VR技術が圧倒的なスピードで発展・普及したことで、バーチャルキャラクターの姿でリアルタイム配信や動画投稿を行う「VTuber」と呼ばれるジャンルのクリエイターが台頭した現在。自由な容姿を持つことができる彼らは、まるでアニメやゲームの世界から飛び出してきたような見た目で、大きな話題を集めてきた。そのバリエーションは王道のアイドルキャラからメカチックなボディ、けもの耳やしっぽ、さらにはモンスターや魔王など人間でないものまで様々だ。

爆発的な広がりを見せるVTuberの世界。その中でも特に異色の存在として、じわじわと注目を集めてきたVTuberがいる。それが、ルワンダからやってきたゴリラ系VTuber、名前はそのまま「バーチャルゴリラ」だ。




2018年1月から活動を始めた彼は、設定年齢3歳にして身長181cm、体重160kg、握力60kgと、まさにゴリラそのもののスペックを持っている。その見た目はどこか落書き感のある1枚絵で、首から上だけがグイングイン動き、ときには伸びるという独特のモーションで視聴者にインパクトを与えてきた。

そして、そんなバーチャルゴリラの最大の魅力が、圧倒的な「美声」だ。まるでベテランの男性声優のようにダンディで落ち着いたイケメンボイスが特徴の彼は、その声を活かしたトーク動画を中心に話題を集めてきた。

VTuberとしての動きは少な目のバーチャルゴリラだが、それを補ってあり余る渋い美声によって、深夜ラジオのような安心感のある笑いを視聴者に与えている。

さらに、その美声を存分に発揮した人気動画シリーズに、「ゴリラオンステージ」がある。最新のヒット曲やボカロ曲から懐かしの名曲までをバーチャルゴリラが歌い上げるこのシリーズは、甘く味わい深い彼の低音ボイスに酔いしれてしまうこと間違いなしだ。実際にいくつか聴いていこう。



●ゴリラオンステージ 「また逢う日まで/尾崎紀世彦」



「ゴリラオンステージ」のはじまりの一作となったのが、この動画だ。

ノスタルジックでエモーショナルなストーリーを描く尾崎紀世彦の名曲。そこにバーチャルゴリラの渋い声が絡んで、感動を生まないわけがない。

目を閉じてその歌声に酔いしれ、ふと顔を上げると画面には首を揺らすゴリラがいる。このシュールなステージには、一度見たら忘れられない衝撃があると言えるだろう。



●ゴリラオンステージ「ココロオドル/nobodyknows+」



バーチャルゴリラが歌うのは懐メロだけではない。最新のJ-POPまで、その美声で独自の世界観に落とし込んできた。この「ココロオドル/nobodyknows+」も、そんな彼のステージの代表作だ。

なんと全ボーカルパートを彼自身が務めたというこの動画。渋いダンディボイスだけでなく、ストレートな歌声から重厚なダミ声まで持ち合わせる歌唱力は、クセになる魅力と確かな安心感をもっている。


日々新たなクリエイターが参入している群雄割拠のバーチャルYouTuberワールド。その中を、バーチャルゴリラはパワフルに躍進し続けてきた。

2019年1月2日にNHKで放送されるVTuber初の音楽番組「NHKバーチャルのど自慢」にも出演している。VTuber事務所を自ら立ち上げる計画もあるということで、その活躍にますます期待が高まる。

今回の取材で、来年は歌うVTuberの音楽レーベル「VEEMusic」が本格始動ということですが、なぜ、事務所を立ち上げようと思ったのかという問いに対して、「バナナがもらえるから作ろうと思いました。」と、この上なくゴリラらしい回答をしてくれた。

その裏で「実は真面目に、VTuber界の音楽を盛り上げたいという思いがあるのはここだけの話です」というコメントがあったことは、彼の言う通りここだけの話にしよう。

今後盛り上がりを見せていくであろう「VTuber×音楽」というエンターテインメント。そこに濃すぎる個性と美しすぎる歌声を持つバーチャルゴリラがどう関わっていくのか、必見だ。まずは、彼のYouTubeチャンネルと、「NHKバーチャルのど自慢」の放送をチェックしていこう。


【公式YouTubeチャンネル】https://www.youtube.com/channel/UC2hA-6M66dE2Tt_4xM8K9wQ

【Twitter】https://twitter.com/gorilla_virtual