もともと柔道に打ち込む中学生であったのが、中学2年の時に吹奏楽部が演奏していた「イン・ザ・ムード」に衝撃を受けたことがきっかけで吹奏楽部に転部し、パーカッショニストに。奏楽推薦で高校に入学し、在学中はテレビ朝日系『ストリートファイターズ』の主催イベント「Hジェネ祭り」で多くの音楽関係者の注目を集め、本格的に楽曲制作を始め、路上ライヴも行うようになった。PEIGY(ペイギー)はそんな、天性のリズム感と音楽センスを持ち合わせたシンガーソングライターだ。


ルーツ・ミュージックを愛する彼の楽曲は、どれも“愛”というテーマが根底にあるように思う。〈ちょっとしたことだけど聞いて〉という歌い出しで始まる「愛しき君へのうた」は、文字通り“君”への愛しい思いを語りかける。独り言のように、目の前の人にだけ聴こえるような声で歌うこの曲は、サビ直前の転調と共に一気に甘い雰囲気に。〈今の幸せのための口約束はしない だけれど幸せになりたい〉と歌う声は、なんとも男前!だ。五味岳久(THROAT RECORDS/LOSTAGE)をアートワークに迎えたMVも温かで、楽曲の雰囲気とよく合っている。



この他にも、彼の楽曲は柔らかな雰囲気のものが多い。「DuDuDu」ではいきなり〈生ビールから始まった喜劇は ジャスミン茶で悲劇の幕を閉じ〉と歌い、インパクトのあるフレーズで聴き手の心をがっちり掴む。ややハスキーな声がアコギに心地よく乗せられていく。ドラマティックなイントロが印象的な「Cry Baby Cry」、大人と子供の間のほんのり甘く懐かしい風景を描いた「15歳」、たっぷりの愛を情感込めて歌う「僕の数式」など数々の名曲を持つが、特筆したいのはファースト・ミニアルバム『20』のラストを飾る「股旅の道中」。穏やかなアコギと素朴な声は、聴き手のすべてを肯定するかのように包み込む。中盤のコーラスは男臭さが漂う低音で、強さと温かさを兼ね備えている。高音で鳴らされるギターのトレモロとのコントラストも美しい。

地元の秦野を中心に、路上ライヴを数多く行っているPEIGY。聴く人の心をほんのり温めるその歌は、ちょうどこの季節にぴったりだ。一人静かに過ごす夜に、あるいは大切な人と一緒に、様々なシーンに寄り添う歌に是非触れてほしい。

文・小島沙耶


PEIGY
高校在学中の2010年、テレビ朝日系『ストリートファイターズ』の主催イベント「Hジェネ祭り」に参加。独特なキャラクターとパフォーマンス、音楽性の高さで関係者の注目を浴びる。 「Hジェネ祭り」出演を機に、本格的に楽曲制作を始めるとともに、地元の秦野駅や水無川の河原での路上ライブを開始する。2013年9月、1stミニアルバム『20』をTOWER RECORD限定で全国リリースした。

PEIGYオフィシャルホームページ
http://avex.jp/peigy/