今回は2014年に結成し、じわじわと知名度も上げてきている彼らに迫る。 NatsuMi(Vo&Key)の透明感と、憂いを帯び硬く響く声。音のメリハリが余すところなく感情を語っている。初めて聴いた時は、NatsuMiがピアノとボーカルだけで十分にまとめているのでシンガーソングライターなのかと思ってしまった。 そして、聴きこむうちにヒロクサマ(Ba)のある時はギターの役割も兼ねるような器用なベースラインもイトデンワには欠かすことの出来ない。まろやかだが重みや存在感がある音はイトデンワというバンドの音にすごくマッチしている。
かくれんぼ
まずは「かくれんぼ」から。しとしとと地面を濡らし始めた雨のようなメロディにNatsuMiのしなやかさを持った声が響く。幼馴染と連絡が取れなくなってしまった実体験を基に作られているそうでリアルな寂しさともどかしさが聴き手にも伝わってくる。
東京
次に「東京」という曲を紹介したい。「東京」という曲はたくさんあるものの、彼らの歌う「東京」は違う。夢を抱えながら上京してきて、希望に胸を膨らませる夢物語でも、東京で夢破れたという曲でも無い。ずっと東京に住んでいるNatsuMiの目から見た等身大の東京である。バラード曲で〈あなたのいない街〉の寂しさをNatsuMiの確かな歌唱力が際立つ一曲。
地球儀
そして、最後に一人で何役もこなすベースに注目しながら「地球儀」という曲を聴いてほしい。ポップスのような耳馴染みの良さを感じつつも、今までの楽曲以上にドラムとベースの音が活きており、バンドならではの一体感が感じられる。
この曲はアルバム『伝書鳩の旅路』のリード曲で、前作の『白線を辿る』よりもバンド感が増し、彼らの可能性を聴き手に伝えるのにぴったりだ。 また、宇宙対自分をテーマとして書かれており、〈球体の存在は理想を伝えて〉という歌詞や、小粋で体を揺らしたくなるようなサウンドを用い、宇宙を表しながらイトデンワがまた違う表情を見せてくれた曲である。
最近アルバムリリースツアーを成功させ、全国活動も視野に入れ始めた彼ら。10/26に大阪にも来るので関西の方もその日を逃さず、是非ともチェックしてみてほしい。