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minus(-) ━━ 退廃美と生命の儚さを映す、唯一無二のダークミュージック

minus(-) ━━ 退廃美と生命の儚さを映す、唯一無二のダークミュージック

muevo編集部にリクエストが寄せられた「気になるアーティスト」を紹介するmuevo pick up。今回は音楽ユニット、minus(-)(マイナス)の登場です。



現行の波に流されず、インディペンデントに生きる音楽ユニット・minus(-)(マイナス)。 2014年に元SOFT BALLETの藤井麻輝と森岡賢で結成されたが、2016年6月に森岡が急逝し、現在は藤井のソロユニットとして活動を続けている。

SOFT BALLETの元メンバー同士ではあり、バンド解散後、藤井は音楽活動を休止するも、運命の巡りあわせで再び森岡とユニットを組むこととなった。予てからBUCK-TICK・今井寿とのユニットSCHAFTや、ソロ活動に他アーティストのプロデュースワークと多岐にわたる分野で活躍していた藤井と、キーボードプレイヤーとして戸川純や土屋昌巳、布袋寅泰といった豪華な面々と共演してきた森岡は、互いに持つ高いスキルと知識を交え、自分たちの好みを真っ直ぐに貫いた音楽を作り続けてきた。

結成と同年にファーストミニアルバム『D』をリリースし、その後はLUNA SEA主催のフェスや、石野卓球、SUGIZO、THE NOVEMBERSといった幅広くも、同じくインディペンデントを貫くアーティストたちと共演を重ねてきた。翌年末にセカンドミニアルバム『G』をリリース。一定のペースを保ちながら、彼らは精力的に活動を進めてきた。そんな最中訪れた森岡の急逝。しかし、藤井はソロユニットとして活動していくことを決意し、ファーストアルバム『O』をリリース。2017年にはミニアルバム『R』をリリースし、minus(-)としての活動を絶えぬことなく続けてきた。

深遠なる闇の中、甘美に光るダークエレクトロ。これがminus(-)における最重要キーワードだ。エレクトロニカ、ニューウェーブ、ノイズ、エクスペリメンタル、インダストリアル。あらゆるジャンルを交えたminus(-)にしか成し得ることができない唯一無二のダークミュージックは、めくるめく音の世界に呑み込まれていきそうなほど濃密で、闇深い。 あらゆるアーティストからインプットしたものを、アウトプットに繋げ、誰にも類似ない音楽を生み出すminus(-)について、アルバム2作品を通して迫りたいと思う。



●ファーストフルアルバム『O』 

minus(-)の初めてのフルアルバムにして、minus(-)の総集編と言っても過言ではないほど彼らの魅力が詰まった作品。シーケンスやシンセサウンドが主軸のエレクトロミュージックをベースに、テクノ、インダストリアル、ニューウェイヴといった様々なジャンルが出会った曲たちが集う。

トップナンバー「The Victim」から、彼らのダークサイドな一面は開花。金属のような工場的な音を用いた音楽をインダストリアルといい、そのインスピレーションを電子音に反映させ、エッセンスとして多様している。退廃的な光景を彷彿とさせ、じわじわと浸食されるように音が広がってゆく。広さや奥行を感じさせるサウンド・スケープに身体はたちまち呑み込まれ、音に支配されていく。複雑に絡みゆく音像は、まるで一つの宇宙の成り立ちを見ているかのよう。あらゆるシンセサウンドを重ねては、丁寧に構築されていく音像は壮大なスケールを描き、一定のリズムを刻むシーケンスは呼吸のように身体と馴染んで音の世界へ引き込んでいく。時折きらめくサウンドたちは、惑星の光のように儚くも凛々しい。ダークな雰囲気が漂う中、彼らの魅力はそれだけではない。歌メロ自体はポップで、叙情的。エフェクトがかったボーカルはとても甘美で、じっくりと聴き入ってしまう。そして、電子的な音楽の中に浮かぶアナログなギターサウンドにも痺れるだろう。「No_4」ではノイジーなギターサウンドが、良いアクセントになっている。エッジィなギターリフが、音像に生を与え、動きを作る。不思議と温かみも感じられる。

綿密に作られた楽曲たちは、とても芸術的で、洗練された美を放っている。ダークサイドに映る美こそ、minus(-)の音楽の魅力である。



●minus(-) / 「Spell ver1.0」 from New Mini Album「R」 

藤井がソロユニットとして活動をはじめてから初の作品がミニアルバム『R』だった。 

今作ではゲストアーティストを多数起用し、ヴォーカリストにはAnis(MONORAL)、 YOW-ROW(GARI,SCHAFT)、玲里、Yurariを。ギタリストには菅波栄純(THE BACK HORN)、 佐々木亮介(a flood of circle)という豪華なメンバーを迎えて作られた。 

先述の『O』よりも、ダンサブルなリズムワークや、R&Bのようなムーディーさも含まれていて、ダークながらも艶やかな音像で、人間的な動きが強く見られる作品となっている。 特にバンド・サウンドがとても強く、女性ボーカルで描く命の儚さや幽玄さ、うねるようなベースラインや心くすぶる印象的なギターリフなど、人間味ある音にもフィーチャーしている。その“音”に対する幅広さは、このアルバム一枚を通して知ることができるだろう。「Drop」のようなみずみずしいサウンドや壮大な自然を彷彿とさせる音像美や、はたまた「LIVE-advanced」のようなハードなエレクトロサウンドとアグレッシブなボーカルで攻めた熱量のある獰猛な姿など、一枚のアルバムでminus(-)としての藤井の多様性が感じられて、色んな音色の交わりを堪能することができるのだ。 

こちらの動画で聴けるのは、菅波栄純が参加している今作のラストナンバー「Spell-ver.1.0」。しっとりと歌い上げる藤井のボーカルは切なくも美しい。静かな曲調から徐々にダイナミズムを増して、盛大なフィナーレを迎える曲展開は圧巻だ。森岡から受け継いだminus(-)はまだまだ生き続けるのだと、そう魂が叫んでいるような溢れる生命力と、凛とした藤井の姿が見えるような一曲となっている。 


ダークエレクトロに乗せる、構築的な退廃美と生命の儚さ。minus(-)の作品はひとつひとつが芸術的作品である。完成された音源として隅々まで楽しんだあとは、ぜひライブにも訪れてみてほしい。生で紡がれるたびに、音源では計り知れなかった迫力や圧倒的なパワーをひしひしと感じることとなるだろう。minus(-)が見せる深遠なるダークサイドの美に、思う存分酔いしれてみてはいかがだろうか。


【HP】http://minus.city/

【Twitter】https://twitter.com/minus0502

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