関東を中心に活動するヴィジュアル系ロックバンド・ジグソウ。

2018年2月より活動を始動させるが、当初はお披露目ライブの告知動画の配信のみ。「すべては3月にALTA Vision」という宣言通りに、初音源となる『鋏』のMVのスポット映像の上映とともに、メンバーのビジュアルを初解禁した。

お披露目ライブは4月に行われ、単独無銭公演を行うという、衝撃的なスタートを飾った。

6月6日にはファーストシングル『鋏』をリリース。通常版とDVD付きの2種類をリリースしたのだが、両タイプに収録されている「とびおりくん」は、なんと3月10日よりバンド名を伏せ、都内で無料配布していたという。また、盤面の点線を結ぶとジグソウになるというギミックが施されるなど、その斬新かつ愉快なパフォーマンスを披露し、注目を集めた。

現在は8ヶ月連続会場限定音源発売企画を進行中で、リリース日当日に行われたライブから来年1月まで各月ゾロ目の日に主催ライブを開催中である。

以前は違うバンド名で活動していたが、名前とスタイルを一新させ、ジグソウとして新たなスタートを切った彼ら。ジグソウの名刺となるシングル『鋏』収録曲3曲を用いて、ジグソウが誘う“レトロホラーカーニバル”の世界を覗いてみよう。



●1st Maxi Single「鋏」

“レトロホラーカーニバル”をコンセプトとする彼らの楽曲は、ダークホラーな世界観をベースに、耽美なロックを鳴らすバンド・アンサンブルに歌謡曲のようななめらかなメロディが特徴だ。転調を迎える度に彼らの楽曲は色や形を変え、めくるめく彼らのいたずらに呑み込まれていく感覚を覚える。

今作は、3曲を通してジグソウが主催する妖しげなカーニバルを体感することができる。

会場は、華やかな装飾に妖しくきれいな人形で敷き詰められたレトロな洋館。一度踏み込めば、四方八方からいたずらするようにブキミの不気味なボーカルが聴こえてくる。

リードナンバーである「鋏」は、彼らの屋敷を象徴するようだ。野性的デスボイスにノイジーなギター、重たくハイスピードなリズム・セクションと、ハードな印象が強いのだが、サビになると一変。高い歌唱力を活かした華やかな歌声に、なめらかなベースラインは艶っぽく、軽やかなギターにドラムと、“歌モノ”らしさが際立つのだ。

また、おどけるように高笑い、悪霊の恐怖を感じさせるようなデスボイス、悪だくみをするウィスパーボイス、美しい歌声と、巧みに変化するブキミのボーカルが、ストーリーテラーのように物語の深層に導いていく。

まさに“カーニバル”のような遊び心が施されたギミックに、ヴィジュアル系ならではの鋭利なロックミュージックやダークホラーな歌詞が混ざり合うことで、彼らの音楽には楽しみが詰まっている。

死のささやきと悪夢をハードなロックサウンドで刻む「とびおりくん」、ダークなバンド・アンサンブルにウィスパーボイスが妖艶な世界を描く「近所のあの子」と、濃密な3曲によるカーニバルは、ハイテンポかつヘヴィーに打ち込まれるバンド・アンサンブルと威圧するように響く歌声に追われて終焉を迎える。屋敷を逃げ出したように、聴き終わると途端に現実に戻ってくるような感覚だ。魅惑のダークファンタジーホラー体験に、心を奪われ、すべてを闇に包まれるようなあの歌が、あの音がもう一度聴きたくなる。そんな中毒性をも持っているのだ。そして何よりも、聴いている時はお化け屋敷同様、ホラー体験をしている時の“ワクワク感”が常に存在しているのだ。

これこそ、彼らが謳う“レトロホラーカーニバル”の真髄である。



8ヶ月連続会場限定音源発売企画に伴い、彼らは毎月新曲をリリースしている。

開場によって手に入る音源が異なるので、気になる方は全通してすべての音源を手に入れてはいかがだろうか?

年内はまだまだイベントが盛りだくさん。関東と関西で複数のライブに参加予定とのことだ。彼らの激動の一年は、まだ終わらない。ぜひともライブにて、真のカーニバルを体験してみてほしい。彼らの震えるほど怖く、美しい音楽に酔いしれろ。


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