アメリカはオレゴン州出身のアーティスト、ニコラス・エドワーズ。通称ニック。
来日したのは2010年のことだった。高校を卒業した彼は、その翌日には日本を訪れる。2011年6月「のどじまんTHEワールド!」に出演。後に人気シリーズとなるこの番組の第1回で3位を獲得し、同年10月の第2回大会ではついに1位を獲得し前人未到の3度の優勝を果たす。以降も映画やテレビ番組、同大会への出演など順調にキャリアを重ねる。
音楽的にデビューを果たしたのは2012年。インディーズレーベルよりオリジナル曲「My First Love Song」を配信。翌2013年3月には7曲入りのEP「n/f」を発売した。そして同年7月31日、シングル「君が歌詞になる」でメジャーデューを果たす。
日本に興味を持ったのは、高校の英語の授業がきっかけだったという。それからコブクロの「蕾」に影響を受け日本の音楽への興味も持つように。以降日本の音楽の歌詞を英語に訳すなどといった方法で日本語も勉強。今では日本人とも区別がつかないようなキレイな日本語で日本語の歌詞を歌う。
2020年で来日10周年となるニコラス・エドワーズ。それに伴い様々な企画を考えているというから、要注目だ。
・ニコラス・エドワーズ - 突然、桜
2019年3月に発売されたアルバム「うわノそら」からのリード曲。自身の頭の中をイメージした曲で、全部自分でディレクションをしたという白を基調としたMVも必見だ。
楽曲は、「突然、桜」というタイトルからも連想されるような桜を感じる和風なSEでスタートしたかと思えば、チル感の強いハウスやテクノのようなぼわぼわとした電子音が全体を覆う。そのあたりには彼のルーツを感じる。
そこに抜け感たっぷりのウィスパーボイスが交ざりつつ、サビではぐっと強い声で盛り上げる。こうした構成は極めて日本的で受け入れやすい。
彼自身がそうであるように、アメリカの音楽と日本の音楽の良いところを混ぜたような楽曲だといえるだろう。
・ニコラス・エドワーズ - 一番好きな傷跡
同じくアルバム「うわノそら」に収録されている楽曲。テーマとなっているのは「結果的には失恋になったが、それでも一番心に残っている恋愛」だ。「君との恋が一番好きな傷跡」という歌詞が、まさにそれを象徴しているといえる。
J-POPバラード的な綺麗なメロディーが特徴的な楽曲だが、全体のサウンド像にはR&Bの要素が感じられ、単純なJ-POPバラードとは一線を画す。あまり全体の音数が多くない分、歌声の綺麗さが際立つというのもポイントだ。綺麗な歌声をじっくり堪能したい人におすすめの一曲。
・ニコラス・エドワーズ – Tears
2019年11月13日にユニバーサルミュージックより発売されたシングル曲。タイトルには、今まで流してきた涙も無駄ではなかったという意味が込められている。
Aviciiを思わせるような「丸いのに透明感がある」全体のサウンド。そこにラップ調・セリフ調に詰め込んだ歌詞が入るなど、綺麗な歌声だけではなく音楽的なセンスの良さも際立つこの楽曲。
サビで持っていくというJ-POP的な構成というよりは、よりアメリカの音楽に近いような、全体のサウンドで持っていくという構成だといえるだろう。こうした構成の音楽は、多くの場合で英語の歌詞の方がハマる。しかしニックの日本語の中にはどこかに英語の要素もあるのか、日本語詞でも全く全体のバランスに違和感がない。曲として出すのに2年かかったというこの曲は、新しいJ-POPといっても過言ではないだろう。
歌詞だけではなく、そもそも日本語を扱う能力に長けている。何気なくポンと上げるSNSの投稿等にも、心が洗われる言葉がたくさんある。そこに音楽的な幅の広さ、ルーツの深さも加わっているので鬼に金棒だ。
これからも日本で活動していきたいという彼。まずは2020年の来日10周年イヤーの活動に期待していきたい。
【公式HP】https://nicholas-edwards.com/
【Twitter】https://twitter.com/nyk_jpn?s=20
【リリース情報】
〈初回限定盤〉
〈通常盤〉
「Tears」
2019/11/13 Release
01. Tears
02. Double or Nothing
03. Like It (Turn Up) (English ver.)
※初回限定盤のみ「フォトブック」特典付き
レーベル:USM
発売元:ユニバーサル ミュージック合同会社