誰かの役に立って、その人たちの心を動かせるような存在になりたい
仮想現実ライブ空間SHOWROOMにてmuevoが主催したイベント「Music Evolution!ライバルに差をつけろ!」とにて2位を獲得したシンガー三浦甲太郎に今回のイベントの振り返りや、音楽に辿り着くまでのストーリー、音楽への想いを語ってもらった。そしてそれらを通して彼の人柄に迫ってみた。「甲子園の甲」の字を書く彼の名は、父が元甲子園球児であるいうことにちなみ、「たとえ甲子園ではなくても自分らしいフィールドで活躍してほしい」という母の願いが由来になっているのだという。その名に相応しく彼はシンガーとして音楽を始めるまで、長らく野球一筋に青春を捧げてきた甲子園球児だった。そんな彼が、なぜ今「歌う」という選択をしてステージに立ち続けるのか。そこには常に直球勝負を挑む彼らしい想いと、自分自身との葛藤、そして聞いてくれるファンへのメッセージがあった。
――現在は事務所に所属して活動しているそうですが、音楽を始めたのはどういったきっかけだったんですか。
三浦甲太郎(以下、三浦) 実は、事務所に所属してからちゃんと音楽活動を始めたんです。なのでこれが一番大きなきっかけですね。今の事務所の存在を知って、最初は「試しに……」と思ってオーディションを受けたら合格させていただいて、ここまで来ました。それまではボイストレーニングやレッスンも特別に受けたことがなくて、本当に自分のやりたいように独学でやっていて、「音楽がしたい」という漠然とした想いをずっと持っていました。
――オーディションを受ける前は何もしていなかったんですか。例えば路上ライブとか。
三浦 いえ、まったく(笑)。ちゃんと人前のステージで歌うというのも、恐らく事務所に入ってからのライブが初めてです。なので事務所に所属するのと同時にSHOWROOMも始めたんです。
――では、オーディションのためにはかなり特訓したんじゃないですか。
三浦 そうですね。練習はやってたんですけど、いざその場(オーディション会場)に立ったら思うようにできなくて、ディレクターの方に「本当はダメなんだけど、もう一回チャンスをあげる」って言ってもらえたんです。どうやら僕の気持ちは伝わっていたらしく、一週間後くらいにもう一度オーディションを受けて、合格させて頂きました。なので自分1人の力というより、本当に周りのおかげというか、周りに支えられて今ここに居られるんだなっていうのを強く感じています。
――そうなんですね。では現在は所属事務所のライブ以外にはどういった活動をしているんですか?
三浦 今は、ライブとSHOWROOMが中心ですね。個人的にはやっぱり路上(ライブ)とかやりたいなって思っているんですけど、楽器が弾けないのと、まだ僕学生なので路上での演奏機材とかを揃える資金が無くて...(泣)なのでSHOWROOMでのライブ配信が一番多いですね。これから夏休みなので事務所じゃないところが主催しているライブにも積極的に出ようかなって思ってます。どんどんチャレンジしていけたらなっていうのは思っていますね。
――ライブでは主にシンガーとして様々なアーティストの曲をカバーすることが多いそうですね。
三浦 基本的にはそうなんですけど、事務所のオーディションに合格すれば一曲オリジナル楽曲をもらえることになっていたので、今はそれを製作してレコーディングが済んだところです。夏頃には事務所のコンピレーションアルバムになるんですけど、それをリリースさせていただく予定です。
――オリジナルも出るんですね。それは楽しみです。……あれ、今おいくつなんでしたっけ(笑)。
三浦 (2016年の)5月で20歳になりました。
――大学は何年生ですか。
三浦 大学二年生です。
――つい最近まで10代だったんですね。
三浦 そうですね、つい数カ月前まで(笑)
――すごくしっかりしていたので、全然わかりませんでした。
三浦 そうなんです...よく言われます、嬉しいですけど(笑)僕、長男に生まれたのでしっかりしなきゃいけないっていう思いが昔からすごく強かったんです。野球部では副キャプテン、学校では学級委員などリーダー役をやらせてもらうことが多くて、今の僕の(アーティストとしての)キャラクターにそういうことが影響しているのかもしれないんですけど、音楽を始めてみて自分のそんな「堅いところ」を一番変えたいなって思ってます。
――それはなぜですか。
三浦 憧れの人がT.M.Revolution西川さんなんです。砕けたトークもできるし、すごく自分に無い物を持っていらっしゃるっていうところに惹かれてます。SHOWROOMで配信していると少しずつ(リスナーと)コミュニケーションが取れるようになりました。やっと僕も(砕けたコミュニケーションにも)慣れてきたってところですかね。もちろん真面目で堅い印象の自分を好きになってくれる方もいらっしゃるんですけど、自分としてはもう一皮、二皮剥けたいなあと思ってます。
――そうですよね、エンターテイナーって真面目にやる一方でどこかで砕けたり、おちゃらけたりする場面も必要ですもんね。
三浦 そうですね、真面目すぎて、考えすぎて、結局悪いイメージに走ってしまって、全然踏み出せない...なんてことが多くて、音楽活動を始めるのも、そんな自分の性格もあって、思い立ってからはだいぶ遅れてしまいました。本当だったら、大学に入学した時にはすぐ始めたかったんです。今思うともう少し早く始められればよかったなって思いますね。もちろん悩んでた時間も無駄ではないですけど、振り返るともじもじと心配しているほど怖いことじゃなかったなって思います。これからは恐れずにチャレンジして、そこで失敗してもマイナスに捉えるんじゃなくて経験として次の活動に活かしていけたらなって思ってます。
――なるほど。実際に何かいま挑戦していることってあるんですか。
三浦 やっぱり視野を広げて、自分自身も変化に対応していくってことですかね。歌が上手い人って、本当にたくさんいらっしゃるじゃないですか。テレビとかを見ていても。歌手でやっている以上はもちろん歌で一目置かれたいという想いはあるんですけど、野球を長年やっているせいか、野球の考え方ばっかりなんですが(笑)、高校時代はホームランバッターとして活躍している選手もプロの世界のステージに立ったら小技で攻める役回りをしなきゃならなかったり、環境が変わると自分自身も変わらなきゃいけないなっていうのは、すごく最近感じているんです。なので今は「何で自分は強みを持てるのか」っていうのを探すことに挑戦しています。毛嫌いしないで、縁のなさそうなことほど手を出してみたりとかしています。先日の話なんですけど、今ポケモンGOがすごく流行っているじゃないですか(笑)僕、天邪鬼というかみんながやっていることはあんまりやりたくないっていう想いがすごく強いので今までの自分だったら絶対やらないと思うんですけど、「やってみたからこそ見える世界」とかあるだろうなって思って......やりましたね(笑)あとは音楽ってやっぱりみんなと共有するものだから、なにか共通のものを持っていると近くなれるのかなって思って(笑)
(左:野球少年だった当時の三浦)
――野球にはだいぶ影響を受けているんですね。先ほど西川さんのお名前が上がりましたけど、他に影響を受けたアーティストはいますか?
三浦 高橋優さんとか槇原敬之さんとかですね。西川さんは音楽性だったり、声だったり、アーティストとしての世界観に憧れていて「華やかに魅せる」って意味ではすごく影響を受けてます。でも最近高橋さんや槇原さんの曲を聴いた時に「こういう風にメッセージ性で魅せる」っていう面もあっていいのかなってことをふと感じたんです。なので、理想としては音楽としてもカッコよくて、しかもメッセージもしっかり届けられるような...っていう風になりたいですね。本当の理想は万能ですけどね(笑)
――そりゃそうですね(笑)。自分で歌詞とかは書くんですか。
三浦 一応、今回の詞は自分で書きました。曲は提供して頂いたんですけど。
――なるほど、すごいですね。三浦さんのファンはどういった層の方が多いんですか。
三浦 幅広くどの世代にもいらっしゃる気がします。ただ、僕自身が90年代の曲が好きで、カバーしている曲が米米CLUBさんとか槇原敬之さんとかが多いのでそういったアーティストを聞いて来た世代のファンの方は多いかもしれません。最近やっとEXILEさんとか聞いてます(笑)なので若者から人気のアーティストより、少し前世代の音楽に惹かれることが多いので、それを自分なりに噛み砕いて表現しているっていうのが強いですね。SHOWROOMでもそういう曲を歌っていると、意外と自分とは世代が違う方とか男性の方とかも応援してくださったりとかします。同性の方のファンをつけるのは難しいってよく聞いてたので、あんまり(ファン層に)偏りがなく応援してもらえるっていうのは嬉しいなって思います。
――バランスよくいろんな世代に評価されるというのは強いですね。
三浦 そうですね、決して狙ったわけではないんですけど、素のままの自分でいたらそうやって評価してもらえたので、そこは変に自分のスタイルを変えたりしなくてもいいのかなって思ってます。
――なるほど。そうですよね。三浦さんの中で「変わりたい自分の部分」と「自分だから出せる魅力」というものがすごく客観的に分析されてるんですね。では、今後の夢を教えてもらえますか?
三浦 そうですね、ライブで言えば一番は武道館が目標です。自分でどうしても行きたいと思って買ったチケットが丁度武道館でのライブだったんです。それも西川さんのライブなんですけど(笑)すごく印象的だったのが、見に来ている全員が西川さんに釘付けで、お前の分際で何を言うって感じかもしれないんですけど(笑)、それを見た時に一瞬「悔しいな」って思ってしまったんです。感動と同時にすごく歯痒くなりました。
――理想(西川さん)と現実(自分)のギャップというか。
三浦 そうです、そうなんです。もちろん今やらせていただいているキャパ(収容人数)のライブでもありがたいことだし、毎回毎回緊張してるので、まだまだ自分にとっては先の目標なんですけど、でもやっぱり最初にあれ(西川さんの武道館のライブ)を見ちゃったら憧れますね。
――武道館は三浦さんにとってすごく特別な場所なんですね。では、今後音楽を通して伝えていきたいことはありますか。
三浦 そうですね、またまた野球をしていたときの話になってしまうんですが(笑)自分自身期待されることはすごく嬉しいし、応えたいって思うんですけど、そのプレッシャーに対する負荷をすごく感じてしまうんです。当時レギュラーで、「みんなに迷惑かけられない、ミスしちゃダメだ」っていうプレッシャーからボールがうまく投げられなくなってしまって...医学的にはイップスって呼ばれる症状らしくて、精神的なものなんですけど、体が完全に強張っちゃって動かなくなるんです。それでものすごく精神的にも辛かったんですけど、そんな時に支えてもらったのが音楽だったんです。同世代のアーティストの歌を聞くとやっぱり負けてらんないなって思うし、そうやって辛い時には音楽から元気や勇気をもらうことがすごく多くて、いつか自分も音楽を通じて誰かのプラスになりたいって思ってます。それがあって、自分の表現したいことも表現できたらいいなって思いますね。なので、伝えたいことというより、誰かの役に立って、その人たちの心を動かせるような存在になりたいです。
文・林佳奈(muevo)
三浦甲太郎
1996年5月19日生まれ。東京都出身。2016年1月より活動をスタート。SHOWROOMや自社LIVEをメインに活動中。オリジナル曲「unfair~天の匙~」を収録したオムニバスアルバムも絶賛発売中!夏に行われたSHOWROOMイベント、musicevolutionにて2位!渋谷ズンチャカ出演権(野外フェス)にて1位を獲得!
SHOWROOM(動画配信アプリ)
https://www.showroom-live.com/kotaromiura
三浦甲太郎 公式ツイッター
https://twitter.com/kouraumiura