90年代のヴィジュアルシーンをバックボーンに、アイドルに亡霊を宿すヴィジュアル系ロックアイドルmistress(ミストレス)。
葵威(あおい)、殺(あめる)、亡(ぼう)の3人が集い、2016年末より本格始動した彼女たちは、名古屋と東京を中心にライブ活動を行っている。
頻繁に行われるライブ活動では様々なアーティストと様々な場所にて共演しており、椎名ぴかりんや仮面女子などといった、mistressと共鳴するであろうアグレッシブなパフォーマンスに定評のあるアーティストとの共演もアツい。
派手髪、黒を基調としたパンクなファッション、ゴシックメイクというヴィジュアル系要素をまとう彼女たちは90年代~00年代のヴィジュアルシーンに多大な影響を受けたゴリゴリのV系サウンドを得意としながら、アイドルらしい女の子を垣間見せる展開や、残虐性と官能的を兼ね備えた異質感を武器としている。
また、デスボイスやラウドロック感、そして「mistress=愛人」の意である女性らしさ。この3点はmistressにとって切り離せない重要なポイントである。 様々な人を通した縁で繋がった3人が、今こうしてヴィジュアル系ロックアイドルとしてアイドルの新境地へ挑んでいる。
夢を与えるアイドル。その夢の与え方が他と違うだけ。ただ、その違いこそが彼女たちにとって当然のことであり、挑戦でもある。
そんなmistressの挑戦の軌跡を、3曲を通して辿りたいと思う。
●【グロ注意】mistress「死死死死死死死死死」MV FULL【R-15+】
※グロテスクな表現があるのでご注意ください。
楽曲中ほとんど「死ね」という言葉で埋め尽くされた衝撃的な音楽に、グロテスクな表現と本能的衝動が詰め込まれたMV。アイドルらしからぬ死に直面した作品となっている。
「理想としていたものをようやく作れた」と本人たちが豪語する程の自信作だ。 死というブラックワードに叩きつけるようなラウドロックサウンド、そして呪いのようなデスボイスの圧力は凄まじく、かなりパンチの効いた曲に仕上がっているのだが、この曲の面白いところは時折やってくる悲しくも美しい彼女たちの尊い声にある。
暴力的表現にあるリビドーに女性アイドルが触れるという禁忌を犯しながら、可愛らしさや守りたくなる繊細な心をちらつかせるmistressは、アイドルらしさとヴィジュアル系らしさを両方兼ね備え、どちらにも甘えない姿勢を貫いている。
●mistress「Too Noisy! Too Noetic!」MV FULL
先述から辿って聴いてくれている方は驚きしかないだろう。
そう、これがmistressのアイドルの姿なのだ。 個性的な声というよりも、3人のどこか似通った素朴な声がマッチングしていてまるで1人の歌声のような一体感を感じさせる。
きれいなものだけじゃ嫌なの。何か既存のものに囚われたくない彼女たちの野心をどこまでも爽やかに、どこまでも真っ直ぐに歌い上げた一曲だ。
「わたしの邪魔をしないで」まさにmistress自身が訴えたい言葉だろう。
そんな譲れない想いをキャッチーなメロディと軽やかなダンスで、アイドルへ昇華させている。こういった表現ができるのも、アイドルとして経験があるメンバーの力でもあり、アイドルへの憧れや愛ゆえだと考える。
●mistress 「affair」MV FULL
00年代ヴィジュアル系を感じさせるメロディックなリフにハングリーなラウドロック。そしてエフェクトをかけたボーカルがAメロでは艶やかに聴こえ、サビではとてもキュートでポップに聴こえる。
キュートなのにおぞましく、過激なのにしおらしい。
そんな女性を武器に、剥き出しの本能を見せつけるmistressの姿をしっかりと感じることができるのではないだろうか。
アイドルへの愛と暴力的リビドーを併せ持つ新型アイドル・mistress。
ファンの呼称”サーヴァント”を増やそうと奮闘するライブ企画「サーヴァント増大計画」を東名阪で開催したり、日々自身を広めるための活動に抜かりない彼女たち。
4月15日には名古屋・RAD HALLにて自身3回目のワンマンライブ「mistress 3rd oneman -STAND AND FIGHT-」を開催予定だ。
アイドルの新境地に挑み、これから更なる飛躍が期待されるmistress。ぜひワンマンでじっくり彼女たちのグロテスクで耽美な世界に酔いしれてほしい。
【HP】 http://mistress.radcreation.jp
【Twitter】https://twitter.com/mistress_rc