東京音楽大学作曲指揮科出身の作編曲家・鍵盤奏者、和田佳丈。
2020年春に大学を卒業したばかりの新星でありながらも、オーケストラからブラックミュージックの要素を感じる楽曲、そしてジャジーな楽曲にキャッチーな歌ものと作風の幅はとにかく広い。
在学中の2019年11月には自身初となるリーダーアルバム「Song Without Words」をリリース。完全生演奏に拘ったというインストゥルメンタル楽曲が6曲収録されているこのアルバムは、物販やSNSにて発売中。
ただの作編曲家や鍵盤奏者ではなく、「映像と演出と音楽を全てお届けできるような総合演出を目指していきたい」という彼。細部までのこだわりが感じられる緻密な音楽を奏でているだけに、映像や演出も含めて質の高いものを提供してくれる可能性は高いだろう。
これからの活動にますます期待が高まる存在だ。
・和田佳丈 – Jammingroove
自身曰く「the smooth jassの楽曲になっており、アップなチューンに仕上がっている」というこの楽曲。初めてのリーダーアルバム「Song Without Words」に収録されている。
その言葉通り、聴き心地抜群のスムースなジャズナンバーで、その中にどこかファンクな要素が感じられるのが特徴。まるで歌っているかのようなメロディックなフレーズも多く、それが心を鼓舞し、気分を持ち上げてくれる。
ピアノとギターが絡み合うような、せめぎ合うような展開も面白く、最後まで楽しんで聴けるだろう。「一番推したい楽曲です」と自身が語るのも納得の1曲。
・和田佳丈 – BELIEVE
第55回東京音楽大学芸術祭公式テーマソングとなっている1曲。王道ポップロックといったサウンドに仕上がっている。
ハード目に歪んだギターの音色や歌を強調するようなバッキング、そして耳なじみ抜群で歌いたくなるようなキャッチーなメロディーなど、どこをとっても多くの人が好きだと思うはずのサウンドだ。それでいて楽曲を装飾する電子音など、随所に独特さも感じられ、センスの良さが感じられる。
作曲だけではなく作詞も担当しており、≪道なき道を歩いてゆこう/心叫ぶ方へずっと≫と綴る歌詞には、輝かしい未来へと続く希望に満ちた雰囲気がある。それはまさに、学祭を迎える学生の気持ちの代弁のようで、青春の匂いがたっぷり。
・「エオリアの冒険 2」-受け継がれし旋律-
「ポピュラーオーケストラプロジェクト」を掲げるクリエイター集団CROSSOVERの自主企画として2018年にスタートした「エオリアの冒険」。
映像からも分かるように、スクリーン上に仮想RPGのイラスト等を映し、それに合わせたオリジナルのサウンドトラックを演奏するコンサートで、和田は10分30秒から始まる「2章:戦士ドリア」の3曲及び14分34秒から始まる「3章:元戦士エオリア」の3曲の作曲と、全体の脚本を担当している。
真っすぐで力強い雰囲気の「ドリアのテーマ−黄耀の閃光−」、新しいステージへと進んでいく気配・勇気が伝わる「新世界へ」、もの悲しい音色で不穏なムードを放つ「銃声」。
まさしく戦いの“火蓋”が切って落とされるのだという熱い空気のある「火蓋」、戦闘シーンが目の前に浮かぶような激しくもメロディックな「紅焔の剣」、不気味でそわそわしてくる「忍び寄る影」と、それぞれがストーリーと完璧にリンクした楽曲で、聴いていると頭の中に絵が浮かんでくる。自分のクリエイティビティまで高めてくれそうだと感じられる楽曲、そしてコンサートだ。
大学を卒業した今、ますます彼の音楽に触れる機会は増えていくだろう。実際「作品提供の場をたくさん作っていきたい」という言葉ももらっているから、楽しみだ。
また、楽曲制作や編曲。さらにはライブへの出演だけではなく、レコーディングや作編曲・DTM・ピアノ・ミックスなどのレッスンも行っているというので、そういった活動に興味があれば、一度SNSで問い合わせてみると良いだろう。
【Twitter】https://twitter.com/Wada_Yoshitake?s=20
【Instagram】https://www.instagram.com/ystk_wd/
【リリース情報】
「Song Without Words」=「無言歌」のタイトルを象徴するJazzyでFunkyに歌い上げるピアノと、完全生演奏に拘ったインストゥルメンタル曲全6曲を収録。
現在物販にて好評発売中。
「Song Without Words」YSTK-001 ¥2,500(税込)-
1.Anthem Of Light
2.Jammingroove
3.City Rhythm
4.Violence Blue
5.Lazy Smoking
6.Spirits!