“一緒に歌う”という意味を持つ「sing along」、そして多くの人が集うイメージの「パレード」。シンガロンパレードというバンド名は、“皆で一緒に楽しめる音楽”という印象を強く抱かせる。そして、彼らが奏でる音楽はその名に違わず、周囲に居る人を巻き込んで展開していく。

シンガロンパレードは、2012年に結成。すぐに関西の数々のコンテストでグランプリを獲得し、現在までにSUMMER SONICやラスベガスでのツアーなど、大型ライブも多数こなしてきた。ライヴハウスで盗難にあったことを記念してワンマンライブを行うなど、その企画は奇想天外。常にリスナーの話題をさらう企画を考えている彼らは、楽曲も多種多様。それぞれの方向に振り切れているのだ。






やわらかなコーラスで始まる「BGM」。バックグラウンド・ミュージックではなく、「ベッドタイムガールズミュージック」の略だ。終始、あたたかなバンドサウンドのリズムに、シンプルに愛を歌う詞が重なる。穏やかなラヴソングで、聴いているだけで心がほっと温まる。曲中では、何重にもなるコーラスが織り成すハーモニーも印象的だ。8分という大曲だが、文字通り「BGM」のようにのんびりと聴くことができる曲である……と見せかけて、MVのラストはかなり衝撃的。〈過ぎた愛は時としてテロリズム〉という冒頭の歌詞は、MVにばっちり活かされている。






不穏なギターリフから始まる「ステキな不摂生」は、全く異なる雰囲気を持つ楽曲だ。しかし、サビは驚くほどメロディアス。世の中にはたくさんのラヴソングがあるけれど、〈二人してみたいことが ありすぎて不摂生〉という歌詞はあまりにも斬新で、そしてなかなかロマンティック。この曲はきっと、ライヴでかなり盛り上がることだろう。





もう1曲、全く違う雰囲気の曲をご紹介。木魚の刻むリズムで始まる「サニーデイ」は、亡くなった人がお葬式に集まった人にむけて歌っている楽曲だ。コミカルなMVにコミカルな歌詞の明るい曲なのに、遺された家族のことを思う歌詞に、ふと涙腺が緩みかける。いつか自分が死ぬとき、こんな風に思えたら良いな、なんて思ってしまう。

多様な音楽で聴く人を楽しませるシンガロンパレード。実は最近、今まで纏っていた派手な衣装(「ステキな不摂生」のMVを参照)から、シンプルな衣装にイメージチェンジを果たしたばかりだ。見た目が変わってもバンド名は変わらないから、きっと「みんなで歌える」音楽を鳴らし続けることに違いはないだろう。そんな中で彼らがどんな変化を得たのか、注目である。

文・小島沙耶


シンガロンパレード
みっちー(Vo, Gt)、晨(Ba, Cho)、ジョン=エブリバディ(Dr, Cho)。2012年の結成以降、数々のコンテストで次々にグランプリを獲得する。全国で活動を展開し、COMIN’KOBEやSUMMER SONICなどの大型フェスにとどまらずラスベガスやロサンゼルスでのライブも経験する。2016年10月には5thミニアルバム『素敵な不摂生』をリリース。2017年4月1日よりこれまでのド派手な衣装とみっちーのトレードマークであったリーゼントを捨て、イメージを一新。ライブの持ち味はそのままに現在も月に十数本のライブを行っている。

オフィシャルホームページ
http://singalongparade.com/