』を発表。
同ライブの映像は現在(2021年4月現在)、YouTubeでも全編公開中となっている。
・17歳とベルリンの壁 - プリズム [MV]
跳ね感のあるドラミングで始まりの鐘を鳴らした後、一瞬でおぼろげな音像が視界を覆う。
そのまま真っ白な音の波に重ねられているような感覚になっていると、
その白い波の壁の先に淡く美しい光が差し込んでくる。
圧倒的に美しいその光は、まるで心を浄化してくれるようだ。
ハモリが心地よい、男女混合ツインボーカルで奏でられるメロディーラインはやはりポップ。
彼ら自身も「歌詞よりメロディーやサウンドを聞いて欲しい」と話すように、
そのポップなメロディーラインは彼らにとっての重要な要素だ。
そんなポップさがありながら、メロディーの音運びはシューゲイザーや
ドリームポップライクでゆったりとしたもの。
そこにドラミングなどで疾走感を加えているというのも、この楽曲のポイントの一つだろう。
ポップでもあり、おぼろげで美しくもある。まったりもしていて、疾走感もある。
それゆえに、生活のどの部分にもハマり、聴く人それぞれの日々を彩ってくれる。
・17歳とベルリンの壁 - 誰かがいた海 [MV]
2020年8月にリリースした4枚目のミニアルバム『Abstract』収録曲。
「シンセや打ち込みを入れることで、他のミニアルバムとは違う雰囲気を作り上げた」
と話す『Abstract』に収録されたこの楽曲はその言葉通り、
おぼろげで淡い音像で覆い包む楽曲とは若干趣が異なる。
もちろん抜群の浮遊感はあり、低体温なボーカルや音に覆われる感覚は
失われてはいないが、全体のコントラストは若干濃い目だといえるだろう。
そんな音像で描かれるこの楽曲に込められているのは
「帰省したときに感じた、失ったものと得たもの」。
たとえば地元を離れて10年が経ち、街は変わったという。
でも、海は変わらない。その感覚を音に詰め込んでいるがゆえ、
この楽曲には得も言われぬノスタルジーと胸をぎゅっと締め付ける感触があるのだ。
・17歳とベルリンの壁 - Oneman Live "Act"
2021年2月にリリースしたライブアルバム『Act』。
それは、2020年8月に開催されたワンマンライブの模様を詰め込んだものだ。
そしてこの映像もまた、そのライブの模様。
「過去にリリースした曲を全曲演奏している」という同ライブの、全編映像だ。
ミックスやマスタリングもVo./Gt./Synth. Yusei Tsurutaが自身で担当。
そこには「コロナの影響で動員数も制限をかけつつやったので、
ライブに来られなかった人のために」という思いがある。
17歳とベルリンの壁の音楽は、ヘッドホンで聞いていても
音に覆われる感覚になる。そしてその音に覆われながら、
「ライブだとより直接的に音に覆われる体験ができるのだろう」と思うのだ。
実際このライブでも、冒頭からポップでおぼろげで、美しくて淡いその音像に覆われる。
それが行き着く先は非日常。2時間ちょっとのトリップだ。
暑い夏も涼しくしてしまうようなその音に、なんてことない朝を
ドラマチックにしてくれるその音の中に、是非トリップしていただきたい。
「今はとにかく曲作りに専念する。10年後20年後でも
聞いてもらえるような楽曲制作を頑張る」と話す彼ら。
作品ごとに自分たちのスケールをアップしているように
感じられる彼らゆえに、その言葉に期待値が高まらないはずもない。
シューゲイザーやドリームポップ好きはもちろんのこと、
今後より幅広くその音が届いていく可能性は高いだろう。
是非、長く注目していただきたいバンドの一つだ。
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