エソラビト　暖かい歌声で聴く人の心も温めるシンガーソングライター

神奈川県出身のシンガーソングライター、菜々子。そんな彼女の一人ユニットが、エソラビトだ。

活動のスタートは2011年6月。元々はボーカル「菜々子」にギターとサックスを加えた3名体制で活動していた。後にメンバーが音楽事務所を設立し、その運営に専念するため脱退。以降は「エソラビト」の名義を引き継ぎ、菜々子のソロユニットとして活動を続けている。

エソラビトとしての活動のきっかけになったのは、2011年3月の東日本大震災だった。被災に遭われた南三陸町立戸倉小学校に楽器を寄付する為に、1st CD「ユーカリプタス」を“30日間で1,000枚届ける”という全国路上ライブを行い、その売り上げで無事に楽器を寄付するに至った。枚数自体は976枚とギリギリ目標には届かなかったが、目的はしっかりと果たすことに成功。

同年11月には2nd CDとなる「空へ」をリリース。再度“30日間で1,000枚届ける”というチャレンジに挑戦し、無事に1,000枚を達成。以降もリリースやライブ活動を精力的に行っている。

エソラビトの特徴は、何よりその暖かな歌声に見られる。鋭利でソリッドな歌声というよりも、丸みを帯びた歌声で心に優しい音楽を奏でているアーティストだ。

・空へ –　戸倉小学校×エソラビト- 2011.11.22@戸倉小学校(旧善王寺小学校)校庭

全国の路上で演奏しながら、たくさんの人の東北への想いに触れることで生まれたエソラビトの代表曲。東北とエソラビト、そして多くのリスナーの縁を深めるきっかけとなった、いわばターニングポイント的な楽曲といえる。2011年当時の戸倉小学校の生徒たちと共にレコーディングを行い、CD化を果たした記念的な作品だ。

子供たちは無垢な歌声で≪寂しいよ/触れたいよ/毎日君を想ってるよ≫≪ありがとう/君に届くように空へ≫と歌う。まさに震災直後の状況とリンクするところもあるのだろうが、それでもその歌声には悲しさや辛さではなく、明るさや楽しさ、希望が込められているように聞こえてくる。楽曲の持つメロディーの暖かさやエソラビトが鳴らす音の暖かさが、楽曲を前向きなムードにしているということもあるだろう。さらにそんな前向きな音楽と、子どもたちの無邪気な希望や心が結びつき、全体的に希望に満ちた雰囲気を強くしているのだ。

音楽も映像も含めて、実に心が暖かくなるものだといえる。

・エソラビト – spiral

2019年2月11日に溝ノ口劇場で行われたバースデーワンマンライブから、当時の新曲「spiral」の模様だ。

バンドサウンドで作られているこの楽曲は、高い疾走感が特徴的。またノリやすいサビも印象的で、年齢関係なくライブで盛り上がる曲となっている。実際このライブにおいても、サビでタオルを振り回しながら盛り上がる様子が確認できる。こういった曲がある、歌えるというのもエソラビトの強みの一つだろう。

タオルを振り回しながらでも綺麗なファルセットを披露し、音程が乱れていない点にも注目だ。

・エソラビト – あなたの大切な人へ〜花だより〜

「NHKみんなのうた」で流れてきそうな牧歌的な雰囲気を持った楽曲。メロディーはもちろんのこと、序盤の跳ねるようなピアノの音や弦楽器のサウンドがそんなムードをより強くしている。

そんな牧歌的な雰囲気に仕上がるのも納得な話で、この楽曲は横浜市磯子区杉田にある花屋「フローリスト花だより」のテーマソングとして作成された楽曲だという。フローリスト花だよりもまた、この楽曲のような牧歌的な雰囲気の花屋さんだ。実際に見てみると、楽曲の持つ雰囲気とお店の雰囲気が抜群にマッチしていることが分かるだろう。

この楽曲が収録されているCD「杉田のうた」にはほかに、40年以上続くジーパン屋「ジーパンのトップ」のテーマソングも収録されている。そんな地域密着な活動をするのも、エソラビトの魅力の一つだろう。

「今年はエソラビトという活動を通して、いろんな人とコラボレーションをしたり、楽曲提供をしたり、発信の部分で力を入れていきたい。」と語る彼女。これまで以上にリリース活動やライブ活動などで、彼女の音楽に触れる機会も増えていくだろう。

TwitterやFacebook、ブログなどで活動をしっかりと追いかけ、上質な音楽に触れ、暖かい気持ちになってみてはいかがだろうか。

【リリース情報】

コンセプトアルバム『In & Out』2枚同時リリース！