神奈川県は横浜生まれのシンガーソングライター、木下直子。

12歳の頃から楽曲制作を始め、14歳で弾き語りライブをスタートさせると、これまでに渋谷Mt.RAINIER HALLや渋谷QUATTRO、赤坂BLITZなど大きな会場でのワンマンライブを定期的に開催してきた。そのたびに自身の動員記録を更新することから、ライブパフォーマンスの高さが評価されていることが分かる。
もちろんパフォーマンスに優れているのはライブだけではなく、音源でもパワフルで芯に響く歌声を聞かせている。また楽曲の幅の広さにも定評があり、ポップで耳なじみの良い楽曲や牧歌的でレトロなムードの楽曲、ノスタルジックなサウンドが胸を締め付ける楽曲など様々な楽曲を持つ。「小説や絵本などの物語を読むのが好きで、実際にある物語や自分で創作した物語を音楽にしたりもする」という、映像が浮かぶ歌詞も魅力の一つだ。
そんな風に色々な角度で評価されながら活動を続け、来年2021年には記念すべき活動25周年を迎える。今、改めて注目しておきたいシンガーソングライターだ。




・木下直子「あたたかな食卓」MV 




2015年4月26日にリリースされたアルバム「太陽に届く場所」に収録されている楽曲「あたたかな食卓」。 

そのタイトルからもイメージできる通り、この楽曲で歌われているのは家族の食卓の風景。母の止まらない話に、家族でただ相槌を打つ。それがいかに幸せな時間かを思い出させてくれる世界観となっている。
ある日、父のアルツハイマーをきっかけに大切なものは永遠ではないことを知る。
けれど、それを後ろ向きと捉えるわけではなく、受け入れ、改めて家族を大事にしようと願う。
ピアノを基調とした穏やかなサウンド、そして優しくて暖かい木下の歌声によって、そんな愛しい世界観はさらに彩度を増す。
ここにあるのはまさに、きっと多くの人が自分に当てはめられるような「あたたかな食卓」そのもの。思わず家族に電話したくなるような1曲だ。




・木下直子『硝子細工』PV




2004年にリリースされた1stアルバム「硝子細工」。そんな記念すべきアルバムのタイトルトラックとなっているのがこの楽曲だ。 

≪どこまでいけど争いや戦いは止まずに目を覆うようなことばかり≫≪空からこぼれる神さまの涙 見て見ぬふりだけ上手になっていく≫と歌う歌詞の世界観と、切なくて張り裂けそうな感情たっぷりの歌唱が印象的。
小さなところから大きなところまで、今の時代はまさに争いや戦いが止まずに、目を覆いたくなるようなことで溢れている。そんな今の時代だからこそ、より多くの人がこの楽曲に触れて、今一度自分の心を見直してほしい。そんな風に思ってしまうほど、今の時代とリンクした楽曲となっている。
実際に多くの人の心を動かせるだけの力が、この楽曲にはあるだろう。




・雨風と太陽

 

2018年ごろにのどの病気を患い、「その時期の声を残すことができないと考えていた」という彼女。しかし歌い方を変えるなど、自分の中で試行錯誤をしてようやく「この声であれば新しく声を残したい」という思いに至った。その後、発表した楽曲が「雨風と太陽」だ。
たしかにどこか声質は変化している印象は受けるが、芯にある力強さや透明度の高い高音には変わりはない。そして感情が伝わる表現力の高さも変わらずだ。聴く側としては、より様々な声質を楽しめるように感じられ、むしろパワーアップした気すらするといえるだろう。
サウンドは特に力強いサウンドで、≪傷跡も夢もまるっとひっくるめて僕なんだ≫≪未完成な僕なんだ≫≪遅すぎることなどない≫≪ひるむなよ≫と言葉にも力が宿る。聞いているときっと自分を卑下する気持ちが収まり、前を向いて強く生きるための力をもらえるはずだ。



25周年を迎える来年には、「2016年の赤坂BLITZのような大きな会場で沢山の人と同じ時間を過ごせるようなワンマンライブを開催したいと考えている」という。 

どんどん進化して、心と共鳴する音楽を届け続けている彼女の音楽は、やはり生で聴くとさらに浸透していく。是非そんなワンマンライブを楽しみにしながら、彼女の音楽を掘っていってもらいたい。




【HP】 

http://kinoshitanaoko.com/


【Twitter】

https://twitter.com/kinonao?s=20