クラシックギタリスト、村治奏一。
1982年、東京都生まれ。幼少よりギタリストの父・村治昇の手ほどきを受け、
福田進一、鈴木大介の両氏に師事。
1997年『クラシカル・ギター・コンクール』
’98年『第41回東京国際ギター・コンクール』
他数多くのコンクールで優勝。
’99年ボストンに留学。2003年ウォールナット・ヒル・スクールを首席で卒業後、
ニューヨークのマンハッタン音楽院に進学。
’06年にはワシントン、ケネディ・センターにて米国でのリサイタルを果たす。
バッハから映画音楽までこれまでに10枚以上のソロ・アルバムを発表。
近年はインターネット配信アルバム『TONES 2019』のYouTube・Apple Musicなどでの公開ほか、
缶バッチ型音楽プレイヤー“PLAY BUTTON”によるアルバムリリースや、
クラウド・ファンディングによるアルバム製作など、意欲的なリリースを続けている。
その実力への評価は高く、’08年モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団の
世界ツアーにソリストとして抜擢。
’12年には『トヨタ・クラシックス・アジアツアー』のソリストに抜擢され、
ウィーン室内管弦楽団と共演。
そのほか、NHK交響楽団、読売日響、東京都響、東京フィル、
日本フィルなど国内外を問わずに様々なオーケストラと共演。
NHK『トップランナー』、『スタジオパーク』、
TV朝日系『題名のない音楽会』、『徹子の部屋』と、メディアにも多数出演。
さらに、NHK-BS『街道てくてく旅~熊野古道をゆく~』のテーマ曲の作曲・演奏など多彩に活躍している。
2019年冬からは東京の下町、浅草橋・蔵前エリアにあるアートギャラリーにおいて
クラシックギターライブ『TONES Live』をスタート。季節ごとに異なるプログラムにて、
毎月ソロリサイタルを開催するというその試みが注目を集めている。
・《シャコンヌ / Chaconne》作曲:ヨハン・セバスチャン・バッハ
元々はバイオリンのために書かれた曲『シャコンヌ / Chaconne』を、
クラシックギター1本で演奏する。
「ライブでは定番の楽曲」だという1曲だ。
バイオリンの美しくもどこか感情的な響きで描かれるのとは少し異なり、
このバージョンではより柔らかい質感で、そしてより広がりを持った音世界で楽曲を届けている。
それによって、また異なる雰囲気で聴くことが出来るようになっているといえるだろう。
当然といえば当然かもしれないが、運指の美しさもポイントだ。
スピーディーで難解に見えるフレーズであっても、右手も左手も無駄のない美しい運びをし、
美しい音を奏でている。広がりある音世界にどっぷりと没入させられるだけではなく、
その美しい指の運びにもどっぷりと引き込まれる演奏だ。
・《チャンス・モンスーン / Chance Monsoon》作曲:藤倉大
作曲家・藤倉大が2017年にリリースしたアルバム『Chance Monsoon』。
その1曲目に収録されているタイトルトラックで、村治奏一のために捧げられた楽曲がこの楽曲。
フラメンコギターで多く用いられる『ラスゲアード奏法』や、
『アルハンブラの思い出』などの楽曲でお馴染みの『トレモロ奏法』といった、
伝統的な技術を用いて演奏されている1曲で、音楽的に楽しむだけではなく、
技術的な楽しみ方が出来るというのもこの楽曲の一つの特徴だろう。
もちろん音楽的にも、冒頭の圧倒される音の厚みから、
ハーモニクスも織り交ぜ独特な響きを奏でる中盤、
そしてスピーディーな右手から奏でられる音の粒に引き込まれる後半と、
聴き応え抜群。その音の響きに、深遠な精神世界に誘われる。
・TONES Live ダイジェスト 2020.3.8
まずはマヌエル・ポンセの『エストレリータ』。
歌心のあるメロディーラインが耳に残る美しい1曲を、優しく心地よいサウンドで描き切る。
そして誰もが一度は耳にしたことがあるであろう≪she/シャルル・アズナブール≫を優しく、
しかしどこか深みをもって演奏。
ボサノバ音楽が使われている映画『黒いオルフェ』でお馴染みの楽曲『Felicidade』は、
クラシックギターのテクニックを用いて情熱的に届ける。
そのほか映画『ひまわり』より『ひまわりのテーマ』、
映画ディア・ハンターより『カヴァティーナ』など、心に沁みるサウンドを披露。
ダイジェスト版といいながら、実に贅沢な時間を過ごせる映像となっている。
「去年はコロナウイルスの影響によりまとまった時間ができた。
その中で新しい取り組みとしてYouTubeにもあげた、
リモートでマスタリングまで行ったコラボ楽曲ができた」と、
昨年の活動を振り返る彼。他にも多重録音にも挑戦するなど、チャレンジングな1年となった。
この2021年の活動については「これまでクラシックギターはコンサートホール演奏が多かったが、
サロン空間などの小規模スペースで弾く機会を新たにいただき、
今後はより身近な存在としてクラシックギターを広めていきたい。
もっと気軽に聴いて欲しい。また、クラシックギターの演奏の仕方、暗譜のノウハウなどを動画で公開し、
これからギタリストとして活動していく人や趣味で始める人のための
コンテンツを増やしていきたい」と話してくれた。
その音楽に触れたいという人は勿論のこと、
クラシックギターの演奏に興味があるという人も、
今後の彼の活動には要注目だ。
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