どっかその辺の空き地で1万人入る場所があるんだったら、別にそこでやったっていい
ーー謎が多いバンドだと思うのですが、例えば本来「スタッフ」である裏方のメンバーも、Xmas Elieenのメンバーの一員っていう定義付けした理由っていうのはありますか?
ボーカル右 まず全員昔からのツレなんですよね。MV撮ってるやつも、ジャケットやっているやつも。Xmas Elieenになる前も皆で音楽をやっていたんですよ。僕が中心のバンドと僕が中心のヒップホップユニットがあって、みんなで仲良くやっていて。その時にも、MV撮るやつがいて、デザインするやつがいて、ローディーの女の子もいて、皆でチームとしてずっと動いていたんです。それがXmas Elieenになった時に何人かずつやっぱり辞めていって。で、最後に「まだ俺と音楽したいやつは集まれ」ってメール飛ばしたんです。集まって残ったのが今のメンバーだったんですね。その時点ではどんな音楽をやるかとかも全く決まってなかったです。
ーー最初の時点では楽曲の方向性も決まってはなく?
ボーカル右 はい。「ラップユニットとバンドが残る、裏方陣も残る、じゃあ残った皆で何か一個のことをしよう」っていう感じで。それがXmas Elieenだったんです。僕たちの中では裏方も含めてXmas Elieenって言っているのは、そこで「頑張ろう」って言った奴らがこの皆だったので、メンバーとか裏方の人とかっていう分け方がないというか。
ーーなるほど。「この音楽をやりたい」と言うより、「このメンバーで何かをやりたい」ということで集まったのがXmas Eileenであると。
ボーカル右 そうです、そうです。例えばMV撮ってるテラってやつがいるんですけど、そいつの方がメンバーの年下組よりも先輩なので、メンバーより立場が強い!みたいな(笑)。
ーーそうなんですね(笑)。
ボーカル右 そうなんですよ。荷物運ばされたりとかしてますからね(笑)。
ーー仮面を被っているのも特徴的だと思うんですけど、そこへのストーリーはありますか?
ボーカル右 このバンドを始める前に、僕はいろんな著名な方たちとコラボとかもしていたので、そういうのを使いたくなかったんです。だから、元々あのバンドのメンバーだった誰々がやっているっていうのを言われないために仮面をした感じですね。
ーーなるほど。例えば、昔コラボしたアーティストからはあれ?って反応になりました?
ボーカル右 あ、でも初めはほんとに誰にも言わなかったんですよ。友達とかにも。
ーーご家族にもですか?
ボーカル右 あ、家族には言っていましたね。友達にも言ってなかったせいで、初めのライブお客さん5人ぐらいでした。
ーー5人ですか? 今では考えられないですね。
ボーカル右 たぶんそれまでの持ってたキャリアを明かしてたら最初から100人、200人くらい来たのかもしれないですけど。「それはちょっと違うな」っていうのがあったので。とにかくゼロから出発したかったんです。
ーーなるほど。よく、元何々のバンドが解散してそのメンバーがやってる、というのはよくあるかと思うのですが。
ボーカル右 そうそう。あれが本当にいやだったんですよ。
ーー今後ファンの方に対して仮面を外すタイミングって予定されてます?
ボーカル右 その予定はないんですけど、出待ちとかあるじゃないですか。出待ちして待ってくれてる方とかの前では仮面外して出て行ってますね。
ーー普段ファンの方との距離感はどんな感じなんですか? 出待ちだったり。結構近いですか?
ボーカル右 いや、もちろんある程度の、時間が許す限りとかは対応させてもらうんですけど、フロアの方に自分たちが行ったりすることはもうないですね。でも、ライブハウスの前で待ってくれてる人を無下にすることはないですけど。
ーーなるほど。メンバーの皆さんはそれぞれ好きな音楽性が異なるとお伺いしたんですけど、活動する上でいい影響として出ている部分ってありますか?
ボーカル右 やっぱり面白い曲になっていくっていうのは一番にあると思いますね。なんか、こういう楽曲だからこういうことをしてはいけないとかそういうのがないので。自然に好きなようにやっていってもどこかである程度の筋ができてくるので。それで結構バンドの統一性みたいなものは保たれているのかなと思うんですけど。基本は本当に自由にやっているので。
ーーボーカル右さんはどういった音楽がもともと好きだったんですか?
ボーカル右 僕ね、もちろん海外の激しい音楽とかもやっぱり大好きで洋楽ももちろん聞くんですけど、基本的には誰っていうよりかはものすごくメッセージ性のある楽曲がすごく好きで。メッセージとメロディが綺麗な楽曲がすごく大好きですね、基本的には。
ーーじゃあこのバンドとかこのアーティストとかではなくて?
ボーカル右 あんまりなんかこのバンドを熱中して追いかけたとかはないんですよね。例えば、イルカさんの「なごり雪」とかも大好きなんで、松田聖子さんの歌とかね。そういうのも普通に聞きますよ。綺麗な曲であれば。メッセージと歌詞が。
ーーそうなんですね。ジャンル問わず?
ボーカル右 そうですね。
ーー普段の楽曲の制作とかはどういう感じで行ってるんですか?
ボーカル右 うちはね、すごく作り方が面白いバンドで、いろんな方向から作っていくんですよね。僕以外にあと2人作曲してくれてるやつがいて。
ーーステージメンバーですか?
ボーカル右 じゃないとこですね。ライブメンバーとは別にいる作曲チームです。その作曲チームは僕とあと2人いるんで、その3人で担当しています。2人が素材としてワンフレーズくらい作っている素材を、この素材いいですね、みたいな感じだったら、これにもう一人のボーカル呼んでちょっと歌乗っけてみて、みたいな。
ーーその場でですか? メロディとかは考えてあるんですか?
ボーカル右 考えてなくて、その場でちょっと適当に歌ってみて、みたいな。躍動感がある感じのものにしたかったら、もう一人のボーカルを呼んで適当に歌わせたら結構かっこいいメロディと言うかフローになったりするので、あ、それいいじゃん、ってなる時と。でもやっぱり一番多いのは、僕がサビのメロディとか歌詞を作ったり、曲をギターのコードとかピアノコード弾きだけで、簡単な状態で最後まで作ったものをその2人にお任せしますっていう感じで渡す時とか。いろんな角度で作りますね。一方通行な作り方じゃなくて、いろんな角度から出来上がっていきますね。
ーー基本的にはその3人で作りつつ、もう一人のボーカルの方も?
ボーカル右 そうですね。
ーーそれ以外の方は演奏メインですか?
ボーカル右 で、基盤ができてくると、もちろん各自、自分たちのパートのもの、ギターならギターとかドラムならドラムを作っていくのは抜群にかっこいいので。
ーーじゃあそういった自分のところのアレンジとかは?
ボーカル右 それはやっぱりすごい ライブメンバーの皆もめちゃくちゃかっこいいので。ギターソロとかね、すごいかっこいいの作ってきますよ。
ーー最後に今後のバンドとしての目標っていうのはありますか?
ボーカル右 いつもよくメンバーと言っているのは、1万人入るのだったら武道館でも駐車場でも、どこでもいいと思っているんですよね、僕は。どっかその辺の空き地で1万人入る場所があるんだったら、そこで別にやったっていいって思っていて。
ーー同じ1万人なら?
ボーカル右 そうです。別にどっかの場所とかを神聖化していることもなく、でもじゃあ音源とかも何万枚売りたいとかそんなのはなくて。ただこのバンドは始まったことだから、いつか終わりは必ずくるんですよね。どういう形であろうが。誰かが死んだりするかもしれないし。辞めることはうちの場合は絶対にないって確信があるので、誰かメンバーが抜けるっていうのはないって言えるんですけど。まあどんな事情がそれぞれにあるかわからないので。絶対いつか終わるでしょうっていうのがあるから、バンドとしての目標はそれが1日でも遠くになるようにっていう。わかります?
ーー終わりが遠くになるように?
ボーカル右 そうです。それがやっぱり一番の目標で、そうするために武道館埋めないと続けられないなら、埋めるしかないよなっていう感じですよね。考え方としては。
ーーなるほど、わかりました。ありがとうございました!
ボーカル右 ありがとうございます。
インタビュー・文 徳田菜摘(muevo)
Xmas Eileen
クリスマスの夜、強い意志の元に集まったメンバーでバンド結成。 個々の音楽性をぶつけ合うのではなく、皆が楽しめる音楽を追求していく中で、ラウド、メタル、ヒップホップ、レゲエ、EDM、ドラムンベースなど、様々なジャンルが混ざり合った結果現在の形のバンドが出来上がった。 ステージメンバーは6人(ベースはサポート)で、他にMV、グラフィックデザイン、トラックなど、全て自分達のチームで制作し、ステージメンバー6人だけがメンバーではなく、裏方メンバーも含めたクリエイター集団として2014年より楽曲制作を開始し、同年4月にライブデビューを果たす。 バンドメンバーの名前もチームの人数も明かされていない謎の集団として活動している。
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