上手くいかない人生でも、こんな音楽があればなんとか生きていけそうな気がする。そんな思いを抱かせてくれるバンド、みずすまし。
2011年に結成されたロックバンドみずすましは、“青春の挫折”を臆面もなく歌う“私小説派”ロックバンドという触れ込みだ。それだけ聞くと聞いているだけで暗い気持ちになってしまいそうな音楽を想像するものだが、みずすましの音楽は極めてエネルギッシュで生命力に満ちている。だから同じような境遇の人間が聴くと、ぐっと前向きに生きる力をチャージしてもらえるのだ。
音楽的には、ディストーションの効いたギターを激しくかき鳴らし、魂からそのまま絞り出しているかのような声でポップなメロディーを歌いあげるのが基本スタイルだといえるだろう。そんな音楽性だから、ライブパフォーマンスも破天荒。そのライブパフォーマンスが目に留まり、2013年6月には1stアルバム「吉祥寺の空」でインディーズデビューを果たした。その後2015年には2ndアルバム「無名時代」をリリース。
2014年から2017年までは4年連続で「りんご音楽祭」にも出演。同フェスにはOGRE YOU ASSHOLEやトクマルシューゴなどといったそうそうたる顔ぶれがラインナップに名を連ねている。そんな事実からもみずすましは、実力的にはまず間違いないバンドだといえるだろう。


・みずすまし – 人生劇場 

2020年2月12日に発売される3rdアルバム「人生劇場」に収録されている表題曲。

テーマとなっているのは何気ない日常のひとこまを切り取った「喪失」と「再生」。「就職・結婚・出産と命を巡らせる人生に憧れがないわけではないが、普通には生きられない。」そんなふうに夢に生きる人物の人生をそのまま歌にしているような楽曲だ。

例によってハードに歪んだギターが全体を装飾するようなサウンドで奏でられているが、テンポは決してアップテンポではない。ミドルテンポでメロディックにそんな人生を歌うから、余計になんとも言えないセンチメンタル感を強く抱かせるのだ。


・みずすまし – 鈍行列車 

今のメンバー構成となってからの初めて制作されたMV。楽曲のテーマとなっているのは、絶望的な闇の中で一筋の光に手を伸ばす情景。

「散らかりまくった部屋 カップヌードルをすする」という冒頭の歌詞は、まさに闇だ。そのまま闇に取り込まれた内容で進むのではなく、サビでは「あぁ今夜探しにいこう 夜が明ける瞬間を」と前向きで明るい歌詞となる。そんな明るいサビに合わせてサウンドの音圧も音数も増し、ぐっと全体を盛り上げる。

何もない夜でも、何かが起こりそうな夜に感じてしまうほど、エネルギーに満ちた一曲だ。


・みずすまし – 涙のハイボール 

みずすましの一番の代表曲で、今でもライブでは欠かせないというこの曲。2013年に発売の1stアルバム「吉祥寺の空」の後に発表された楽曲で、2ndアルバム「無名時代」に収録されている。

今よりもさらに荒々しい、まさに初期騒動とでもいうべき勢いを感じるサウンド感だが、メロディーセンスは今の楽曲にも負けず劣らず。特にコーラスが入る部分のメロディーはシンガロングで、ライブ映え間違いなし。

歌われている世界観も、「くだらない僕の日常を笑ってくれ」と悲哀を感じる内容で、とびきりエモーショナルだ。

1stアルバム発売のきっかけとなるなど、ライブパフォーマンスに定評がある彼ら。2020年も精力的にライブ活動を行っていく。特に2月の3rdアルバム発売以降は、アルバムを引っさげて東京、長野、名古屋、大阪を回る全国ツアーも行われる。

彼らの音楽は、直接体感した時にその魅力を何倍にも跳ね上げるものだ。直接堪能する機会を逃す手はないだろう。



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